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<コラム>宦官-去勢された男性

配信日時:2020年1月16日(木) 22時40分
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宦官。特に中国で盛んであった制度である。徳川幕府の「大奥」にあたるのが中国の「後宮」である。当然、男が入ると主に男女問題が起こる。中国ではこれに去勢した男性をあてた。写真は紫禁城。

宦官。かんがん、と読む。

特に中国で盛んであった制度である。徳川幕府の「大奥」にあたるのが中国の「後宮」である。当然、男が入ると主に男女問題が起こる。

中国ではこれに去勢した男性をあてた。

発想が極端で大陸的である。

漢民族は農耕民族と言ってもよいが、度々中国に侵入した周辺民族は狩猟民族である。狩猟民族は、去勢などの施策には躊躇しないのかも知れない。

しかし、去勢して「後宮」に送り込んで、男女問題は少しは避けられたかも知れない。だが、結局、常に奥方や愛妾、また君主に接する位置にいて、顔が広くなるから政権を左右するといった弊害が著しかった。

日本は、中国から朝鮮、百済経由で「仏教」を取り入れ、遣隋使、遣唐使で「律令制度」などを取り入れたが、「宦官」制度は採用しなかった。

我が国では「宦官」の代わりに「僧」を採用した。僧侶ならば、もともと戒律で、女性との問題が封じられている。

僧も一般人も守る最低の戒律が「不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不飲酒」という「五戒」である。

それでも、奈良時代には「弓削道鏡」という僧侶が称徳天皇に信頼され、太政大臣禅師、法王になり、宇佐八幡の神託と称して皇位の継承を企てた事件がある。

徳川時代は大奥には「茶坊主」を配した。この形でも権力者に接近できるから多少問題があった。それでも「宦官」のように、男性を捨てて去勢された成人男性が、人生の目的に権力を握るという面は阻止できたようである。

我が国は、中国が先進国で大国であった当時、様々な文物、風習を取り入れている。しかし「宦官」制度は取り入れていない。先に書いたが、去勢までするというというのは、農耕民族でありつつ、周辺の狩猟民族の影響を受けた、荒々しい精神性だったからであろう。

因みに「纏足」(てんそく)も取り入れていない。これは幼いときから女性の足を型にはめて、大きくしない、我々の感覚からするとチト恐ろしい風習である。

足の美しさを保つと言う理由、また、女性を自由にさせない、逃がさないという側面もあったらしい。

私たちの祖先は、中国から律令や、仏教は受け入れつつ、宦官や纏足、著しい弊害を持つ「科挙」(かきょ)の制度は受け入れていない。

他民族を統合するための「科挙」は必要ないし、平安貴族の荘園統治には広く公平に逸材を集めるという制度は必要なかった面もある。

その結果、中国からは、日本に役立つ、或いは都合のよいものを選別して受け入れたともいえる。

随・唐以降、我が国では国風文化が盛んになり、中国伝来の文化文明は昇華されていく。平安時代である。孤立した独特の島国の文化が生まれていった。

■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、仏教の勉強と瞑想を10年ほど。明石市と西脇市の文芸祭り選者。児童文学のアンソロジー単行本、小説の自家版文庫本など。

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