<コラム>嫁には残り汁を、韓国のなくなってほしい「シの文化」

配信日時:2018年5月11日(金) 13時20分
<コラム>嫁には残り汁を、韓国のなくなってほしい「シの文化」
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男尊女卑の儒教的思想の強いお国柄だったけど、最近の韓国は、かなり様変わりしている。ダンナの居場所がなくなっているような。写真は韓国・ソウルの南大門市場。
帰りが遅いと心配で…
そばにいると、もどかしく…

家に着くなりすぐ寝られたら寂しくて…
横になってゴロゴロしていられるといらいらし…

話しかけられると面倒で…
話しかけてくれないと気分が悪い…

寝そべっていると、出て行けと言いたくなり…
出かけていれば、気が気でなく…

帰りが遅いと頭にくるし…
早く帰れば訳もなくむかつく…

とても不思議で
とてもミステリーな存在…ダンナ!

ダンナ(ナンピョン)という詩だ。数年前に話題になっていた。作家はゴ・ギュユンという人。発音がちょっとしにくいかもしれない(漢字のつづりはわからない)。

男尊女卑の儒教的思想の強いお国柄だったけど、最近の韓国はかなり様変わりしている。ダンナの居場所がなくなっているような。

でも、名節(お正月とか秋夕=お盆のような行事)のときは、まだまだ女性たちの苦しいときだ。シジプに行って、料理を作ったり掃除したり後片付けしたりとかなりの「重労働」を余儀なくされるのだ。「シジプ」の「シ」というのは、[女へんに思]という漢字の語で、「夫の実家」の意である。日本では使っていない漢字の語だ。韓国語の発音がシ。「ジプ」は「家」の意。シオモニの「シ」ももちろんこの漢字。オモニは母の意。つまりシオモニは夫の母=義理の母の意となる。

韓国では、とにかくこの「シ」のつくものはなんでも嫌いというフレーズがあるくらいだ。結婚した女性にとっては、このシは大きなストレスとなる概念である。

この点、日本はそれほどではないはず。夫婦によってはシオモニと嫁さん(ミョヌリ)との葛藤が厳しい家庭もあるかもしれないけれど、韓国のそれに比べたら「へ」でもないと思われる。

嫁さんに対して「毎朝、電話しなさい」というシオモニが日本にいるだろうか。何の電話?ご挨拶の電話だ。内容なんかはどうでもいい。とにかく「今日もお元気ですか」という電話だ。しかもこういう家柄は韓国では今でもけっこう多いみたいだ。

シオモニVS嫁さんというのは、女VS女ということで、それでなくても、できれば声も聞きたくないというのが嫁さんの本音ではないだろうか。それを「毎朝電話せよ」だと?いくら文化とはいえ、こういうのはできればなくなってほしいと、男のわたしでも思う。

成人した息子を独立した人格として認めるなら、こういう現象は起こらないはずなのだけれど。いつまでたっても息子は自分の所有物、と考えているからその奥さんに対しても、自分勝手になんでも言っていいし、やってもいいと考えてしまうのだろう。

息子夫婦の住む家に来て、だまって冷蔵庫を開けるなどは序の口。家族連れでアンコウの蒸し煮料理を食べに行く。嫁さんは幼い子どもたちに食べさせるのに精一杯で自分はほとんど食べられなかった。みんなタラフク食べたころにはアンコウの蒸し煮料理はもうない。あるのは残り汁のみ。なんとシオモニが嫁さんに、その残り汁でも飲みなさいと言ったという。こんなうそのような本当の話が、テレビの画面に流れていた。嫁さんの悔しさ・切なさ・情けなさはいかほどだったろう。娘をもつ親としては、こういう「シの文化」はできれば早晩なくなってほしいものだ。

■筆者プロフィール:木口政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。
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