中国・ロシアを仮想敵国とせず、「価値観が異なる大国とも対話できる」=NATO事務総長が東京で記者会見

八牧浩行    2017年11月3日(金) 5時0分

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北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は東京都内で会見し、「中国やロシアなどの価値観が異なる大国とも「いかに対話して行くかが重要だ」と強調。「中国、ロシアを孤立させるようなことは考えていない」と言明した。

2017年10月31日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(ノルウェー元首相)は東京都内の日本記者クラブで会見し、「中国やロシアなどの価値観が異なる大国とも「いかにコミュニケーション(対話)して行くかが重要だ」と強調。「中国、ロシアを(軍事同盟の外に置いて)孤立させるようなことは考えていない」と言明した。米欧を中心とした軍事同盟トップとして、中露両国を仮想敵国視しないとの認識を示したものとして注目される。

ストルテンベルグ事務総長はノルウェー出身。同国労働党の論客として知られ、首相を8年間務めた。発言要旨は次の通り。

グローバルなサイバー攻撃や、テロ、核兵器の拡散など新しい安全保障上の挑戦があるので、NATOの役割はますます増大している。NATOは冷戦時代にはソ連に対する抑止を行ってきたが、ベルリンの壁が崩れた。同盟国だけでなくロシアの近燐国であるウクライナやジョージアなどパートナー国に対する政治的なサポートも必要であり、NATOには重要な役割があると確信している。

長年にわたりNATOはロシアとの関係を維持してきたが、今後も対話により緊張状態を退けて行きたい。世界の安全保障を巡る環境は厳しくなっているが、NATOは強力な軍事同盟であり、70年以上にわたって平和を守ってきたので、リスクが高まっても平和裏に解決することができる。

中国は経済・軍事大国として益々力をつけてきている。中国、ロシアとは価値観が異なるが、(仮想敵国視して軍事同盟の外に置き)孤立させるようなことは考えていない。我々が強く団結していけば、これら大国とも対話することができる。

核ミサイル開発を進める北朝鮮がこのまま射程を延ばしていけば北米の都市だけでなく欧州も標的に入る。政治、外交、そして経済などの圧力で食い止めなければならない。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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