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<コラム>ボットントイレ

配信日時:2019年12月28日(土) 15時0分
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中国では、大都市は日本以上の高層ビルが建ち並び近代的だ。しかし、温水暖房便座となると、まだしもで、訪日中国人の日本土産の主流がこれになったこともある。写真は中国で販売されている日本の温水暖房便座。

濱口國雄の「便所掃除」(国鉄詩人連盟第5回国鉄詩人賞)という詩は学校で習った人も多いのではないか。

現在の民間会社JRが、「日本国有鉄道」と言う時代の「詩」である。因みに戦前は鉄道省のもので「省線」と呼ばれていた。

この詩は戦後1956年頃だから、私のような団塊世代が小学中学年~低学年のころのものだ。つまり現在から60年以上前だ。

JR(国鉄)の駅の便所のほとんどはボットンであった。

もちろん家庭もそうである。このボットン便所には使い方にコツがあるが(笑)、尾籠なお話になるのでここではやめておく。

私の故郷の神戸市では、ボットンから水洗式に、小学校高学年以後、急速に切り替わっていった。そして21世紀に入る頃から一般的になったのが、温水暖房便座である。

きれい好き、便利好きの我が国民性は世界一で、このようなトイレ設備が普及している国はまだ少ない。欧米でさえ、まだまだである。

一方、インドでは5億人が野外の排泄というから、この部分は極端から極端と言うことになる。

お隣の中国では、大都市は日本以上の高層ビルが建ち並び近代的だ。しかし、温水暖房便座となると、まだしもで、訪日中国人の日本土産の主流がこれになったこともある。

さらに都市戸籍、農村戸籍という分け方にもその一面があるが、大部分の農村部ではライフラインの未整備、もちろんトイレもまだ不十分である。

日本では、下水道のない農村部でも簡易水道、簡易排水施設がある。もちろん電気ガス水道は行き渡っているので、トイレも最新式だ。

国全体としてみると全世帯の約八割がこの便座になっているらしい。

衛生上も、快適な精神性からもこのトイレの進化は喜ばしいことだ。それだけではない。公共トイレもドンドン改良された上に、トイレ利用のマナーもよくなった。

冒頭の濱口國雄の詩は、当時のボットントイレの使い方マナーから、美しい人の心まで読んだものである。

これが半世紀少しで劇的によくなった。

この空間の後始末は、誰に指示されるものでもないが、きちんと散らかったトイレットペーパーを後始末し、便座などもきれいにする人が多い。「トイレ掃除は心を磨くこと」と言われて育った私たちにしてみれば嬉しい。

中国での現代式トイレの普及と、マナーの向上は急速に進むだろうと思う。このあたりが「民度」の核心的尺度ではないだろうか。

但し、我が国でも公立小中学校などへの、温水暖房便座の普及はまだしもである。「暗くて寒い和式水洗の学校では、トイレを我慢する」「万人が避けられない排泄行為がいじめの対象になる」といった歪な教育環境の物心ともの改善が急務と思う。パソコンの整備の陰に隠れて「心」の整備が進まないとしたら残念だ。

■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、仏教の勉強と瞑想を10年ほど。明石市と西脇市の文芸祭り選者。児童文学のアンソロジー単行本、小説の自家版文庫本など。

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石川希理
2019年12月19日 16時40分
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