<コラム>中国で日本式の意思表示は通用しない!

曽賀 善雄    2017年10月15日(日) 17時30分

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婉曲(えんきょく)な言い回しでも、日本人同士ならなんとか自分の意志は相手に伝わります。しかし、環境も考え方も日本とは異なる中国では、そんなことで意思は伝わりません。資料写真。

日本では人と話をするときは、相手の立場に立って考え発言し、相手の意見を否定する場合も、あまりストレートには言わないことが多いですよね。婉曲(えんきょく)な言い回しでも、日本人同士ならなんとか自分の意志は相手に伝わります。しかし、環境も考え方も日本とは異なる中国では、そんなことで意思は伝わりません。中国人との会話は「はっきりと意思表示する」ことが基本です。

【曖昧な意思表示は意思表示になっていない】

面と向かってはっきりと言わないこと、これこそが相手への配慮であり、日本人の美学だ、というくらいの感覚であっても、中国人の側からするとそうは感じないということです。「あいまいな意思表示」は中国では多くの場合、理解されませんし、役には立ちません。

むしろ、「日本人は曖昧(あいまい)だ」「どっちつかずの態度で信用できない」などと言われてしまいかねません。「要るのか要らないのか」「売るのか売らないのか」などと聞いているのに、はっきりしないのは、せっかちな中国人には、まどろっこしいだけにしか映らないようです。中国語にも、「曖昧である」、「どっちつかず」、という意味の言葉があるのに…。ひょっとしたら昔の中国には「曖昧」表現が少なくなかったのかもしれません。

【どっちつかずではチャンスを捕まえられない】

今の中国でそんな曖昧なことでは、現地の中国ビジネスのスピードについていけなくなってしまいます。そうこうしている間に、どんどんチャンスが通り過ぎ、手元には何も残らないことになりかねません。

相手の立場を慮る言葉より「Yes」「No」をはっきり意思表示したほうが、自分の気持ちがよく伝わります。それに、相手の中国人にも妙なわだかまりは残ったりはしません。相手が自社の社員であっても顧客であっても同じです。もちろん相手もはっきりとモノを言ってきます。

最初は少し勇気が要りますが、「No」を思い切って自分の思いとして言うと、相手は意外なほどさっぱりと受け止めていることがわかりました。きっと、はっきりと「No」といえば、相手も次の策を考えやすいからではないかと思います。

【面子(メンツ)をつぶさずに否定の意思を伝える】

注意すべきは相手のメンツを壊さないことです。その一点に気をつけて、はっきりとした意思表示をする、ということが大事だと思います。

例えば、顧客から「安くしてほしい」と言われたらどう返すか?その言葉だけでは客の真意がわかるはずがありません。その場で「Yes」の意思表示をした場合、もしその客がダメ元で言っていたとしたら、その要求に自ら乗っていく結果になり馬鹿らしい限りです。もし「No」と回答すれば、その客のいわばメンツをつぶすことになり、以後の商機に影響することは必至です。

上述のような場面は実は即答する状況ではないといえます。そう判断した時には「考えておきます」と答えるのが無難です。日本の「検討します」という言葉は、多くの場合、「No」の意味ですが、「値段を下げてほしい」という要求に対して「考えておきます」ということと同じです。誰しもこれはNoであると理解しているということです。しかし、その場での全否定の「No」ではないのでメンツも確保されています。

【即答できる場面で曖昧な態度は】

一方で、顧客と会食をしたときなど、相手から「〇〇は食べますか?」と聞かれて、どっちつかずの態度でいると、「曖昧な日本人だ」ということになります。そう、それは即答をすべき場面です。即答をすべき場面で曖昧な態度でいることが、相手をイラつかせることになるのは、どの国でも同じ事です。

中国で、「No」と即答すべき場面であると判断されたときには、はっきりと意思表示をする勇気を持つことが大事です。場面の判断を間違うと相手のメンツをつぶすことになりかねません。ここは要注意!そういう中国で15年近く仕事をしてきましたので、「はっきりと言う」習慣が身についてしまったようです。帰国後も、です。日本では、婉曲表現も使わないとね…。

■筆者プロフィール:曽賀善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

■筆者プロフィール:曽賀 善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

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