台湾で中国による「武力統一」への懸念高まる、元高官も「可能性が出てきた」

Record China    2017年10月11日(水) 8時30分

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中華民国(台湾)総督府副秘書長などを務めた羅智強氏は9日、フェイスブックに中国大陸が台湾を武力統一する可能性が皆無でなくなってきたと書き込んだ。台湾ではこのところ、「武力統一」に対する懸念が高まっている。資料写真。

馬英九(マー・インジウ)政権下で中華民国(台湾)総督府副秘書長などを務めた羅智強(ルオ・ジーチアン)氏は9日、フェイスブックに「中国大陸が台湾を武力統一する可能性が皆無でなくなってきた」と書き込んだ。台湾ではこのところ、「武力統一」に対する懸念が高まっている。

羅氏は1970年生まれで、国民党の将来を担う人物の一人とみなされている。フェイスブックに「私は以前、台湾が法的な独立宣言さえしなければ(中国大陸側による)武力統一はありえないと断言していた。しかし、現在は予想可能な将来の範囲内ではあるが、武力統一の可能性は『高くない』との認識だ」「武力統一はありえないと信じることはできない」などと書き込んだ。

羅氏は危険な兆候として、大陸側で台湾を敵視する世論が高まっていると指摘。「民主的政治体制であろうと非民主的体制であろうと、政府は人民の感情を映し出す鏡だ」「大陸当局も(民衆の声)に連帯して、衝突の度合いを高める可能性がある」と論じた。

羅氏は、台湾独立を強く主張する勢力を「口先の戦士」と批判。大陸側が武力統一をする具体的動きが出れば「開戦前に米国に逃げて亡命政府を樹立し、台湾独立の口先攻撃を続けることを保障する」などと書き込んだ。

羅氏のこの書き込みは、中時電子報などの台湾メディアや環球網、新浪網などの中国メディアが紹介している。

2016年に蔡英文(ツァイ・インウェン)政権が発足して以来、中国は同政権が「一つの中国」の原則を認めていないとして、台湾側との対話の停止や、政治面の各種圧力、軍事分野における威嚇などを繰り返している。そのため、台湾では大陸による武力統一の可能性に対する懸念が発生した。

10月になってからは、武力統一についての懸念や関心がさらに高まった。第19回中国共産党全国代表大会(党大会)が18日に始まることが影響していると考えられる。中国共産党は5年に一度の党大会の前には、表立った動きを示さないことが通例で、大会後に思い切った動きを示すことが多いからだ。ただし中台の専門家の多くは現在のところ、全面的な武力衝突の可能性は高くないとの見方を示している。

中時電子報は9日、大陸側の台湾研究会の王在希(ワン・ザイシー)副会長が、台湾問題について「最終的に『和』か『戦』か。鍵を握るのは台湾当局」と述べたと報じた。王副会長は武力統一の可能性を完全には否定しなかったが、「台湾側が遠慮なく『脱中国化』と称して『台湾独立』の分裂活動を進める」場合を想定した上で「(台湾回教の)両岸関係が緊張していくことは避けられない。面倒な事も増えるだろう。ただし、大局はコントロール可能だろう」との考えを示したという。

自由時報は9日、台湾側の対大陸窓口組織である海峡交流基金会の洪奇昌(ホン・チーチャン)元董事長(理事長)が、中国共産党が第19回党大会の後に、台湾の武力統一に向かうことはないとの見方を示したと伝えた。

洪元董事長は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が優先する戦略目標は「大国としての勃興」や軍事、経済、法治であり、台湾統一も含まれるが武力統一を優先しているわけではないと説明。台湾で1947年に発生した2.28事件を挙げ、「発生後70年も経過しているが今もなお台湾社会の問題になっている」として、中国側が台湾を武力統一する道を選んだ場合「この社会がどれだけ長く、問題を残し続けることか」と論じたという。

洪元董事長は、中国が台湾を武力統一した場合、台湾が極めて長期にわたり中国の重荷になると指摘したことになる。

2.28事件は、国民党政権の強引な台湾統治に対する不満が爆発し、1947年2月28日に台北で民衆が蜂起し台湾全土に広がった事件。国民党はだまし討ちの形で軍を投入し、多くの台湾人を虐殺した。犠牲者数については諸説があるが、台湾政府は1万8000人〜2万8000人としている。同事件に伴う戒厳令は87年まで続き、恐怖政治により多くの人が投獄・処刑された。(翻訳・編集/如月隼人

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