<コラム>日本には何度でも行きたいが…あれは不便、韓国人学生が驚いたこと

木口 政樹    2017年9月22日(金) 22時20分

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夏休みも終わり、こちら韓国は後期の授業が始まった。私が教える学生たちは、日本語学科というだけあって、かなりの数が夏休みに日本に行っている。写真は岡山県。

夏休みも終わり、こちら韓国は後期の授業が始まった。私が教える学生たちは、日本語学科というだけあって、かなりの数が夏休みに日本に行っている。旅行で行く者、友達に会いに行く者、去年世話になったホームステイ先にあいさつに行く者、日本に行く理由もさまざまだ。が、なんといっても友達3人くらいで3泊4日ほどの旅行に行くケースが一番多い。

日本に何度も行っている連中は、東京、京都、大阪などは卒業して、岡山県の田舎道を歩いたり、高知県に行ってなんとか市場で地元の人と一緒に昼日中から土佐の焼酎を飲んでみたりと、楽しみ方は「通」の域に達する者もいる。日本の街や通りのきれいさ、清潔さはいつも出てくる感嘆の詩。道を聞くと、何百メートルもついて来て教えてくれる日本人の親切さも定番だ。ファンシーグッズのかわいらしさも定番。

そこで先日の授業では、日本に行ってちょっと驚いたことについて話してみようということにした。すると、出てくるわ出てくるわ。まず、インターネットの遅さが第1位にランクした。ほとんどの学生が異口同音に日本のネットの遅さを口にした。Wi−Fiのつながる所でもかなり遅いと言う。ネット接続自体ができない所も多い。

伊豆のホテルで40日間アルバイトをしてきた学生が言う。ホテルにはコンピューターがあることはあるけど、全部事務の人が使うもので、学生たちがノートパソコンを持っていても、モデムを差し込むコンセントがなかったと。バイトが終わって夜、部屋でゆっくりしながら夏の課題をしようと考えていたけれど、パソコンが使えなくて課題は全然できなかったということだ。このホテルは伊豆でも超のつく有名なホテルだ。

韓国では、普通のホテルには誰でも自由に使えるパソコンやノートパソコンがロビーあたりに置いてあり、必要な人が使っては次の人に譲るという形態が一般的だ。ホテルや図書館はもちろん、銀行、市役所、町役場、サムスンなどのASセンター、喫茶店など、人が集まる所ならほとんどどこでもパソコンが置いてあり、自由にネット接続ができる環境が整っている。もちろん全て無料だ。

ネットについてもう少し言うと、韓国では、戸籍謄本などといった最重要書類なども、自分の部屋の片隅に座って、キーボードをちょちょんのちょんとたたくと、すぐにそばのプリンターからプリントアウトできてしまう。戸籍謄本が居ながらにしてダウンロードできるということは、あとのほとんどの書類はなんだって可能だということだ。ネット環境については、韓国の方が一日の長であるとはっきりと言えよう。

授業で出てきた中でちょっと面白かったのは、ある女子学生が東京・秋葉原の店に入った時、冬にもかかわらず店全体に汗の臭いがものすごくて、すぐに出て来ざるを得なかったということだ。そんな店が本当にあるのか、ちょっと信じ難い部分もあるけれど、学生が作り話をするわけもなく、たぶんそうなんだろう。どの店かを聞いて、今度筆者が東京に行った際には必ずその店に入り、汗の臭いが充満しているのかどうかをこの「鼻」で確認するつもりだ。

ネットやIT、デジタルの面においては、日本はぼやぼやしていては世界から取り残されてしまうような気がする。ガラケーでやれる時代はそう長くは続かないと思うのだ。危機感があまりないのもちょっと心配なところ。

しかしなんだかんだいっても、日本に行った学生たちが皆「もう一度、いや、何度でもまた行ってみたい」と言ってくれる点はうれしい。小さな滴が集まって、いつか大河の流れとなるように、こういうちっぽけな交流が繰り返されて、大いなる信頼や友好につながっていってくれることを願ってやまない。そんな小さな石ころをちょっと動かすことが、筆者にとってはこの上ない喜びなのである。

■筆者プロフィール:木口政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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