<羅針盤>今は昔!知日家の日本観に「悔しい思い」―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2017年9月3日(日) 4時30分
今は昔!知日家の日本観に「悔しい思い」―立石信雄オムロン元会長
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かつて大変お世話になった方にハーバート・パッシン氏がいる。GHQで、戦後の日本の農地改革を実行した人として知られ、当時米コロンビア大学教授だった。当時の日米関係の先行きを心配し、日本について率直な思いを述べてくれたことがあった。
かつて大変お世話になった方にハーバート・パッシン氏(1916年〜2003年没)がいる。GHQ(連合国軍)で、戦後の日本の農地改革を実行した人として知られ、当時米コロンビア大学教授だった。日本にも事務所を持ち、年の3分の1を日本に滞在している知日家で、大の親日家でもある。

当時の日米関係の先行きを心配し、日本について率直な思いを述べてくれたことがあった。

「日本は確かに経済大国になったが、日本人の意識、ものの考え方、行政機関の在り方は、自国の変化に追従していない。多くの日本人は、日本の役割について大国意識でなく小国意識でしか考えていない。外国から見て日本はいまだに島国根性で、防衛・防御的わがままで、自国の利益にのみ興味を示し、他国のニーズや立場に無頓着だ」と苦言を呈した。

さらに「お金に結びつくことのみに興味を示し、広い人間的な問題には関心を示さない。世界で起こる問題の解決に自ら立ち向かわず、お金を与えるだけで逃げようとする。日本は与えられたものは貪欲に享受し、自らは与えようとしない。これからは日本人の意識改革と行政機関の変革が必要であり、ただ単に広報、ロビー活動だけでなく、実体を変える努力をすることが大切である。また世界的なレベルでの事柄にも謙虚さをもって参画することが必要。通商摩擦の解決に当っても、自国の利益のみを主張するのでなく、世界に対しての善意と誠意を示すためにも、少なからず犠牲を覚悟すべきである」と言われて、私は大変悔しい思いをした。

 しかし今日の日本を見ると、物理的な資源に乏しいのに、優れた匠(たくみ)の技、技術力、勤勉さ、思いやり、想像力、発想力、洞察力を兼ね備えた優れた人的資源に恵まれている。外交力で多くの国とともに強いリーダーシップを発揮。世界が抱える諸問題の解決に向けた枠組みにも参加し、その存在意義を認めてもらえるところまで来られたのはうれしいことだ。
<羅針盤篇19>
  
立石信雄(たていし・しのぶお)
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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