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中国が経済・軍事的に台頭する世界、日米同盟が直面するリスクと処方箋を大胆提起―『現代日本の地政学―13のリスクと地経学の時代』

八牧浩行    2017年8月31日(木) 5時0分

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『現代日本の地政学―13のリスクと地経学の時代』を刊行した船橋洋一理事長、寺田貴同志社大学法学部教授ら4氏が講演。米国主導の戦後秩序が揺らぐ中で、日米同盟の在り方と台頭する中国への対応策などを問題提起した。写真は左から加藤、神保、寺田、船橋の各氏。

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2017年08月29日、『現代日本の地政学―13のリスクと地経学の時代』(中公新書)を刊行したアジア・パシフィック・イニシアティブ(シンクタンク・日本再建イニシアティブを7月改組)の船橋洋一・理事長、寺田貴・同志社大学法学部教授、神保謙・慶応大学総合政策学部准教授、加藤洋一・アジア・パシフィック・イニシアティブ研究主幹の4氏が日本記者クラブで講演。米国主導の戦後秩序が揺らぐ中で、日米同盟の在り方や急速に台頭する中国とどう向き合うかなどについて大胆に分析した。

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4氏は「世界は今、自由で開かれた国際秩序が揺らぎかねない状況に直面。戦後一貫して同秩序を支えてきた米国にトランプ政権が生まれ、ポピュリスト・ナショナリズムに傾斜している。そうした中、経済的手段で地政学的目的を達成しようとする『地経学』的な外交手法が目立ち始めている」と現状を分析。「こうした新たな国際戦略環境の中、日本と日米同盟はどのようなリスクに直面しているのか」と問題提起した。

 

同書は「米国のアジア太平洋戦略」、「中国の海洋戦略」、「朝鮮半島情勢」、「サイバー」、「気候変動」「中国の『一帯一路』戦略」「米中露・エネルギー三国志」「日本にとっての地政学、地経学リスク」など13のテーマに沿って検証し、日本の針路を探っている。各分野の気鋭の研究者が担当している。

◆構想力と外交力が必要

<船橋洋一理事長>

日本はこれまで、米国主導の戦後秩序の下で、地政学的な葛藤をそれほど感じることなく過ごしてきたが、そうした牧歌的な時代は終わりつつある。世界と地域のパワーと秩序を巡る構想力と外交力を持つ必要がある。さらに良質の統治と経済の成長・再生なくして、地政学と地経学の挑戦にこたえることはできない。

◆「二重依存のジレンマ」

<加藤洋一研究主幹>

「日本をはじめとするアジア太平洋の地域諸国が共有する「地政学」、「地経学」リスクは、(1)経済・通商は中国に大きく依存する一方、安全保障はもっぱら米国に頼るという、「依存」の構造が存在する「二重依存のジレンマ」と呼ぶべき現象が起きていることである。中国がそうした経済的な優位性を「武器」として使って、地域諸国に外交・安全保障面での政策の変更、譲歩、米国依存からの脱却を強要する構図で、いわば「米国か中国を選ばせる」というもの。地域諸国が経済発展を遂げる上で中国との相互依存は避けられず、国境を越えたサプライチェーンの発達がそれを下支えしている。

台頭する中国について、米国の見方は寛容であり「深刻な脅威」と見ていない。日本とは脅威の認識のズレがある。安保条約に基づく日本防衛の作戦計画、対中戦略、アジア太平洋地域全体を視野に置いた戦略をつくる上で、「米国による安保条約適用」がどこまであてにできるのか。根本的な問題に関わり、深刻な問題となり得る。

トランプ大統領の登場で、民主主義、法の支配、人権などの「価値」への認識のズレが際立っている。さらに北朝鮮の核ミサイル開発についても、大陸間弾道弾阻止を目標とする米国と短距離ミサイルの脅威にさらされる日本との間でも、「抑止力戦略」についての認識のズレが生じている。米中間には戦略的相互不信があり、「二重依存のジレンマ」「米国との戦略のズレ」の背景となっている。

日本の戦略的選択肢として、(1)現状の米国依存=同盟強化、(2)内的均衡策=独自能力による敵基地攻撃能力、(3)外的均衡策=「日米」以外の二国間、多国間協力枠組み(米国抜きTPP、日EU経済連携協定など)、(4)「日和見」策=中国の影響力の受け入れ―「一帯一路」評価、アジアインフラ投資銀行(A I I B)加盟――の4点がある。日本は、自由で開かれた国際秩序の下での成功例を示す必要性がある。

◆米中露の「三国志」

<神保謙准教授>

リベラルな国際秩序の前提として、(1)米国を中心とする先進民主主義国による国際公共財(安全保障・貿易システム・制度)提供と同盟ネットワークの維持・強化、(2)開かれた経済システムとグローバリズム化がもたらす恩恵の共有、(3)自由な価値、法の支配、人権の尊重といったリベラルな秩序の基盤となる価値の体系を重視―など3点があった。

ところがこれらが新しい3つの潮流の挑戦を受けている。              すなわち、(1)グローバルなパワーバランスの変化:世界的な富の分布の変化(G7からBRICSなど新興国への流れ)やテロリズムなど「非対称型脅威」の浸透、(2)「国家資本主義」の拡大:資源・エネルギー、金融、IT・電気通信分野などにおける国営・旗艦企業の台頭や政府系ファンドによる戦略的投資の推進(リーマンショックと資源価格の変化が契機に)、(3)民主主義の後退:自由な価値と民主主義が世界的な試練に(先進国:民主主義のパフォーマンス低下と格差拡大・中間層停滞、新興国:民主転換を果たさず、権威主義と統制の強化、(3)「安全保障の地理」の縮小と「経済の地理」の拡大―である。

こうした中、「地政学の後退」が顕著である。                   

欧州:ロシアが東欧や中東への「ハイブリッドな介入」を展開し、シリア内戦の泥沼化による大量の難民の流入や、これに付随する都市型テロの脅威に直面している。

アジア:中国の軍事的台頭と海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発が進展。アジアと欧州の「安全保障の地理」はリスクの濃度を高めながら縮小している。

一方で、「地経学の拡大」が見られる。「地政学の後退」とともにユーラシア大陸に広大な「戦略的真空」が出現した。

 中国主導の一帯一路構想・AIIB/シルクロード基金が欧州経済と接近している。ロシアのユーラシア経済共同体=「シルクロード経済ベルト」と中国との連携も見られる。

日本の処方箋としては、(1)リベラルな国際秩序をつなぎとめる:開かれた経済・法の支配・民主主義(出口戦略)、(2)G7(日米欧)の協調を「地政学の後退・地経学の拡大」に適合させて強化する、(3)日本にとっての地経学的戦略の確立―などが考えられる。

米国が戦後主導してきたリベラルな秩序維持が揺らいでおり、新興国からチャレンジを受けている。トランプに特有な現象ではなく、オバマ時代の世論調査を見ても、米国がトレンドを維持していくべきだということになっていない。コンセンサスがまだ十分できておらず、答えはまだない状態だ。既存のリベラル主義にとって変わる、オープンで皆が参加可能で多くの人々の人権が守られる新たな秩序を見出していない。中国も自ら国内に優先して国際公共財を提供することを考えていない。米国は戦後秩序を作ってきた特異な国だった。本書のエネルギー関係「米中露の『三国志』」の中で触れているように、世界は協調関係にもあるし、ゼロサム関係にもなる。米中露の3カ国がどう絡んでいくか注目点だ。

◆TPPからRCEPFTAAPへの道

<寺田貴教授>

アジア太平洋の統合の行方と日本のオプションとして、(1)TPP(環太平洋連携協定)をトランプ政権の意向を反映させて一部改定して発効する、 (2)米抜きTPP(環太平洋連携協定)の発効(TPP11)と「同時」に日米2国間FTA交渉を開始する、(3)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)とTPPを包含し、事実上のアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に発展させる―などが考えられる。(3)はTPPメンバーであるカナダ、メキシコ、チリ、ペルーをRCEPに加え16カ国を20カ国に拡大するもので、日本にとってRCEPを「高い質」の協定にするために好都合だ。(八牧浩行

<日本再建イニシアティブ著『現代日本の地政学―13のリスクと地経学の時代』(中公新書、900円税別)>

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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