<コラム>米朝の舌戦、日本と韓国の反応に温度差

木口 政樹    2017年8月14日(月) 20時0分

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北朝鮮と米国の舌戦が話題だ。トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長。どちらも常識的尺度では測れない何かがあるという点で一致したところがある。写真は北朝鮮。

北朝鮮米国の舌戦が話題だ。トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長。どちらも常識的尺度では測れない何かがあるという点で一致したところがある。2人の共通点はもう一つあるか。ビッグマウス。とんでもないことをドカンと言い放って相手を縮み上がらせるが、実際の行動は起こさない。

この2人がけんかすることになると、チキンゲームとなってしまう可能性もある。チキンゲームとは、ある交渉において、2人の当事者が共に強硬な態度を取り続ければ悲劇的な結末を迎えてしまうにもかかわらず、プライドが邪魔をして双方共に譲歩できない状況を指す。

金委員長はこれまで自分の叔父さんに当たる張成沢(チャン・ソンテク)氏を死刑に処したり、幹部たちを残虐な方法で処刑したりしているとされるが、そうして実際に行動に移す場合は、決してぺちゃくちゃぺちゃくちゃとしゃべることはない。マルオプシ(無言で)即実行に移す。

トランプ大統領が8月8日、「(北朝鮮は)世界が見たことのないような、炎と怒りに直面する」と語ったのを受けて北朝鮮は即、グアムに中距離弾道ミサイル4発を撃ち込む作戦を検討していると「応戦」した。どうも言葉数が多いようだ。金委員長の言葉数が多いところをみると、はったりだろうと筆者には思える。

こうした情勢の中、筆者は韓国で生活しているわけだが、韓国の市井(しせい)の雰囲気はどうだろうか。今のところ「穏やか」である。水の買いだめとか生活必需品の買いあさりなどに走ったりする人はゼロだ。日本はどうか。日本のメディアはこぞって米朝開戦間近かと危機感をあおる報道をしているように感じられる。

日本と韓国の温度差は顕著だ。日本が戦争をあおる理由は、たぶん戦争をしたくてたまらない人がいるからであろうと筆者は考える。その点、韓国は戦争になったらソウルをはじめ韓国全土が火の海になることは間違いないので戦争だけは避けたいと思っている。最後まで「対話」路線を持続させている一番の理由がこれだ。

ただ、北朝鮮のミサイルは全部ソウルを向いていると言われている。日本ではなくソウルだ。北のミサイルが日本に飛んでいく可能性はゼロだ。グアムに向けて発射したのに「ミス」で日本に降ってくることはあるかもしれないが。意図して日本にミサイルが撃ち込まれることはない。北が日本を攻撃する理由がないからだ。日本のマスコミは面白がってミサイルが日本に飛んでくるようなことも言っているが、まったく寝言にすぎない。

グアムに向けてのミサイル発射があるかどうか。筆者は「ない」と思っているが、もしあればトランプ大統領が即、北朝鮮攻撃のゴーサインを出すだろう。もしそうなったら朝鮮半島は火の海になる。そうならないことを祈っているけれど。8月の末ごろまでには状況がはっきりしてくるだろうと思われる。2人の言葉遊びからチキンゲームにならないことを切に願っている。

■筆者プロフィール:木口政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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