スマートホーム産業は発展期へ 科技大手も続々参入

人民網日本語版    2017年8月12日(土) 22時30分

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冷蔵庫を開けて中の食材を取り出す時、「カレーライスはどうやって作ったらいいの」と話しかけると、冷蔵庫がモニターに作り方を教える動画を表示してくれる。

冷蔵庫を開けて中の食材を取り出す時、「カレーライスはどうやって作ったらいいの」と話しかけると、冷蔵庫がモニターに作り方を教える動画を表示してくれる。寝る前に、携帯電話でお風呂に入る時間と水温を設定しておけば、時間になるとバスルームの明かりが自動的につき、浴槽に水がたまり、ちょうどよい水温に調節してくれる。

このような場面はこれまではSF映画の中に登場するだけだったが、今ではスマートホーム産業の発展とともに銀幕の世界から飛び出し、普通の人々の日常生活に入り込みつつある。

▽科学技術大手も「陣取り合戦」

現在、アマゾンの会員向け年度販売促進活動のプライムデーで、エコードットという名前のスマートスピーカーが大人気商品になっている。音声認識機能を備え、利用者はエコーと「会話」して今日のニュースを聞いたり、家族への伝言を残したりできる。アマゾンが価格を引き下げたため、今年のプライムデーでの売り上げは昨年の7倍以上に急増したという。

アップルも今年6月に行われた2017年度の開発者会議WWDCでホームパッドと名付けた、音声アシスタント「シリ」搭載スマートスピーカーを発表した。アップルのフィル・シラー上級副社長は、「このスピーカーは内部に搭載された6つのマイクでユーザーの声を正確に認識し、意味を理解して音楽を流したり、音声アシスタント機能で対応したりする」と説明した。

実際、アマゾンやアップルだけでなく、マイクロソフトやグーグルといった科学技術大手もこれに似たスマートスピーカーを打ち出している。別の情報によると、米国のソーシャルネットワーキングサービス会社のフェイスブックも同類製品を開発中という。小さなスマートスピーカーに数々の科学技術大手が雪崩を打って押し寄せるその背後にみえるのは、スマートホーム産業の巨大な市場の可能性だ。

調査会社スタティスタがまとめた統計データによると、2016年の世界のスマートホーム市場の規模は168億ドル(1ドルは約110.0円)に上り、21年に793億ドルに達する見込みという。

市場の風向きと呼応するように、今年に入ると世界の科学技術大手が相次いでスマートホーム市場に参入し、さながら「陣取り合戦」の市場争奪戦がスタートした。最近は米国特許商標庁が「ディープラーニング設備インタラクティブルール」という名称の特許出願を発表し、アップルが特許を買い取った。この特許は単一の手持ちのデバイスでコントロールできるスマートホームシステムで、将来的にテレビから電子レンジまで、さまざまなスマート家電設備のコントロールに応用される可能性がある。マイクロソフトもこのほど、「グラス」と名付けたスマートサーモスタットを開発した。音声アシスタント「コルタナ」を搭載し、部屋に人がいるかどうか、部屋の空気の質はどうかを自動的にモニタリングする。

▽中国市場の潜在力は無限

世界のスマートホーム産業の誕生発展は中国市場における発展を促した。40年近い浮き沈みを経て、中国は今や名実ともに家電大国になった。だが家電強国という目標に向かうためには、スマート化が避けられない方向性になるとみられる。

国務院はこのほど「次世代人工知能(AI)発展計画」を発表し、中国初の国レベルのAI発展の中長期計画となった。これによると、20年をめどにAIの中核産業の規模が1500億元(1元は約16.5円)に達し、関連産業の規模が1兆元を超えることを目指す。また25年をめどに、次世代AIがスマート製造、スマート医療、スマートシティ、スマート農業などの分野で幅広く応用されるようになり、AI中核産業の規模が4千億元に達することを目指すという。

AIが発展すれば必然的にスマートホーム産業の加速的向上をもたらす。魅力的な発展の見通しや良好な政策的環境の下で、スマートホームは中国家電産業の突破口と見なされており、海爾(ハイアール)や美的といった伝統的家電大手企業や、華為や百度などの科学技術企業が相次いでこの分野に布陣を敷いている。

先進国に比べて、中国のスマートホーム産業はスタートが遅かったが、市場ニーズは巨大で、このため中国で潜在力が大きく、成長ペースが速い産業の一つになっている。シンクタンク易観がまとめたデータによると、18年までに、中国スマートホーム産業の規模は1800億元に達し、大量の資本と企業を誘致して、市場には「百家争鳴」の状況が出現することが予想されるという。

同時に、中国スマートホーム産業には多くの短所もみられる。たとえば技術面では、コアアルゴリズム、重要設備、先端チップなどのオリジナル革新成果が少なく、人材の蓄積も産業の急速発展にともなうニーズを満たせていない。

より重要な問題は、現在の中国スマートホーム市場はまだ「コンセプト」を営業販売する段階にとどまっていることだ。実際、真のスマートホームとは1つの「システム工程」であり、一部の家電製品や家具だけがスマート化してもまったく十分でなく、シーンの中での応用体験が大きな流れだ。これは中国の伝統的家電産業が冷蔵庫やテレビといった単一の商品によって「天下を取った」モデルを根本から覆すものだ。こうしたシステム工程に直面して、中国スマートホーム産業はなお長い道のりを歩かなければならない。(編集KS)

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