<コラム>中国人夫の幼少期、日本人の私にとってまるで「タイムスリップ」

むらさわりこ    2017年8月13日(日) 15時10分

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中国人夫が最近西遊記にハマっている。西遊記を観ないと夏ではないと言わんばかりである。日本でも知られている西遊記だが、中国人の西遊記への思い入れは日本人が思うよりも強い。写真は86年版の西遊記。

中国人夫が最近、西遊記にハマっている。観ないと夏ではないと言わんばかりである。西遊記は日本でも知られているが、中国人の思い入れは日本人が想像するよりも強い。今回は日本人と中国人の幼少期の思い出の違いについて書いていきたいと思う。

中国の代表的な西遊記のテレビドラマは1986年に放送された作品で、今でも毎年夏になると同作品が中国のテレビで放送される。それを夫は生まれた時から(夫談)毎年観ていたそうである。あくまで夫の見解だが、中国人の多くは西遊記を観て人生を学ぶのだという。問題児のお猿さん(孫悟空)が修行に専念し、困難を乗り越えて仲間と旅を続けることで立派な神通力を持つものとしてパワーアップしていく。師を尊敬し、仲間と協力し、強くならなければいけない。毎年テレビで観て、絵本でも読み聞かせられているのだから、中国の子どもの頭に西遊記の教訓はバッチリ叩き込まれている。

夫の子ども時代の夏の風景といえば、福建省の田舎で従兄弟や近所の子どもがわらわらと集まってみんなで西遊記を観ている風景が思い浮かぶそうだ。子どもの人数は増えたり減ったり、おじいさんとおばあさんが加わったり、たまに誰だか知らない人(近所の人の親戚の子ども?)が加わったり。私も夫と一緒に西遊記を観たが、孫悟空の動きはコミカルでおかしく、子どもにはさぞかし面白かっただろうと思う。

夫は生まれた時から西遊記を観ているのに、20年以上経った今でも飽きることはない様子。観ている時は童心にかえっているのか、孫悟空が岩に閉じ込められればハラハラし、面白いことをすればケラケラ笑っている。夫にとって、中国人にとって、西遊記はそんなに面白いのか。日本人の私は不思議に思うのである。

一方、私は子どものころから観続けているアニメやドラマがあるだろうかと考えてみた。小さいころはセーラームーンやアンパンマン、ドラえもんなどを観ていたが、大人になってからは観ていない。夫が西遊記を観続けているのは、私が桃太郎を今だに観続けているようなものだろうか。そう思うとなんだか凄い。

私は平成生まれで核家族など珍しくない時代に生まれたので、大勢の人が1つのテレビに群がる様子とは程遠い幼少期であった。夫の幼少期は日本の戦前ぐらいの様子と同じなのだろうか。夫にとっては当たり前の、人がわらわらとごった返している幼少期の原風景は、私の興味を大きく引くのである。

夫が今だに西遊記を観ているのも、良く言えば中国人はひとつの物を長く大切にする。悪く言えば夫の幼少期の娯楽は極端に少なかったのだろう。「何回も同じものを観て飽きないの〜」などと夫に言いつつも、夫の人生は子どものころから陸続きになっている感じがあって新鮮な感じもする。私は小さなころから多くのものと娯楽に囲まれて育った。だからセーラームーンも、アンパンマンも、ドラえもんも、私の中のたくさんの娯楽の詰め込まれたおもちゃ箱に埋もれてしまったのだろうか。

私の幼少期と夫の幼少期、どちらが良いというものではない。同じ日本人や中国人でも地域や世代によって様子は違うだろう。ただ、夫の幼少期の話を聞いていると、タイムスリップをしているようで面白いのである。

■筆者プロフィール:むらさわりこ

1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。

■筆者プロフィール:むらさわりこ

1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。

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