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2019年末に開通予定の京張高速鉄道の最も長いトンネル工事は、八達嶺長城世界文化遺産の中心区域の真下で行われている。このトンネル工事は爆破によって行われ、1日に十数回爆破する場合もあるという。
2019年末に開通予定の京張高速鉄道の最も長いトンネル工事は、八達嶺長城世界文化遺産の中心区域の真下で行われている。このトンネル工事は爆破によって行われ、1日に十数回爆破する場合もあるという。
▽世界最深、アジア最大の山地地下駅
「京張高速鉄道の新しい八達嶺トンネルは、全線において最も長いトンネルとなります。トンネルには三階建ての地下構造を作るだけでなく、78個の洞窟も建てなければなりません。これらの集中する洞窟によって、八達嶺長城駅が中国国内で最も複雑な地下の駅となるでしょう」と中鉄五局集団有限公司の華北指揮部の陳彬指揮長が語った。
新八達嶺長城トンネルは全長12キロメートル、北京市昌平区南口鎮と延慶区の間に位置し、京張高速鉄道の鍵となるプロジェクトだ。地面までの距離は、最も浅いところは4メートル、最も深いところは432メートルもある。トンネル内の「八達嶺長城駅」は面積が3.6万平方メートルで、レールが地下102メートルのところにあり、世界最深、アジア最大の山地地下駅を目指している。駅の三階建て構造は上から下まで、それぞれ「プラットフォーム層」、「入構層」と「降車層」で、旅客がスムーズに駅を出入りすることができる。
中鉄五局有限公司京張高速道路の代龍震プロジェクト副マネジャーによると、駅は複層式の出入り通路をはじめとする新しいデザインを採用し、旅客分散と出入り口の均衡配置を実現したという。また、長い昇降距離のエスカレーターや斜行エレベーターなどの最新設備を初めて採用した。旅客用の昇降機が移動する垂直距離は62メートルで、中国国内で最も落差が大きい駅の昇降機となる。最も重要なのは、駅が環状の救援回廊を初めて採用していることだ。廃棄された斜坑を半永久的に使える救援通路に変えたことで、緊急事態においても迅速な救援が実現できる。
▽爆破を精確に行い、国宝を保護する
京張高速鉄道八達嶺トンネルは水関長城と1回並行して通り、八達嶺長城を2回横断する、更に百年の歴史がある京張鉄道の青龍橋駅から4メートルも離れていない。これらの「国宝」との地理的要因は、工事の実施に大きな課題を与えた。
精確な電子雷管制動の爆破技術を使うことで、爆破によって発生する振動の幅とデシベルを最小限に抑えることができる。振動のスピードを1秒あたり約0.16センチを保持すると、1回の爆破の衝撃は長城での足踏みレベルになる。
地下わずか4メートルの地盤に建てられた青龍橋駅の下に、約40メートルのトンネルが施工されている。エアガンで開けた穴に特殊な膨張剤を置き、膨張によって岩石を徐々に破裂させてから、人工や機械による開削を始めた。こうすることで、地下の施工による京張鉄道へのダメージを最低限に抑えることができた。
周辺に文化遺産がなくとも八達嶺トンネルの爆破は多くの課題に直面していた。洞窟群では近距離の爆破が多いが、最も狭いところでは2メートルしかないので、一旦失敗してしまった場合、落盤する恐れがある。施工側はプレストレストアンカー技術を採用して岩石層の安定性を増強する一方、電子雷管制動を使用すると同時に、監視チームを組織することで、爆破の振動スピードをリアルタイムに観測し、施工による振動を抑えている。
「春節の後に工事を始めてから7月27日まで、4500回も爆破しましたが、データに異常は見られません。私は八達嶺長城に行って体験してみましたが、地下で爆破工事がされているとは全く感じなかったです。高速鉄道が長城を横断する風景を見ることを今からとても楽しみにしています」と爆破担当者の張学華氏は語った。