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2017年7月25日、上海市は最高気温が40度を超える猛暑が続き、同市松江区にある世茂深坑ホテルの建設現場では、作業員が滝のような汗を流しながら、2018年内のテスト営業開始に間に合うよう作業を進めていた。
2017年7月25日、上海市は最高気温が40度を超える猛暑が続き、同市松江区にある世茂深坑ホテルの建設現場では、作業員が滝のような汗を流しながら、2018年内のテスト営業開始に間に合うよう作業を進めていた。このホテルは世界初の廃坑になった鉱山の坑道跡地に建設される5つ星以上の超豪華ホテルで、これまで空へ空へと高さを追求してきた建築理念とは反対に、地中の奥深くへと建築空間を開拓する点に新らしさがある。一財網が伝えた。
05年、世茂集団が買収した坑道7カ所のうち最大規模の深さが約80メートルに達する横山深坑(天馬山深坑)で、世にもまれな建設計画がスタートし、06年には深坑ホテルプロジェクトが正式に立案された。施工に先立つ論証、設計、耐震、消防、輸送、構造など各方面の準備作業に7年の歳月を費やした後、13年についに工事が始まった。
このホテルは世界で最も海抜が低いホテルで、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイにある帆船型超豪華ホテルのブルジュ・アル・アラブを設計した英国のWSアトキンス社が設計を手がけている。鋼構造の工程はプロジェクト全体で必要不可欠な最重要部分であり、震度9の地震に耐えられる構造になっている。
世茂集団の唐鳴・社長補佐(世茂酒店管理有限公司社長)は、「過去10数年にわたり、弊社は深坑ホテルに惜しみなく投資してきて、このほどついに工事が最終段階に入り、営業スタートまであと1年を切った」と話す。
深坑ホテルは地下部分が15階建てで、そのうち2フロアの客室では水族館(アクアリウム)の鑑賞が可能。建築費は5億ドル(約560億円)、建物全体が人口湖に隣接する形になる。部屋数は300室ほどで、1フロア分のサンプルルームを見学できる。
ホテルの主体構造は岩盤に密着して建設される。中間に流線形のガラスカーテンウォールがあり、地表から下に伸びて坑道底面まで続くようになる。
ホテルの内装は中国式の道教スタイルでもなければ、ブルジュ・アル・アラブのように豪華絢爛でもない。廃坑になった鉱山坑道という独特の歴史を追憶するため、内部のあちらこちらに工業風のモチーフが登場し、室内の壁の装飾には鉱石が大々的に使われるという。
ホテルのすぐそばにはテーマパーク・納米魔幻城が建設される。面積は約32万平方メートル、魔法をテーマにしたお城型ブースが1千カ所設置された、上海市最大の室内型子供向けテーマパークで、深坑ホテルと一体となって親子旅行向けの総合レジャー施設になる見込みだ。
ここ数年、世界のぜいたく品消費に対する中国の寄与度は30%前後で足踏みしているが、「体験型ぜいたく品消費」の占める割合は年々増加している。今後はホテル、ハイドロセラピー(水治療法)、豪華客船の消費の占める割合がますます上昇するとみられる。(編集KS)
深坑ホテルの完成予想図。
深坑ホテルと隣接する納米魔幻城の完成予想図。