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7月になり、中国各地で耐えがたい熱暑が続いている。「中国4大ボイラー(かまど)」の1つとされる重慶市でも焼けつくような暑さとなり、気温は高止まりして、一部の区・県では39度に達したという。
7月になり、中国各地で耐えがたい熱暑が続いている。「中国4大ボイラー(かまど)」の1つとされる重慶市でも焼けつくような暑さとなり、気温は高止まりして、一部の区・県では39度に達したという。中国気象局国家気候センターがこのほど発表した報告書「中国夏季酷暑都市の情況」によると、これまで「4大ボイラー」の一員だった南京市と武漢市が姿を消したが、重慶は「新4大ボイラー」のトップにどっしりと座り、新たに福州、杭州、南昌が仲間入りをした。中国新聞網が伝えた。
重慶市気象局の21日の天気予報によると、同日の重慶市中心市街地エリアの気温は27〜39度に達し、長江沿岸の複数の区・県では40度を超えることが予想された。
酷暑が重慶の夏に「熱いビジネスチャンス」をもたらしている。
ここ数年、重慶では毎年夏に市内の避暑ツアー商品が売り出され、高山や農村での避暑商品が大きな発展を遂げている。
重慶市観光局によると、今年の夏の重慶では避暑・納涼をテーマにしたツアー商品が登場し、行き先には市内のレジャー・リゾート地285カ所が含まれる。こうした観光スポットは海抜が800メートルから1500メートルに達し、夏でも気温が20〜25度にとどまる地域で、重慶市北東の大巴山、南東の武陵山、南の大婁山の46エリアに分布する。
同局関連部門の責任者は、「これらの観光ルートは重慶市民に近場の夏の避暑を提供するだけでなく、各区・県が避暑経済を発展させるためのプラットフォームを構築してもいる」と指摘する。
地域の観光経済が高気温で熱くなるだけでなく、人々の暮らしも高気温による「熱い盛り上がり」をみせている。
出前配達員の呉浩さんは連日35度を超える暑さの中、あちこちを走り回っているが、「もっと暑い方がいい」という。「今は暑いので、外に出て食事をしようという人が少なくなり、出前を頼む人が増えている。今の一日の注文数は数カ月前の2〜3日分にほぼ相当する。今月の収入は先月の2倍に増える」からだ。
コンビニエンスストアを経営する張艶霞さんは、中国で急速に発展する「モバイル決済」のおかげで、今年の夏は以前ほど過ごしにくくないという。これまでの夏には、冷たい飲料が入ったアイスボックスを店の入り口前に置いて、客に選んでもらっていたが、「代金を受け取る時はエアコンの効いた店内から外に出て行かなければならず、涼しかったり暑かったりの温度差でしょっちゅう風邪を引いていた」という。モバイル決済の普及にともない、張さんはアイスボックスの上に飲料の価格と支払いのためのQRコードを張り出した。「今は誰でも携帯電話経由の決済を利用しており、代金受け取りのために行ったり来たりしなくてよくなった。支払い方法が便利なので飲料を買う人が増えている」という。
電器メーカーも高温がもたらした「暑い商機」に注目するところが少なくない。大手家電販売店エアコン売り場の販売員は、「7月に入ってから、エアコンの売り上げが目立って増加している。一日に20〜30台売れる時もあり、前年同期比約30〜40%の増加だ。メーカーは客を呼び込むため、さまざまな優遇サービスを打ち出し、『冷たい飲み物、避暑観光地のチケット、ゴザ』などの贈り物などで大勢の客を呼び込もうとしている。
重慶大学経済・工商管理学院の銭麗萍准教授は、「『熱いビジネスチャンス』は『気象経済学』の1つの現象であり、人々の暮らしに着実に影響を与えている。ある特定の時期には、『熱いビジネスチャンス』が消費を促進し、経済成長を牽引することになる」との見方を示した。(編集KS)