<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・五輪控え地下鉄駅の警備厳しく…筆者も“職務尋問”

Record China    2008年5月4日(日) 7時37分

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北京五輪まであと100日。当局の警備も以前に増して厳しくなっていることをヒシヒシと感じる。写真は07年の上海の地下鉄構内。

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北京五輪まであと100日。当局の警備も以前に増して厳しくなっていることをヒシヒシと感じる。

ここ数日、地下鉄の駅にいる警察官の数が倍増しているのだ。

日本に住む方にとっては信じられないかもしれないが、北京の地下鉄駅には「派出所」があり、また改札を入ったところには警察官が一人、二人立っている。ホームに入っていく乗客に対し、目をギラギラさせて“監視”しているという感じだ。そして、大型の袋類を持ち歩いている人や明らかに地方出身者と分かる人を見かけると、「ちょっとちょっと」と声をかけ、身分証と呼ばれるIDカードの提示と持ち物チェックを求める。日本ならば完全に“人権侵害”だが、中国では完全な合法行為。大人しく従い、持ち物チェックを受ける。

その地下鉄警備の警察官が、ここ数週間、3、4人。多いところでは7、8人がズラッと並んで、ジロジロと乗降客に目を光らせているのだ。

ただよっぽど“怪しい”感じでないと声をかけられることはない。私自身は、幸い?それほど怪しくないのか?今まで“ほとんど”止められたことがない。多少経験があるのは、人民代表大会のときの天安門広場でネタがないかと歩いていたときくらいだ。

ところが先日、北京西側の地下鉄駅で、ついに「ちょっと!」と言われた。

どうやら、地下鉄を降りてくる乗客のうち、「中国人(つまり西洋人は省く)」、しかも「成人男性」に限って、全員に声をかけ、身分証チェックを行っているのだ。自慢ではないが、僕の風貌は「中国人以上に中国人っぽい」と友人に言われる。(喜ぶべきか、そうでないのか)だから、このどれにも当てはまるわけだ。

先日午後3時ごろ、北京では“郊外”に当たる地下鉄駅。列車を降りて、ホームから階段を登り、改札口を出た瞬間に、そこに張っていた警察官に声をかけられた。

「身分証!」と偉そうな態度で手のひらを突き出す。他の乗客はおとなしく、カバンをまさぐり、IDカードを差し出している。

僕は、こういう面倒なことになりそうなとき、「外国人」であることを最大限に利用することにしている。つまり中国語が分からないふりをするのだ。

今回もいつもと同じく「ぁ??」と聞き返し、こちらは全く言うことが分からない、というジェスチャーをした。そして「Passport?」と下手な英語で聞き返すと、外国人だと理解したのか、手をシッシとやって、「あっち行け」と言った。これをやられると、ものすごく気に障るのだが、中国生活でこの程度で怒っていては身が持たない。

だが、おとなしく、過ぎ去る前に、多少の取材はしておこうと、「いつから警備は厳しくしているのか?」と問うと、「4月から」と答えてくれた。調子に乗って「なぜ地下鉄駅で警備をするのか」と聞くと、ギロリとにらまれ「もういいから行け」と怒られた。中国の警察官は、日本以上にガードが厳しく、インタビューに答えてくれない。

中国公民は法律上、このIDカードを肌身離さず、携帯しなければならない。私がそこを去った後も、次から次にやってくる乗客が足止めされ、成人男性の全員にIDカードを提示させていた。

最後に、この様子を写真に収めておこうと、ちょっと離れたところから、デジカメを取り出し、パチリとやった。それに気付いた警官は「撮るな!」と激昂!慌てて逃げてきた。

中国の警察官は、かなり怖いので、逆らわないほうがいい。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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