狂犬病で女性が死亡、ワクチン接種したにもかかわらず発症―陝西省

Record China    2017年7月22日(土) 5時20分

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陝西省西安市の病院で18日、32歳の女性が狂犬病で死亡した。女性は6月20日に野犬にかまれた直後に狂犬病のワクチンを接種していた。そのため、ワクチンの有効性を不安視する声が高まった。資料写真。

中国メディアの華商報は19日、陝西省西安市の病院で18日に32歳の女性が狂犬病で死亡したと報じた。女性は6月20日に野犬にかまれた直後から狂犬病のワクチン接種の治療を受けていた。そのため、ワクチンの有効性を不安視する声が高まった。

狂犬病は犬だけでなく、哺乳類全般に感染の可能性がある人獣共通感染症だ。多くは感染した動物にかまれ、傷からウイルスが侵入する。ウイルスは神経組織をゆっくりと進み、脳神経組織に達すると発症する。発症までの期間はウイルスが侵入した傷が脳組織に近ければ2週間程度、遠ければ数カ月からそれ以上とされる。ワクチンの接種で発症を食い止めることが可能だが、いったん発症すれば有効な治療法はなく、死亡率は100%に近いとされる。

西安市で死亡した女性は6月20日に左くるぶしを野犬にかまれ、すぐに病院で狂犬病用ワクチンの接種を受けた。さらに標準的な治療の手順どおり同月中に3回、ワクチンの接種を受けていた。しかし7月13日に左足のしびれやせき髄の違和感を覚え、16日には歩けなくなった。女性は入院したが18日午前4時ごろには意識が混濁し、同日午前6時50分に死亡した。

病院側は、使用したワクチンは省の関連機関から一括購入したもので、温度管理も規則通りで有効期間内のものだったと、使用したワクチンにも治療法にも問題はなかったと説明した。かまれた場合には5回のワクチン接種を行うが、女性は5回目の接種を行う前に死亡したとした。

女性が発症・死亡したことについては、狂犬病は1回目のワクチン接種から28日後に患者の体内に抗体が発生するが、女性をかんだ犬が多くのウイルスを持っており、発症が早まった可能性があるとの見方を示した。

しかし中国では、ワクチンの有効性を不安視する声が高まった。中国メディアの頭条新聞が同件を微博(ウェイボー、中国版ツイッター)に投稿すると、日本時間21日午前8時45分までに、2万3145件のコメントが寄せられたが、最も多い1万7144件の「いいね」を集めているのは「ワクチンを調査すべきだ」との書き込みだ。

ワクチンを疑問視する声が多いのは、正規の流通経路を経ずに販売され、抗力のないワクチンが出回るなどの事件が発生しているからだ。2017年2月には、医科大学を卒業したが就職できなかった女性は薬剤師である母親と組んでワクチンの違法な「横流し」をし、温度管理をしなかったために効力を失ったワクチンが全国に出回っていた事件が発覚した。製薬会社9社が容疑者に対するワクチン販売に応じていたとされる。

最近でも、安徽省が7月になってからワクチンの取り扱いを調査し、違法行為には厳罰を適用すると発表したり、広東省広州市当局が、取り締まりの結果押収した偽物および粗悪な食品とワクチンを含む薬品類を処分する催しを行っている。有効性に問題のあるワクチンなどは現在も相当に出回っていると理解するのが自然だ。

また、微博に寄せられたワクチンの効力を疑問視するコメントが多くの「いいね」を集めたことからも、中国ではワクチンの品質に対する不信感が強いことが分かる。

なお、死亡した女性が犬にかまれた直後にワクチン接種したことは、狂犬病感染の危険性を理解していたからと考えられる。中国中央政府の国家衛生和計劃生育委員会(衛生と計画出産委員会)によると、2016年に狂犬病で死亡した人は592人で、感染症による死亡者では、エイズの1万4091人、肺結核の2465人に次いで多かった。17年6月にも、エイズ、肺結核に次ぐ56人が死亡している。(翻訳・編集/如月隼人

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