<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・五輪100日前、天安門でカウントダウン

Record China    2008年5月2日(金) 14時17分

拡大

4月29日、北京時間午後8時(日本時間午後9時)で、北京五輪まで、あと100日となった。写真は30日、北京・故宮でのカウントダウンイベント。

(1 / 5 枚)

■■■■■2008年04月29日■■■■■

その他の写真

五輪100日前、天安門でカウントダウン

4月29日、北京時間午後8時(日本時間午後9時)で、北京五輪まで、あと100日となった。

北京市の中心地、天安門広場の国家博物館前に設置されたカウントダウン時計の前には、午後7時過ぎから若者を中心に北京市民がぞくぞくと詰め掛け、時計の数字が「100」になるのを待った。

そして、最終的に集まった約300人の市民からは、15秒前くらいから、自然発生的にカウントダウンが始まり、最後は『大合唱』となって、北京五輪100日前を祝った。

現場に来た陳寥さん(女性)は河北省出身の大学生。500日前から、節目ごとにカウントダウンのため、ここにきているということで「100日前もこの場所にこれてうれしい」と興奮気味に話していた。

明日30日は100日前を祝うイベントがいくつか行われる。まず朝9時からはオリンピック公園をコースとするジョギング・駅伝大会が開かれる。これには外国人も含め、北京の一般市民が参加する。また夜7時半からは、五輪テーマソングの披露と授賞式が行われるということだ。また市民レベルでも、五輪を祝う音楽会などが市内各所で行われる模様。

■■■■■2008年04月30日■■■■■

五輪まで100日、変わらぬ日常と鼓動

北京五輪開幕まで、あと100日となった。

だが、北京にいる私たち生活者にとっては、「あと100日」といっても実感が沸かないのが正直なところだ。

スポーツの取材者として、オリンピックを迎える街がどう変貌するかをこの目で見たいと、この地にわたって4年。いよいよ“本番”がやってくるのに、まだ実感が沸かない。北京の街は、さまざまな動きを見せているが、まだまだ「雲の上」のことが多く、私自身の身の回りで「オリンピックが踊りだした」という雰囲気ではない。世紀の大イベントを迎える前というのはこういうものなのか。これが「嵐の前の静けさ」なのだろうか。

朝起きて、いつものように出勤のため、マンションを出る。

ここで“空気が悪いため”ゴホゴホとやっているといえば、喜ぶ人もいるかもしれないが、残念ながらそんなことはない。歩いていて、服が真っ黒になることなど“絶対”にない。(笑)

団地の中庭では、お年寄り達が太極拳の練習に勤しみ、聞きなれた音楽が耳に入ってくる。満員電車は毎日のことだ。押し合いへしあいしながら、事務所に出勤し、いつもの仕事が始まる。取材、原稿書き、チェック…。時間がくれば、地下鉄に乗って、また家路に着く。

北京の暮らしなどそんなものだ。政治や権力の世界が何だかんだと大騒ぎし、ギョーザだ、独立だと騒動が起きるが、市民の生活は、それらの喧騒と全くかけ離れたところにある。街を歩く人たちの様子も、ここ4年何も変わらないし、住宅のベンチではお母さん達が子供を連れて、ペチャクチャと四方山話に花を咲かせている…それは日本の庶民の暮らしと全く同じ。それは、ある意味、色々なことへの無関心ではあるのだが、それが現実というものだろう。

僕の生活上の困ったことといえば、「今月の懐具合が寂しくなった」なんて、これも日本にいる時と同じ。「日本人と知られないようビクビクしている」「食べ物が悪くて、お腹壊してばっかり」ということもない。

日本メディアが嬉々として伝える「五輪前の北京の問題点」は結局、生活者にとっては、インターネットの文字情報だけに存在するフィクションに過ぎない。「生活」なんて、そんなものだろう。

だが、そんな日常の中で、時折、五輪に向けた街の変化の息吹を感じることがある。それは、ちょっとした変化や新しい物事のスタートなのだが、僕はそれを目にした時、今このとき、北京にいて良かったと感じる。恐らく、その小さな変化の積み重ねで、少しずつ、この街は「オリンピック色」に染まっていくのだろう。

僕は中国メディアに職場は持っているが、このブログやその他、執筆しているコラムはあくまで日本人のメディアとして、限りなく個人の身分で書いている。僕は他のどの大メディアよりも早くから、五輪に向けた北京の街の様子を見つめてきたし、この街で“生活”することで、本当の市民の暮らしに接してきた。

このブログでは、これから北京が迎える「熱き100日間」を、プロの伝え手として、だがあくまで市民の目線でお伝えしていく。

批判すべきところは批判するし、素晴らしいと思うところは素直にその良さを、感動を伝えようと思う。

口先だけで「政治とスポーツは別」という論理を振りかざすのではなく、本当にそんな生臭いものとは全く違うところに、「北京市民が迎える五輪」があることをこのブログを通じて、日本の皆さんに伝えたい。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携