拡大
成都駅の回鍋肉(ホイコーロー)、鄭州駅の■面片(■は火へんに会、煮込み平打ち麺)、西安駅の肉夾●(中国式バーガー)など、各駅にはさまざまな名物料理がある。
成都駅の回鍋肉(ホイコーロー)、鄭州駅の■面片(■は火へんに会、煮込み平打ち麺)、西安駅の肉夾●(●=食へんに「莫」。中国式バーガー)など、各駅にはさまざまな名物料理がある。鉄道当局は今月17日から、高速鉄道旅客輸送主要27駅において、オンラインによる食事注文サービスをスタートさせた。試行駅の一つである西安駅では、サービス開始初日、肉夾●など13種類のデリバリーメニューが登場した。華商報が伝えた。
〇注文は発車時刻の2時間前に締め切り
17日から、列車番号の頭にG、Dがつく高速鉄道を利用する乗客は、「12306」ウェブサイトやモバイルアプリを通じて、沿線の試行駅で提供される食事が注文可能となった。今回試行の対象となったのは、上海、天津、広州、南京、杭州、西安、瀋陽、長春、武漢、済南、福州、厦門(アモイ)、長沙、成都、重慶、蘭州など高速鉄道停車駅を中心とする27駅。
記者がサービス開始初日に、このサービスを体験した。午前8時ごろ、「12306」モバイルアプリを開いて、西安北駅11時20分発宝鶏南駅行きのD6815号を予約した。乗車券予約画面には、食事注文のオプションがあった。食事の注文は、ビジネス旅行サービスのページからも可能だ。クリックすると、列車番号、乗車区間、食事サービスを注文する駅名を記入する欄が現れた。
西安駅を選ぶと、ケンタッキーフライドチキン(KFC)、マクドナルド、大唐騰記臘汁肉夾●、東東包、永和豆ショウ(豆乳)の5社が提供する13種類のメニューが並ぶページに変わった。乗客は、銀行カードあるいはアリペイ(支付宝)のいずれかの決済方法を選ぶことができる。記者は大唐騰記臘汁肉夾?とKFCのフルーツジュースを注文、氏名・連絡先電話番号・列車の座席番号を入力した。
注意すべきは、各社がそれぞれ、デリバリーの条件を設けていることだ。記者は2社の食事を注文したが、配達料は2社にそれぞれ支払わなければならず、いずれも8元(1元は約16.6円)だった。肉夾●は15元、フルーツジュースは12元、箱代1元が別途かかり、全部で44.5元だった。
〇乗客:選択肢が増えたことは歓迎するが、配達料がやや高い
注文を終えた記者は、西安北駅の待合室に向かった。午前11時近くになった時、作業服姿の配達員がデリバリー用の箱を持って、優先的に待合室からプラットホームに向かうのが見えた。11時5分になると、乗客もプラットホームに入ることが許された。記者は乗車して自分の座席を探し席に着いた。11時20分、D6815号は西安北駅を発車した。発車してわずか3分後に、食事が載ったトレイを持った乗務員が、予約した食事を座席まで届けに来た。肉夾●は断熱バッグで包装され、開けるとまだ熱々だった。KFCのフルーツジュースは、2層のビニール袋で包装されていて、ペーパーナプキンがたくさん添えられていた。
周囲の乗客から驚きの眼差しを向けられる中、記者はこの「高速鉄道デリバリー」を完食した。その後、全車両を回り乗客の様子を観察した。持参した食べ物や車内で購入したお弁当を食べる人が圧倒的多数で、この注文サービスを利用した乗客には、当日一人も出会えなかった。
「高速鉄道デリバリー」について、乗客はどのように思っているのだろうか?天津の大学に通う学生の倪さん(女性)は、次の通りコメントした。
「私は第三者ネットサイトで乗車券を予約した。だから、『12306』がこのようなサービスを始めたことを知らなかった。今後、天津に行くときには、あらかじめ沿線駅が提供している食事のデリバリーを利用したい。インスタント麺や高速鉄道弁当のほか、さまざまな選択肢があるし、味も保証されている。でも、第三者ネットサイトで乗車券を購入した人は、このサービスを知らない。注文ページへのリンクが実現すると良いのに」。
普通の労働者である徐さんは、「乗車券を予約したとき、このサービスについて知り、面白そうだと思って内容を見てみた。だが、私は短距離を移動するだけなので、車内で食事をする予定はなく、このようなサービスは不要だった。今後、長距離を移動する場合には、食事デリバリーを試してみたい。だが、配送料が店ごとに加算されるのは、やや高いと感じる。それなら、一つの店で購入した方が良い」と感想を漏らした。
〇今後は、店舗やメニューをさらに増加
物流センターの担当者は、「高速鉄道デリバリーは、かなり特殊なサービスだ。まず、あまり早くから食品を加工することはできない。さらに、食事を提供する全企業の注文を配送センターに短時間で集めなければならない。4車両分ごとに1つの保温ボックスに入れて、配送員が駅まで配達して乗務員に渡す。渡す時間は極めて短い。このため、現在、食事を提供している企業は全て、西安北駅の構内にあり、いずれもチェーン店だ。ある程度の参入条件を設けて初めて、食品の安全が保証される」と説明した。
西安特産のグルメで現在提供されているのは肉夾?だが、今後は、涼皮(冷麺のような料理)も加わる予定で、車内では氷峯(オレンジ味のサイダー)も販売される。西安を出発する、あるいは西安を通る乗客は今後、車内でこれらの「三秦セット(肉夾●・涼皮・氷峯)」を全て味わえるようになる。
その他の都市が提供する食事サービスには、どのような特徴があるのだろうか?多くの「高速鉄道デリバリー」は、地方色豊かであることが分かった。例えば、鄭州駅が提供するのは、ファストフードのほかに「蕭記三鮮■面」がある。石家庄駅では餃子・餛飩・南瓜粥、牛肉餡餅(牛肉入りパイ)、皮蛋痩肉粥(ピータンと豚肉のお粥)が、成都駅では双拼木耳肉片(キクラゲと豚肉の炒め物)定食、伝統的な回鍋肉定食、金牌辣子鶏丁(ピリ辛チキン)定食が、それぞれ提供されている。(編集KM)