中国版「グリーンカード」、「伝説」から「スタンダード」へ

人民網日本語版    2017年7月18日(火) 14時0分

拡大

条件が厳しい、審査期間が長い、メリットが少ない、取得が大変と言われる中国版「グリーンカード」は、かつて「伝説」のなかの存在にすぎなかった。

条件が厳しい、審査期間が長い、メリットが少ない、取得が大変と言われる中国版「グリーンカード」は、かつて「伝説」のなかの存在にすぎなかった。だが、中国の国際影響力が高まり、中国で投資・就労・生活を行う外国人が増加するにつれて、中国版「グリーンカード」の需要はますます高まってきた。人民日報海外版が伝えた。

中国政府はこのほど、「外国人永住居留証便利化改革方案」を印刷・発行、これまでの「居留証」を「居留身分証」にアップグレードした。変わったのは名称だけではない。「機械可読・検証機能」と「便利化」が、本改革のキーワードとなり、その目的は、中国に永住する外国人の中国における資格・待遇の徹底実現を推進、中国版「グリーンカード」の価値をさらに高めることにある。

〇身分のアップグレードと機能強化

「中国版グリーンカードを獲得したことで、自分は中国人と同じであるという感覚に陥った」-広州市でこのほど開催された「2017年版外国人永住居留身分証初回発行儀式」において、ロシア・アジア工業企業家連合会中国代表処で働く劉維寧(中国語名)さんはこのように話し、グリーンカードがあれば、ビザ申請手続きのために長い列に並ぶ必要はもはやなくなったとしている。

北京で就労しており、新版グリーンカードを得た范偉書さんは、「私もとうとう、オンライン決済ツールを手に入れ、シェア自転車を利用することができるようになった。また、中国版グリーンカードの場合、10年間の有効期限内はビザ更新手続きを行う必要はない」とコメントした。

新しい中国版「グリーンカード」は、名称だけが変わったのではなく、その様式やメリットも中国人の「居民身分証」にだんだんと近づいている。居留身分証にはめ込まれたICチップは、第二世代居民身分証の読み取り機によって読み取り・識別が可能で、所持者が中国で仕事や生活を行う上で便宜が図られている。中国版「グリーンカード」は、中国で長く居住する外国人にとっての「スタンダード」となりつつある。

今後は身分証をスキャンすることで高速鉄道が利用できるほか、在中居留身分証を所持している外国人は、住居購入、銀行での金融業務、運転免許証の申請、居住登録などのあらゆる方面で、中国人と同等の待遇を受けることができる。また、中国国内での就労についても、法に依り社会保険・公共積立金などの制度に加入できる。

新版外国人身分証に対して関心を寄せる外国人は非常に多い。成都では、新政策の実施後わずか十数日で、200人以上の外国人から問い合わせがあった。また、北京では、和睦家医療の創始者である李碧菁CEOが、「中国の永住者となったことはとても嬉しい」と、微信(Wechat)の「モーメンツ」に投稿した。

〇「無」から「有」へ、絶え間ない合理化

中国版「グリーンカード」の原形は、今から50数年前まで遡ることができる。国務院は1964年、「外国人の入国・出国・国境通過・居留・旅行管理条例」を発表し、中国における外国人の定住身分をめぐる問題の解決にあたった。

全国人民代表大会常務委員会は1985年、「中華人民共和国外国人出入国管理法」を審議通過、外国人の中国での「永久居留」に関する分類を初めて明確にした。

WTOに加入して3年後の2004年、政府は「外国人の中国における永住審査認可管理弁法」を発表、国際的に通行する方法を初めて採用し、永住居留証明制度を実施、中国版「グリーンカード」制度の実施細則が誕生した。

「グリーンカード」の制度は存在したが、審査条件が厳しく、審査期間が長いことから、「グリーンカード」を手に入れることは、実際には至難の業だった。1990年から2015年までに、中国で居住する外国人は37万人から97万人まで、年平均2.4%のペースで増加したが、うち中国版「グリーンカード」を獲得した人は1万人に届かなかった。

米国籍の柯道友(英語名:David Christopher)教授は、「中国版グリーンカードを手に入れるまでに、3年の月日を要し、米国での博士学位取得証明、清華大学教授の在職証明、在米中国大使館による証明書など100種類以上の資料を提出した。民政局、大使館、公安部から派出所、住民委員会に至るまで奔走し、米国と中国を何度も往復し約100種類の捺印・サインをもらって、2010年にようやくグリーンカードを入手できた」と、当時を思い出しながら話した。

中国政府は2年前、「グリーンカード」制度の簡略化に着手した。2015年6月、中国で永住権取得申請ができる在留外国人の職業範囲を拡大することとした。2016年2月には、「外国人永住居留サービス管理の強化に関する意見」を印刷・発行、中国版「グリーンカード」の発行数は急速に増加した。バスケットボール選手の馬布里(ステフォン・マーブリー)や「ユーロの父」と呼ばれた蒙代爾(ロバート・アレクサンダー・マンデル)らは、ちょうどこの時期に「グリーンカード」を取得した。

統計データによると、中国公安部(省)は2016年、2015年比163%増の1576人に対してグリーンカードを発給した。同年、中国版「グリーンカード」所持者は1万人の大台を上回った。

専門家は、「ここ数年の中国政府による『グリーンカード』をめぐる一連の実施政策改革は、中国の人材強国戦略と人材優先発展戦略を推進する上で、重大な現実的意義と深い歴史的意義を備えている」との見方を示す。北京理工大学の劉国福教授は、「『海外進出』と『一帯一路』(the Belt and Road)戦略の実施が進むにつれて、中国では大量の海外からの人材流動を必要とするようになり、人材流動のトップ層は、永住権を獲得する人々だ。このため、国家発展・関連政策のもとで、永住居留政策もそれに応じてさらに緩和されるようになった」と指摘した。

〇発給数増加と範囲拡大で人材誘致

「グリーンカード」の審査・認可方法によると、中国版「グリーンカード」は、投資・技術・家族団欒・特殊貢献の4種類に区分されている。2014年の統計データによると、中国版「グリーンカード」取得者のうち、最も少なかったのは、投資類およびその家族で計94人、帰国して投資する外国籍中国人が主流だった。就労類およびその家族は計763人、特殊貢献類およびその家族は1612人。

「グリーンカード」の申請ができる4種類の外国人の具体的条件は次の通り。

1)中国で200万元(約3300万円)以上の直接投資を行い、投資状況が3年間続けて安定しており、きちんと納税を行っていること。

2)中国で副総経理・副工場長以上もしくは副教授・副研究員など副高級職以上の役職に就いている、またはそれと同等の待遇を受けており、4年以上継続してその業務に就いていること。4年以上の継続した勤務期間のうち、中国で累計3年以上納税していること。

3)中国に対し重大で卓越した貢献をした、または国から特別に必要とされていること。

4)家族が一緒に過ごすために中国に居住すること。

外国籍の中国人については、各方面から意見を募集した「中華人民共和国外国人永久管理条例(草案)」に基づき、申請条件が以下の通り定められた。「大学院博士課程もしくは修士課程の学歴を備えており、4年以上の就労経験を有している」もしくは「中国国内に6年以上連続して居留しており、年間最低6カ月以上居住し、安定した生活基盤を備えている」外国籍中国人はいずれも、中国永住居留申請を行うことができる。

中国で起業を行う優秀な外国人をより多く誘致する目的で、北京、上海、広東の各地では、各地の実情に応じ、「海外人材ポイント制」、「外国籍中国人優遇政策」、「納税基準達成ルート」、「就業居留の永久居留への転換」など、一連の重点政策・措置を打ち出している。このほか、中関村、上海自由貿易区、広東自由貿易区で就労するハイレベル人材は全員、「搭乗」や「グリーンカード直接申請」など、永住居留申請のチャンスを持っている。

国務院参事官で中国グローバル化研究センター(CCG)主任の王輝耀氏は、次のような見方を示した。

「2008年に発生した金融危機以来、就職・起業のチャンスを求めて中国にやって来る外国人がますます増えており、中国に居住する外国人は急増している。中国政府による『千人計画』実施後、「海外帰国組」の新たな起業ブームが沸き起こり、『グリーンカード』に対する需要も大幅に拡大した。このため、人材流動の足を引っ張る障壁を速やかに取り除く必要がある」。

「中国版『グリーンカード』は、今もなお『追認式』スタイルを採用しており、中国にやって来た外国人は、数年間続けて良い業績を残して初めて獲得できる。一方、先進諸国では、その国のグリーンカードそのものが外国人材を惹きつける役割を果たしている。このような状況を改善するために、永住居留申請センターを海外に増設し、『グリーンカード』が申請できるまでの期間をさらに前倒しするよう提案したい。中国でキャリア発展を望む海外のハイレベル人材が、直接海外で中国永住居留を申請できるように取り計らい、あらかじめ中国で一定期間居住しなければならないという条件を廃止して初めて、中国版『グリーンカード』が本領を発揮できるだろう」。(編集KM)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携