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<コラム>中国、コロナ禍が促進した教育のブロックチェーン採用、まず学歴詐称のブロックから

配信日時:2020年10月19日(月) 23時0分
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ブロックチェーン技術の教育への応用議論が高まっている。公的機関による、複数の白書、新たなプラットフォームや地方プロジェクト等の報道が相次いだ。写真は上海交通大学。

ブロックチェーン技術の教育への応用議論が高まっている。公的機関による、複数の白書、新たなプラットフォームや地方プロジェクト等の報道が相次いだ。きっかけはやはり、コロナ禍によるオンライン教育の発展だった。

■コロナ禍によりオンライン教育伸びる

コロナ禍が後押しとなり、オンライン教育市場は大きく活性化した。

2020年春、K12(小学校~高校まで)学校教育は、大混乱に陥った。結局1月末の春節休暇が4月まで延長された。この間、オンライン教育界には神風が吹いた。調査機関iiMediaのレポートによれば、上半期のK12オンライン教育ユーザーは3765.6万人、前年同期比23.2%伸びた。そのうちの60.8%は補習目的だった。

またオンライン英語教育市場(K12世代)も、4月には580万人、260億元へ拡大した。米中対立のおり、中国の少年少女は英語の勉強に力を入れていた。

そして2020年のオンライン教育市場規模は、ユーザー数3.億5100万人、市場規模は4858億元になると予想されている。(1元=15.77円)

■教育とブロックチェーン、中央政府

オンライン教育の伸びに伴い、教育とブロックチェーンに関する言論が活発化した。

中国教育部(文部科学省に相当)は4月末、「高等学校区塊網技術創新行動計画」を通知した。高等学校とは大学のことを指す。計画の目標は2025年までに、各大学にブロックチェーン基地を作り、技術人材を養成し、イノベーションに貢献することにある。

教育部は続く7月末、「区塊鏈技術在教育領域的応用研究白皮書」を発表した。「ブロックチェーン教育分野応用白書」の意味である。白書は、ブロックチェーンについて、現状を覆す革新的技術であり、世界の技術とビジネスモデルイノベーションの“震源地”と規定した。

そして、教育のIT化実現に向け、普遍性と公平性を確保し、個性的かつ多様な発展を目標とする。そのためブロックチェーン技術を採用する。

■教育とブロックチェーン、地方政府

河北省でブロックチェーン連盟成立、教育プラットフォームが登場した。

河北省科学院と石家庄市人民政府は9月末、河北省ブロックチェーン連盟の設立大会を共催した。連盟は17の専門委員会を設置し、その1つに教育ブロックチェーン委員会がある。同委員会は、ブロックチェーン技術の教育と研究開発、教育イノベーション、教育管理の一体型プラットフォームを建設する。

河北省は2018年、全国に先駆けて、「ビッグデータとブロックチェーン研究センター」を廊坊市に建設した。その後、学生の学習や成長記録のデータを収集し、校長、教師、学生など12のブロックを作り、相互に連結した。ブロックチェーン技術を終身教育評価に利用し、情報の孤立を打破、データの透明性確保を目指した。

新設の河北省教育ブロックチェーン委員会は、それらの成果を取り込み、発展させる。今後3年で、ブロックチェーン+ビッグデータを用い、デジタル経済の核として、新しい革新的思考を促す。

■教育とブロックチェーン、半官の組織

大手オンライン教育企業も参画している。

対外貿易大学と開放経済研究センターは7月上旬、オンライン教育会社、好未来集団と「区塊網技術在教育領域応用研究白皮書」を発表、ブロックチェーンにより、教育記録の信頼性、教育システムの開放、生涯学習記録の作成、デジタル教育資源の版権保護、成績評価の精緻化、教師のプロ化などを確保するという。

システム構築の目標としては、教育の信用アップ、教師の組織化、生涯教育、現代職業教育の4つである。最終的には、教育のあらゆる方面を連結した、価値の高いプラットフォームを目指す。

■教育ブロックチェーン、民間篇

ブロックチェーンオンライン教育プロジェクトの「MIC」に注目が集まっている。

最近メディアでは、MICに関する報道が続いた。これは5人の開発者を中心に設立された国際的研究団体の運営するプラットフォームである。

オンライン教育業界は、参入ハードルが低い分、多くの問題を抱えている。コンテンツレベルの不揃い、教師の収入が低く、一部の花形教師に集中する等である。

MICはブロックチェーン技術を応用し、これらを解決、世界的にも高度な信頼性を備えた、分散化、共通認識、トレーサビリティのプラットフォームを構築したという。

まず取得単位や学位証書、受賞歴などを記載した、統一された教育証書プラットフォームを作った。これを起点に、改ざん不能の分散化システムを形成していく。この学籍、学歴情報は、検証可能で、改ざんは不可能、真実は保障される。

■まとめ

中国では学歴のことを“文化程度”とも言い表し、極めて重視する。そして中国企業の86%は、求職者の学歴詐称に悩まされているという。日本の就活では考えられない騙し合いの不毛な世界だ。かつての偽物天国が、ここではまだ生き残っていた。しかし、モバイル決済が偽札を無力化したように、最新のブロックチェーン技術が学歴詐称を封じることになるのかもしれない。とはいえ取り組みは始まったばかりであり、学歴の真贋バトルは当面続きそうだ。

■筆者プロフィール:高野悠介

※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
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