東芝半導体事業、日米企業連合に売却か=技術流出防止

人民網日本語版    2017年6月26日(月) 15時16分

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鴻海精密工業の郭台銘会長が抱いた東芝の半導体事業買収の夢はほぼついえた。6月21日、東芝は半導体メモリー事業の売却で、日本の産業革新機構と日本政策投資銀行、米系投資ファンドのベインキャピタルで構成する企業連合を優先交渉先に選定したことを明らかにした。

鴻海精密工業の郭台銘会長が抱いた東芝半導体事業買収の夢はほぼついえた。6月21日、東芝は半導体メモリー事業の売却で、日本の産業革新機構と日本政策投資銀行、米系投資ファンドのベインキャピタルで構成する企業連合を優先交渉先に選定したことを明らかにした。「第一財経日報」が伝えた。

東芝によると、同社の半導体事業のもつ企業価値、海外への技術漏洩防止、日本国内の雇用確保、買収手続きなど複数の観点から総合的に評価した結果、同企業連合の提案が最も優位性を備えていたという。

東芝の半導体メモリー事業は現在、世界市場でシェア3位で、米ウエスタンデジタルと提携し、両者で4つの工場を共同経営している。米調査会社HISのまとめたデータでは、2016年の売上高で計算すると、世界のメモリー市場で東芝のシェアは19.3%、ウエスタンデジタルは15.5%で、合わせるとトップのサムスンの35.2%に迫るという。

今回の買収劇には同企業連合のほか、郭会長の鴻海と子会社のシャープ、韓国のSKハイニックス、米ブロードコムなども事業の価値を高く評価して参入し、熾烈な競争が繰り広げられていた。

鴻海に買収されたシャープは、モノのインターネット(IoT)を今後の戦略の重点とし、半導体メモリーが核心技術になることから、郭会長は今年に入ってから公の場で東芝半導体事業の買収に乗り出すことを表明し、日本のソフトバンクグループと提携して、日本側の認可を獲得しようと試み、さらには買収後に米国にメモリー工場を建設する構想まで打ち出していた。

今回の買収劇では日米連合の呼び声が常に最も高く、今回の東芝の決定も市場の予測を裏切らなかった。ウエスタンデジタルは提携関係にあることから、東芝の半導体事業売却に一貫して反対しており、現在は今回勝利した日米連合と提携を進めている。この日米連合には日本政府の息がかかっており、日本の技術流出を防止するという目的も達せられる。またSKハイニックスも産業革新機構、ベインキャピタルと提携関係にある。

調査会社トレンドフォースのメモリー研究部門の陳■(王へんに介)▼(王へんに韋)アナリストは、「メモリー市場をみると、東芝とウエスタンデジタルを合わせた生産能力の占める割合は世界全体の約34.7%に達し、トップのサムスンの36.6%に引けをとらず、両陣営を併せると70%に達する。東芝だけなら、営業収入は今年第1四半期(1〜3月)に19億6800万ドル(1ドルは約111.3円)に達し、市場シェアの16.5%を占め、サムスンとウエスタンデジタルに次ぐ3位だ」と述べる。

陳アナリストによると、「このたび東芝のメモリー事業が日米企業連合を選んだことで、短期的にみれば、最も影響を受けるのは世界のメモリー市場ということになる。今年第4四半期(10〜12月)には供給不足状態から需給がバランスした状態に転換し、メモリー価格上昇の勢いが一段落するとみられる。長期的にみれば、買収側は大量のメモリーを必要としており、東芝が生産能力と技術でサムスンを超えるのを助けることになる」という。

だがサムスンは東芝のメモリー事業の調整をきっかけとして、中国にある工場への投資を約10兆ウォン(1ウォンは約0.1円)追加し、19年をめどに同工場の生産能力を現在の2倍に引き上げる計画を立てている。

このたびの買収ではこれから各国の独占対策の審査を通るかどうかをみなければならない。日米企業連合による買収が成功すれば、日本側の後押しを受けて、東芝メモリー事業の上層部と経営方針に大きな変化は起きないとみられる。連合の一員であるSKハイニックスは、新たな東芝メモリー事業の経営に直接携わることはないが、技術をめぐって交流・提携を進める可能性は十分考えられる。

東芝はニュース原稿の中で買収価格を公表していないが、外部では2兆元を下らないとの見方が広がる。東芝が18年3月末になっても債務超過から脱することができなければ、東芝株は上場廃止になる。東芝はメモリー事業の売却に続き、テレビ事業の売却も検討しており、中国の海信が競争に名乗りを上げる見込みだ。(編集KS)

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