前川前文科省次官、読売・NHKを痛烈批判「メディアが私物化されれば、日本の民主主義は死んでしまう」―会見で“国家権力との連動”を危惧

八牧浩行    2017年6月23日(金) 21時44分

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前川喜平前文部科学省事務次官が学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り日本記者クラブで会見。政権側に立った報道の見解が目立っているとし、「このままメディアが私物化されれば、日本の民主主義は死んでしまう」と警鐘を鳴らした。写真は会見。

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前川喜平前文部科学省事務次官が学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り日本記者クラブで会見、国家権力とメディアの問題について問題提起した。政権側に立った報道が目立っているとし、「このまま第四の権力と言われ権力をチェックする側のメディアが私物化されれば、日本の民主主義は死んでしまう」と警鐘を鳴らした。発言要旨は以下の通り。

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私に対する個人攻撃だと思われる(出会い系バーについての)記事が5月22日の読売新聞に掲載された。これはもちろん(不正はなく)私としては不愉快なことだったが、その背後に何があったかは、きっちりとメディアの関係者の中で、検証されるべき問題だと思う。私は個人的には、官邸の関与があったと考えている。

杉田副長官から、そういう場所(出会い系バー)には行くなとご注意を受けていた。つまり官邸が知っていた情報だった。読売新聞の記事が出たのは5月22日のこと。5月20日と21日に読売新聞記者からアプローチがあった。私の私的な活動について、報じるつもりでコメントがほしいということだったが、私は答えなかった。読売新聞がそんな(権力からリークされた個人攻撃的な)記事を書くとは思いもしなかった。

一方で、同じ21日に、和泉総理補佐官から、文科省の後輩幹部を通じて、『和泉さんが話をしたいといったら応じるつもりがあるか』と打診を受けた。私は『少し考えさせて』と言ってそのままにしておいた。

私は報道が出ても構わないつもりだったので、報道を抑えてほしいと官邸に頼もうということは思っていなかった。読売新聞のアプローチと、官邸からのアプローチは連動していると感じた。

もしこういうことが、私以外の人にも起きているなら、それは大変なことだと思う。監視社会化とか、警察国家化が進行する危険性がある。権力が私物化され、第四の権力であるメディアまで私物化されるということになるとすれば、日本の民主主義は死んでしまう。その入り口に立っているという危機感を持った。

加計学園に関わる文書の信ぴょう性とか、官邸からの働きかけといった問題について、私に最初にインタビューを行ったのはNHKだった。ところが、その映像はなぜか放送されないままで、いまだに報じられていない。

また、この真相を表す内部文書の中でも、非常に決定的な9月26日の日付の『官邸の最高レベル』という文言が入っている文書がある。これは、朝日新聞が報じる前の夜に、NHKは報じていた。しかし、核心の部分は、黒塗りにされていた。これはなぜなのか。

報道番組を見ていると、コメンテーターの中には、いかなる状況証拠や文書が出てきたとしても、官邸の擁護しかしないという方がいる。森友学園の問題で官邸を擁護するコメントを出し続けた方の中には、ご本人の性犯罪が警察・検察によってもみ消されたのではないかという疑惑を受けている方もいる。私は今の日本の国の国家権力とメディアの関係については、非常に不安を覚える。

個人の尊厳と国民主権の原則を改めて確認したい。今、大東亜戦争に突っ込んだ1930年代に近い雰囲気にあるのではないか。政府・国家公務員は良心に従って国民に向き合い、歪められおかしいと思ったことには、粘り強く提起し、正していくべきだと思う。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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