<コラム>日本はにぎわい、韓国は閑散=北京の観光イベントにも「政治の波」

秋澤 文芳    2017年6月21日(水) 0時10分

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今年も北京の国家会議センターで「旅の博覧会」が開催された。写真は北京国際旅游博覧会の日本関連ブース。

今年も北京の国家会議センターで「旅の博覧会」が開催されたので参加した。

■中国内各地で展開される「旅游(観光)博覧会」のひとつと注目、「北京旅博」

18日までの3日間開催された「2017北京国際旅游博覧会」は、毎年恒例の行事となっている。中国内での海外旅行や入境旅行等の動向を知るうえでも参考になる貴重なイベントの1つだ。

昨年6月には同じ大学の大学院生・留学生たち十数名に、担当の教授も一緒になって会場へと赴き、さまざまな視点から博覧会を眺めたが、今回はゆっくりと1人で国内外のブースを訪れて新しい旅の発見につとめた。旅游管理学部の学生たちにとっては参観不可欠の行事の1つだと言ってよいほどの貴重な実地授業だ。

■こんなところにも「政治の波」が、日本にぎわい、韓国低調・閑散

私自身も2010年に旅行管理学部にも留学し、それ以降、毎年のようにこの博覧会に足を運び動向を眺めてきた。しかし、今年は会場の様子がやはりいつもとは趣が異なっている。私が訪れた初日は、いわゆる「業界日」にあたり、業者及び関係機関の方が中心となるオープニング日であったが、まさに「出境高、入境低」であった。つまり、中国内から見て「海外旅行」の熱は相変わらず高く、入境・インバウンド関連は関心の薄さが目立った、と言ってよい。

なかでも、中国内の出国データ統計にも如実に表れているように、日本とタイのブース周辺は大きな盛り上がりを示し、日本政府観光局(JNTO)をはじめてとしてインバウンドに積極的な自治体や輸送・宿泊・流通などの各コマはにぎわいを見せ、訪日の勢いを見せつけていた。一方で、これまた悲しい現実なのか、韓国関係の広いブースには人影もなかった。特に、平昌冬季五輪の広い会場前には…。一時は800万人が訪韓していた中国人観光も半減状態になるなど、厳しい中韓間の政治の大波に旅行もゆがめられてしまった、ということなのだろうか。

■北京他、上海成都広州などで次々と展開される旅博、旅行需要は今後も続く

中国内では45億人まで急成長した国内旅游市場で大きなにぎわいを見せてはいるが、全くと言っていいほどパタッと消えてしまった日本人の姿。中国内でも日本関係インバウンドは2012年以来、まさに崩壊状況だ。かつての我々の仲間、知人そして関係者も市場を離れ別の分野へ進出・移動してしまった。400万人の訪中者数も今や150万人減り、実際は年間50万人程度の中国関係のビジネスマンや友好団体の一部が、同じ顔触れで年5〜6回訪中を繰り返しているだけなのだろうか。

しかし、旅博覧会会場に展示されていた、中国各地の「緑色旅游」の醍醐味の凄さを見逃すわけにはいかないだろう。雲南、湖南、新彊等などの辺境地においては、今でも確かに日本人の「グループ」集団に出会うこともある。昨年も3回ほど姿を見かけ、声も掛けてみた。確かな「目的」を持った旅行者は確実に中国を訪れていることもわかった。

■脱観光〜物見遊山やグルメ・買い物の超低価格の旅スタイルからの転換を

訪日客についても同様の現象が生じている。日本国内ローカル地区での体験型の旅が急増している。まさかと思うような分野にも訪日客が訪れ田舎を驚かせている。それだけに地方自治体も、今になって情報の収集と参入に躍起になっている。

今後は、まさにこのような旅博等を契機に、地方自治体はもちろんのこと、民間においても数人のグループでリスクを分散させながらこのようなイベントを活用したらどうだろうか。 待ちの姿勢から攻めの展開や、時には大胆な思い切った行動も必要なことは確かだ。中国を契機にこれからもグローバルの時代に突入だ。

■筆者プロフィール:秋澤 文芳

東京(豊洲)在住。1973年千葉大学卒。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游管理学部研究生として現在も在籍。工学院大孔子学院旅講師、東京都日中友好協会常務理事として交流促進。観光文化ツーリズム(株)代表として旅游企画・訪日インバウンドに取組む。

■筆者プロフィール:秋澤 文芳

東京(豊洲)在住。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游科学学院研究生として現在も在籍。東京都日中友好協会副理事長・経済ビジネス委員会委員長。日中観光文化研究所、観光文化ツーリズム等の代表として旅游・訪日インバウンドやコンサル業務に取組む。

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