「月の土壌」のサンプル・リターン、関係者が「嫦娥5号」の飛行概要を発表―中国

Record China    2017年6月14日(水) 5時20分

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12日、中国青年報は、中国航天科技集団の技術責任者である孫為鋼・総工程師による月探査機である嫦娥5号の飛行概要を紹介した。

12日、中国青年報は、中国の月探査機である嫦娥5号の飛行概要を紹介した。中国航天科技集団の技術責任者である孫為鋼(ソン・ウェイガン)総工程師によるもので、嫦娥5号の飛行概要が発表されたのは初めて。嫦娥5号は無人で、月の土壌の試料を地球に持ち帰る「サンプル・リターン」を試みる。

北京市内で6日から9日まで開催された国際宇宙探査会議(GLEX2017)での発表だったという。嫦娥5号の打ち上げは文昌航天発射場(衛星打ち上げセンター)で行う。同発射場は中国が海南省文昌市に建設した新しい施設で、第1回の衛星打ち上げは2016年6月に行われ成功を収めた。

嫦娥5号の打ち上げを行うのは長征5号型ロケットで、総重量8トンの探査機を地球から月に向かう軌道に乗せる。月に接近した探査機は軌道を修正して月周回軌道に乗る。探査機は着陸ユニットと帰還軌道ユニットから成り、着陸ユニットだけが月に軟着陸し、月面の土壌サンプルを収集する。

着陸ユニットはさらに二つに分かれ、上昇機だけが月面周回軌道に戻り、帰還軌道ユニットとドッキングする。その後、採取した土壌サンプルは帰還軌道ユニットに組み込まれている地球帰還機内に移される。月面からの上昇機は切り離され、帰還軌道ユニットだけが地球に戻る軌道に乗る。

地球に近づいた時点で、帰還軌道ユニットは地球帰還機を分離する。地球帰還機は大気圏の上層部で一度バウンドさせて速度を落とした上で、改めて大気圏に突入させる。

中国は14年10月に再突入実証機を打ち上げ、月を周回させた上で地球に戻して地球帰還機を予定の場所に着陸させることに成功している。孫総工程師は、同実証実験の成功で地球帰還機を大気圏上層部でいったんバウンドさせてから再突入させる方式については有効なデータが得られていると説明したという。

日本は宇宙航空研究開発機構が(JAXA)が03年に打ち上げ小惑星のイトカワの微粒子を地球に持ち帰るサンプル・リターンに成功した。嫦娥5号は地球からより近い月を対象にしたものだ。しかし重力の面では極めて微弱なイトカワに比べれば、月は相当に大きい。そのため、分離やドッキングを繰り返して「各段階で可能なかぎり身軽になりつつ地球に帰還」という方式を採用したと考えられる。米国が1960−70年代に実施した有人月探査のアポロ計画に似た方式だ。

中国は月探査を第1期の「繞(ラオ=月周回)」、第2期の「落(ルゥオ=月面軟着陸)、第3期の「回(フイ=月面に軟着陸した上での地球への帰還)」の3期に分けて実施している。第1段階の「繞」は07年打ち上げの嫦娥1号と10年打ち上げの嫦娥2号で成功。第2期計画としては13年に打ち上げた嫦娥3号は月面に軟着陸させ、月面ローバー(月面車)の玉兎を活動させることにも成功した。

次の打ち上げは嫦娥5号で、中国メディアの中国新聞社によると、中国の第3期月探査の責任者である胡浩氏は3月に、打ち上げは17年内と説明した。

嫦娥4号は第2期探査の一環だが、地球から見て月の裏側に軟着陸させるため、地球から見て月よりもさらに遠い宇宙空間にある、重力と遠心力のバランスが取れているために物体が安定してとどまることのできるラグランジュ2と呼ばれる場所に中継器を同時に送り込むなど、計画がやや複雑だ。打ち上げは18年とされている。(翻訳・編集/如月隼人

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