江戸時代にタイムスリップできる街、岐阜県高山市―中国メディア

人民網日本語版    2017年5月28日(日) 23時40分

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私は寒さの厳しい北国で生まれ育ち、子供のころからレンガ造りの暖かい家の中で過ごしたものだ。あの頃は、世界中のどの家庭も安心した住まいとして石やレンガで作られた家があるものだと思っていた。

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私は寒さの厳しい北国で生まれ育ち、子供のころからレンガ造りの暖かい家の中で過ごしたものだ。あの頃は、世界中のどの家庭も安心した住まいとして石やレンガで作られた家があるものだと思っていた。しかし、大人になってからいろんな場所へ足を運ぶようになり、どんな材料で作った家であっても、そこには思い出とドラマが、そこに住んでいる人の楽しかったこと、悲しかったことなどがたくさん詰まっていることがわかった。(文:崔笑天。環球網掲載)

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日本の岐阜県の北部に位置する高山市の建築物はほとんどが木造で、400年以上の歴史がある「高山陣屋」のほか、古い街道には江戸時代の面影が残り、古屋、雑貨屋、喫茶店など、歴史ある建築物がクラッシックなムードを醸し出している。それら古い町並みは「国選定重要伝統的建造物群」に指定されており、そこへ行くと、過去にタイムスリップしたかのような気分になり、同地を訪れた大勢の人でにぎわっている。

●歴史情緒漂う町並み

日本には「千鳥」と呼ばれる伝統的な木製のおもちゃがあり、中国で「魯班鎖」と呼ばれているおもちゃとよく似ている。3本の木の棒に独特の切り込みが入れられており、釘一本も使わずに、まわして組み合わせ結合していくことができる。「千鳥」は今、日本の他の地域ではほとんど見かけなくなったものの、高山市では今に至るまでその伝統が引き継がれている。この町はこのように、黄ばんでいる古い本のようで、ここでは時間がゆっくりと流れている。

古い町並みが残る高山市三町の建物のほとんどは、黒い木で作られている。平屋の一戸建てが並び、四角い格子の窓から、太陽の光が差し込むと、畳には碁盤の目ような影が映る。そこにある多くの店の玄関には、盆栽のほか、のれんや提灯が飾られており、土産物屋もあれば、本屋や喫茶店、食事処もある。玄関の前には細い溝があり、平たい石の板が並べられている。宮川から流れ来るきれいな水がそこには流れており、歴史情緒が漂っている。

三町を歩いていると、帽子をかぶり、身だしなみの整った高齢者が悠然と歩いているのをよく見かける。腕には黒い傘がかけられ、どこかの店の和菓子を手に持っており、気品があって穏やかな雰囲気を漂わせている。また、濃い色に染め上げた半纏を着て、客に町の紹介をしながら人力車を引く車夫の姿を時々見かけることができる。

三町にある多くの建物は江戸時代に建てられたもので、100年以上の歴史を誇り、保存状態もとてもいい。そこでは、瀬戸物やキーホルダー、日用品などを店の前に並べて売っているお店をよく見かけることができた。また、そこでしか手に入らない「地酒」の文字が入った看板もよく見かけることができ、売られている酒の瓶の形も、アンティークな雰囲気が漂っていた。また、岐阜県と言えば、何といっても有名なのが飛騨牛だ。その肉を使った寿司を販売している店は、少し高めの値段設定であるものの、すぐに完売となってしまうほどの人気だ。

●高山陳屋で歴史を垣間見る

高山市八軒町には、有名な「高山陳屋」もある。元来は飛騨高山藩主であった金森氏の所有する下屋敷だったものの、江戸幕府が飛騨国を直轄領として管理するために代官所・飛騨郡代役所(陣屋)として用いられるようになった。今では、日本で現存する唯一の陣屋となっている。敷地内の土蔵は、元々慶長年間(1600年前後)に建設され、1695年に現在地に移築され、その後1816年から1841年まで改築が繰り返されたが、内部の構造は依然として昔の状態を保っている。

日本の木造建築の技術は、実は中国から伝わったとも言える。中国の職人が7000年かけて経験を積んで築いたほぞ接ぎで木材を組み合わせ、モジュール制を尺度とする設計と加工方法を採用している。北京の四合院や蘇州園林、西遞宏村などはその代表的な建築物だ。

三町からもほど近い高山陳屋の木材は深みのある色になっており、歴史の長さを感じさせる。建物全体に歴史情緒が漂い、風格さえ感じられる。その中に入って見学してみると、中はとてもシンプルな作りになっている。平らな廊下に、畳、さらに和室にはなにげなく生け花や掛け軸が飾られており、典型的な日本建築だ。吟味所、御役所、大広間など、たくさんの部屋もあり、迷子になりそうになるほど広い。長い廊下をゆっくりと歩いていると、厳粛な空気が流れており、髪を結ったり、きせるをふかしたり、刀を腰にさしたりしている役人とすれ違うような気分になる。

建物の中はシンプルな作りであるものの、庭園にはまた違う趣がある。建物の周りには石の溝が張り巡らされ、排水施設からは当時の人の知恵が感じられる。また、いろいろな花や木が植えられ、色彩に富み、日本庭園独特の静けさと和の趣を感じることができる。

●人のぬくもり

陳屋から出てくると陳屋前朝市があり、日本伝統の漬物や野菜、果物が販売されている。私が生まれ育った町では、家の近くに通りが一本あり、早朝の5時ごろから正午まで、手押し車や露店で新鮮な野菜や安い果物、さらに魚、肉、調味料、乾物などを売っている人でにぎわっていた。子供のころ、私は朝市に行くのが大好きで、値段交渉をしているおばさんや手押し車を引いているおじいさん、カラフルな野菜や果物などが子供だった私の目に次々と飛び込んできたものだ。

一方、高山市の朝市の規模は小さく、数十メートルの通りに、白いテントを張って、テーブルを並べ、きれいな布をひいて、果物や野菜が、値段が書かれたプレートと一緒に整然と並べられている。それらを買うのは、ほとんどが地元の人。観光客はそれを物珍しそうに見ているだけだが、野菜などを売っているおじさんたちは丁寧に対応してくれる。「がっかりして、悲しい時は、野菜市場に行ってみるといい。そこは最も活気のある場所で、たくさんの人がいて、とてもにぎやかだ。食品などの生活必需品のために、忙しく走り回るというのは、人の本来の姿」という言葉を聞いたことがある。

高山市は、日本人にも人気の観光地で、毎年平均300万人の観光客がここを訪れる。懐かしさ漂う古い建築物の魅力とは一体何なのだろうとよく考えることがある。古い町並み残る高山市を歩き、寒空の下で、暖かいスープを通りがかりの人に配っているお店の人を見て、その理由が突然分かったような気がする。実際には、人々が魅力を感じているのは、建築物ではなく、そこにある雰囲気なのだ。歴史情緒ある窓格子や建物にその雰囲気は詰まっており、それが、カバンや花、酒などに乗り移り、最終的に、人と人のつながりを通して人の心に伝えられる。このような雰囲気の中で、人々は時間を逆行させ、古き良き時代へとタイムスリップできるのだ。(提供/人民網日本語版・編集KN)

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