<コラム>中国が砂糖輸入にセーフガード発動、背後に見える「国有企業への手厚い保護」

如月隼人    2017年5月26日(金) 19時20分

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中国政府は22日、砂糖の輸入に対して同日から追加関税によるセーフガード措置の適用を始めた。関税率は最大で95%になる。輸入企業にとって大きな打撃になると見られるが、国有企業には事実上の優遇策があるためそれほど大きな影響は受けない可能性が高い。資料写真。

中国政府・商務部(中国商務省)は22日、砂糖の輸入に対して同日から追加関税によるセーフガード措置の適用を始めた。関税率は最大で95%になる。輸入企業にとって大きな打撃になると見られるが、国有企業には事実上の優遇策があるため、それほど大きな影響は受けない可能性が高い。

中国の砂糖輸入は数年にわたり急増してきた。2009年には106万トンだった輸入量は15年には485万トンに達した。16年には306万トンに落ち込んだが、17年に入ってからは前年同期比50%増に近い状況が続いている。

砂糖(粗糖)が生産量でも輸入量でも最も多いのはブラジルだ。中国も砂糖輸入の約7割をブラジルに頼っている。その他の国ではキューバ、タイ、オーストラリア、韓国などから輸入している。また中国の砂糖輸入量は2015年時点では世界第1位だった。

中国の砂糖輸入の特徴のひとつが、政府が関税優遇の対象となる「割当量(関税配額)」を定めていることだ。これまで通常の関税率は50%だったが、輸入業者が自社取り扱い分を「割当量」と認められれば税率が15%と大幅に引き下げられる。2017年の「割当量」は194万5000トンだ。

砂糖輸入企業が関税の優遇を希望する場合、自社の輸入に対する「割当量の配分」を申請する。商務部が16年12月に発表した17年分の申請企業の一覧を見ると、まず「国営貿易」の項目があり3社が申請している。「国営貿易」は国として輸入してから国内企業に販売する方式なので、事実上は砂糖輸入についての業務受託の申請だ。

申請したのは中糧集団、中国糖業酒類集団、中国商業対貿易総公司の3社だ。中国企業の資本構成は極めて複雑な場合が多いのだが、中糧集団は国有中央企業つまり中国中央政府が出資する国有企業だ(地方政府の出資会社も地方国有企業として扱われる)。中国糖業酒類集団は国有中央企業の中国華孚貿易集団の子会社だったが、中国華孚貿易集団は14年に中糧集団の100%子会社になった。つまり中国糖業酒類集団は国有企業の孫会社だ。

中国商業対貿易総公司は古くは国営企業だったが、現在は中商企業集団のグループ企業。そして中商企業集団は国有中央企業の中国誠通控股集団の完全子会社。つまり中国商業対貿易総公司も国有系の企業だ。

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