<コラム>日中で異なる食の価値観、中国人夫のことばで私は解放された

むらさわりこ    2017年5月27日(土) 14時40分

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私は野菜が大好きである。野菜は健康の為に毎日食べなければいけないと思っているし、肉ばかり食べていては身体に悪いと思っている。しかし中国人夫の中国式健康論は少し様子が違うようである。資料写真。

私は野菜が大好きである。野菜は健康の為に毎日食べなければいけないと思っているし、肉ばかり食べていては身体に悪いと思っている。しかし、中国人夫の中国式健康論は少し様子が違うようである。

以前、肉ばかりの食事が続いたことがあった。仕事の忙しさにかまけて野菜もろくに取らずに偏った食事ばかり取っていたのだ。そんな時、私の心に芽生えたのは「野菜を食べていない罪悪感」だ。日本人でも色々な価値観の人がいると思うが、私は小さい頃から「野菜は毎日食べなさい。お肉ばかりでなくお魚も食べなきゃ駄目ですよ」と家庭や学校で言われていた。それはいつしか「野菜を毎日食べなければいけない」という健康に対する強迫観念のようなものに変わっていった。

「なにか野菜食べなきゃ!」と慌てる私に夫はのんびり言った。「別に野菜は食べても食べなくても良い。もちろん食べた方が健康には良いけど、無理して食べることはない。オレ、中国人だから野菜食べなくても平気」。中国人だから野菜を食べなくて良いというのは意味の分からない夫の自論だが、中国人は悪く言えば健康への意識が日本人より低く、良く言えば食事に対して日本人よりゆったり構えている。おそらく中国人だけではなく、私のドイツ人の友人は夕食が巨大なアイスクリームだったり、アメリカ人の友人は昼食がポテトチップスとコーラだったりするのである。これは私の個人的な考えだが、日本人は基本的に真面目な人が多く、仕事に対しても食事に対しても、一生懸命全力で完璧に頑張ろうとするタイプが多いのではないだろうか。

夫いわく、中国では「肉を食べないで野菜や魚ばかり食べていると強くなれない」という考え方をする人も一定数いるらしい。夫は海沿いの村で育ったため海産物は日常的に食べていたが、「肉ばかり食べてはいけない」とか「野菜を毎日食べなければいけない」といったことは誰からも言われたことがないそうである。

「食べたいものを美味しく食べるのが一番」というのが中国人の食の価値観。「食べたいものばかり食べるのでなく、栄養のあるものを毎日食べるのが一番」というのが日本人の食の価値観。中国人は食への情熱を燃やす「グルメの国民」であるし、日本人はほとんどの人がバランス良く食材を購入するなど、健康に気を使う食事が出来る経済的豊かさを備えているとも言える。

ただ私が夫に「別に毎日野菜食べなくて良いと思う。肉が食べたいなら肉を食べれば良いし、魚が食べたいなら魚を食べれば良いでしょ。健康的な食事がストレスになったら、それこそ身体に良くないよ」と言われて感じたことは、ある種の安堵感であった。「女性はヘルシーな料理が好きでなければいけない」「美味しくないものでも栄養があれば食べなければいけない」そういった食のプレッシャーから解放されたような気がしたのだ。知らず知らずのうちに私自身が勝手にこのような価値観に縛られていたのかもしれない。女性の私だってたまには脂がギトギトのラーメンを頬張りたいと感じる時がある。

健康な食事は大切である。それは事実である。中国人の夫には、日本人の高い健康意識を見習って、もう少し健康への意識を高めて欲しいと思っている。一方私には、もう少し食事を自由に楽しむ心があってもよかったのかも知れない。それに気づかせてくれたのは、他でもない中国人夫だった。

■筆者プロフィール:むらさわりこ

1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。

■筆者プロフィール:むらさわりこ

1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。

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