日本はいつまでAIIBを拒絶していられるか?―中国専門家

人民網日本語版    2017年5月24日(水) 9時10分

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アジアインフラ投資銀行(AIIB)の影響力がますます大きくなっている。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の影響力がますます大きくなっている。5月13日に行われた理事会では、参加申請した7カ国の参加が承認され、これにより参加国は77カ国に増えた。年内には85カ国・地域に拡大する可能性もある。中国網が伝えた。(文:張敬偉・チャハル学会シニア研究員)

時代の中で大きな抱負を抱く金融機関として、AIIBは世界銀行、アジア開発銀行(ADB)と並ぶ世界的金融機関になった。経済の新たな周期において、AIIBが焦点を合わせるのは付帯条件や手続きが繁雑な貧困扶助プロジェクトではない。AIIBはグローバル市場におけるインフラ建設の不足を補い、豊富な資金によって世界に普遍的に存在する「解決が待ち望まれるさまざまな問題」を解決することに目を向けている。こうしたわけで欧州の英国、フランス、ドイツなどの国から新興市場の「新興5カ国」(BRICS)、さらには北米のカナダまで、中国が主導するAIIBに次々参加するようになった。

様子見をしたり、決断を遅らせたりしている国といえば米国と日本だ。このほど閉幕した「一帯一路」(the belt and road)国際協力サミットフォーラムに、日米両国も代表を派遣した。特に米国は米中首脳会談後、(貿易不均衡解決のための)「100日計画」をめぐって歴史的意義のある多くの共通認識に到達した。そうして実務主義を基調とするトランプ政権は、AIIBにメリットがあるとみれば、遅かれ早かれ参加することになる。米国にひたすら追随してきた日本は、あとどれくらいAIIBを拒絶し続けられるだろうか。

今月15日、中国を訪れて同フォーラムに参加した日本の自由民主党の二階俊博幹事長は、日本はAIIBに早期に参加を決断すべき段階にきていると述べ、またAIIBをめぐってあまり大きく遅れないようにしなければならないとの見方を示した。「遅れる」というのは、実際には米国の突然の参加を恐れているのであり、ここに日本の第二次世界大戦後の一貫した政治的思考が浮き彫りになっている。

日本はAIIBに対抗するため、今後5年で1100億ドル(1ドルは約111.3円)を出資して、アジアインフラ市場を中国と争う姿勢をみせたことがある。日中両国の東南アジアの高速鉄道建設をめぐる戦いで、日本は勝利したが、日本のばらまき競争のようなやり方は、中国のAIIBやシルクロード基金など複数チャンネルによるメカニズム化された融資プラットフォームと比較すると、持続可能性に乏しいものと言わざるを得ない。

アジアからアフリカまで、日本から欧州まで、どこも大規模なインフラ建設によって新たな経済周期における経済成長を後押しする必要がある。米国といえども、減税措置や中国からの直接投資の誘致によって自国のインフラ建設を完成させる必要がある。これが市場の大きな流れであり、一国単独モデルはもはや時代遅れであり、AIIBのような新しいタイプのグローバルガバナンス機関が新たな経済周期におけるグローバルインフラ建設を主導する必要がある。

AIIBに集まる資金の規模がますます大きくなっている。AIIBが16年始めに運営をスタートしてから、これまでに貸し出した金額は20億ドル前後に過ぎないが、融資プロセスと貸出効率という点では世界銀行やADBを上回る。AIIBの金立群総裁は、「AIIBはこれまでに資本金(1000億ドル)の2.5倍にあたる資金を貸し出す権限を授与された。これはつまり、AIIBが非常に着実な基礎をうち立てたなら、追加資本を必要とせずに、2500億の融資が可能だということであり、これは世界銀行の現在の融資規模に相当する」と述べた。

どんなカードを切ってくるかわからない米トランプ大統領が、米国のAIIB参加を決める可能性がある。こうした状況の中、日本は不安に陥るとともに立場の矛盾もみられるようになった。自民党「ナンバー2」の二階幹事長はAIIB参加に楽観的な立場をとる。安倍晋三首相は「疑問点が解消されれば前向きに考える」と述べ、ちゅうちょする様子をみせる。菅義偉官房長官は16日、引き続きAIIBに対する懸念を表明し、「(AIIBは)発足当初からガバナンスが公正なものを確立できるのか、環境、社会に対する影響への配慮が確保されているのか、運用を注視していくと申し上げている。そのことにまったく変わりはない」と述べた。

公開性や透明性、運営の公正さなどに言及するところから、日本の矛盾した心境が読みとれる。米国に先を越されてはならず、自国のメンツも気にしている。日本に金銭的な問題はないとみられ、問題になるのは地域や世界における帰属感だ。オバマ大統領の時代には、日本は地縁政治や地域経済(環太平洋経済連携協定<TPP>)において全力で米国に協力し、米国に次ぐ日本の影響力を存続させようとした。だがトランプ大統領が就任するとすべてははかない夢と消え、中国が主導するグローバル経済秩序が形成され、中国プランが世界中で歓迎されるようになった。

日本は社会経済が直面するさまざまな「宿題」を解決しなければならない。人口高齢化、財政収入の激減、産業の空洞化などで、「アベノミクス」では内に潜む活力を生かすことはできず、日本は引き続き広大な外部市場を必要としている。AIIBは日本に実行可能なプランを提供してきた。AIIBを拒絶することは、日本の利益にならない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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