<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・五輪の街に漂う春の風物詩

Record China    2008年4月15日(火) 7時27分

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毎年、春の到来は、北京の街をフワフワと漂う白い『わたぼうし』から感じる。13日、北京はあちこちで、この『わたぼうし』が飛び交った。写真は北京市のオリンピック公園に建設中の高級住宅街。

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五輪の街に漂う春の風物詩

毎年、春の到来は、北京の街をフワフワと漂う白い『わたぼうし』から感じる。

13日、北京はあちこちで、この『わたぼうし』が飛び交った。「柳絮(リウシュー)」と呼ばれる“春の使者”たちだ。柳の綿が風に吹かれて空中に投げ出され、町中を飛び回る。さながら小雪が舞うようだ。バスやタクシーの中にも入ってきたり、時には部屋の中にも浸入してきたりして、北京の人たちは厄介がるが、私にとっては、長く厳しい北京の冬からやっと開放されたことを実感できるワクワクする風景だ。

午後から、射撃の五輪テスト大会の取材が控えていたが、春の陽気に誘われて、ちょっと早めに外出し、国家体育場(鳥の巣)や国家水泳センターが立ち並ぶオリンピック公園に足を運んでみた。

北京の郊外の街をぐるりと結ぶ環状道路「4環路」から北に広い直線道路が延びていて、その沿いに選手村やメイン競技場など、五輪の各主要施設が並ぶ。

五輪向けに美しく整備されたその道路を久々に歩いた。そういえば、去年も同じ『わたぼうし』の時期も、同じように、ここを歩いたのを思い出す。その頃は、まだ鳥の巣も水立方も工事の真最中。その前に高くそびえるホテルと商店が一緒になった複合ビルも建設中で、敷地のただっ広さと、工事のために辺り一面に巻き起こる砂ぼこりばかりが印象に残る場所だった。

そして、辺りを行き交う人々は100パーセント全て、黄色い安全ヘルメットをかぶった工事作業員だった。お昼時には昼飯のマントウと炒め物をかきこみながら談笑する人、その脇で故郷の新疆の音楽を聞きながら休憩する人…色々な言葉が飛び交っていて、北京語がある程度分かる私にとっても、ちょっとした異国感を感じる場所だった。その大きな声はさながら、『このオリンピック公園の今の主人公は俺たち』と主張しているかのようだった。確かに、この時、ここの主人公は彼ら「工人(ゴンレン)」だった。

あれから1年。工事を終えた作業員の宿舎は全て取り壊され、一部を除いて、作業員の多くは故郷に帰っていった。

ここの主人公は、鳥の巣や水立方という新しい観光名所をバックに記念写真を撮る「おのぼりさん」や北京市民たちに代わっていた。今日の北京はお出かけには絶好の陽気。オリンピック公園周辺には、大勢の人たちが詰めかけ、鳥の巣の独特のデザインと自分の姿がうまく写せる『絶好のカメラポジション』を探して回っていた。

そして、あと4か月足らずで、いよいよオリンピック本番がやってくる。その時の主役は、世界各国からやってきた選手や観客たちとなるのだろう。オリンピック公園の風景もまた今とは全く違った様子となるに違いない。

では、その「夏の盛会」が終わった後は、いったい誰がここの主役になるのだろう。それを考えるのはまだ早い!と北京市民から叱られそうだが、そろそろ、それを心配してもいい時期でもある。来年の「わたぼうし」は、どんなオリンピック公園を漂っているのだろう。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

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