<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・鳥の巣お披露目、マラソン日本…テスト大会ラッシュの4月―まず射撃から

Record China    2008年4月14日(月) 6時31分

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去年8月から続々と開催されてきた北京五輪のテスト大会。8月の本番を前に、4月はいよいよ大詰めを迎え、開催もラッシュ状態となる。写真は北京市石景山のオリンピック射撃館。

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テスト大会ラッシュ始まる…

去年8月から続々と開催されてきた北京五輪のテスト大会。8月の本番を前に、4月はいよいよ大詰めを迎え、開催もラッシュ状態となる。

4月10日からの『射撃W杯』を皮切りに、シンクロ五輪予選(16日―20日)、クラブ対抗バレーボール(16日―21日)、フェンシング世界選手権(18日―20日)、競歩(18日、19日)、女子バスケットボール(19日―26日)、女子サッカー(19日)、マラソン(20日)と、計8種目がわずか10日あまりの間に開催される。

取材する側にとってみれば、まさに「猫の手を借りたい」状態となるのだが、スポーツファンにとっては本当にたまらない10日間となりそうだ。

注目の競技はまず18日、19日の競歩が挙げられるだろう。北京五輪の象徴的スタジアムである国家体育場(愛称:鳥の巣)のこけら落としであり、10カ国138人の選手が、ホヤホヤの新競技場で1戦目を戦う。試合の結果よりもむしろ、国家体育場のお披露目のほうに世間の注目は集まりそうだ。

また日本の有力選手にとっても「実地テスト」の大切な大会となりそうなマラソンも楽しみである。温度、湿度、大気、路面の硬さなど、様々な面でチェックが行われるようで、日本勢の土佐、佐藤、尾方らが北京のコースをどう感じるかが面白い。世界記録保持者の欠場など、何かと話題が多い競技だけにテスト大会での各選手の反応にも迫ってみたい。

あとは「シンクロの母」井村雅代氏が中国代表ヘッドコーチを務めるシンクロナイズドスイミングも注目である。他の大会と異なり、今大会は、五輪出場が直接かかってくる予選なので、真剣度が全く違う。『中国にメダルを取らせるため』にやってきた井村チャイナにとって、今大会は非常に重要。採点競技であるシンクロにとって、『演技前の先入観』が何よりもモノをいうからだ。その意味でも、今大会、中国代表がどこまでやれるか、そしてライバル意識を燃やす日本がどんな演技を見せるか、見所は多い。

さらに20日には女子サッカーの北京五輪の組み合わせ抽選会が予定されるなどビッグイベントも多い。一体、どこに行けばいいのか分からないほど、見どころ盛りだくさんとなるテスト大会の開催ラッシュ…まずは射撃から始めて、連日たっぷりとテスト大会の模様、盛り上がりをレポートしたい。

■2008年04月12日■

五輪テスト大会「射撃W杯」開幕、巨大な射撃場がお目見え

北京五輪のテスト大会を兼ねた射撃のワールドカップが本大会の会場となる北京射撃場で開幕。初日は女子10mピストルとライフルの予選、決勝、そして男子トラップの予選が行われた。

25mピストルで五輪出場を決めている福島實智子(國友銃砲火薬店)は初日、10mエアピストルに出場。中盤からスコアが乱れ、トータル376点の45位で予選落ちとなった。試合後、福島は「(実際の会場を体験したことで)モチベーションが一気に上がった」と振り返り、大会本番での健闘に自信を覗かせた。

また10mライフルでは、アテネ五輪のメダリストのエモンス・カテリナ(チェコ)が優勝。中国の第1人者で同種目の世界記録保持者である杜麗は3位に終わった。

『世界一』の射撃場が本番を待つ…

「ここを見れば射撃に対する中国の思い入れが分かる」…

中国西郊外に建設された北京五輪の射撃会場「北京射撃場」を目にしたときに、日本代表のコーチが口にした言葉だ。バルセロナ五輪でメダルを取るなど世界を歴戦してきた同コーチは「間違いなく世界一の射撃場」と絶賛する。もちろん、細かい点で不備はいくつかあるが、少なくとも、「入れ物」は世界一というわけだ。

北京を東西に走る地下鉄1号線の最西端の駅から路線バスで10分。秋には紅葉狩りの客で賑わう「香山」のふもとに北京射撃場はある。2500名を収容するメイン射撃場を始め、10種目がここで行われる。

北京五輪に向けて新築された競技場のうち、最も早く竣工した場所でもある。私自身も、門の前に立った最初の感想は「デカい…すごい」だった。

中国スポーツを統括する政府機関、国家体育総局射撃部と併設する形の競技場で、国家代表選手の合宿やユース選手の養成施設なども完備している。周りの郊外に特有な下町風の町並みからすると、かなり違和感のある近代的な作りだ。

射撃は中国が夏季五輪史上初めて金メダルを獲得した競技。そして、中国が最も強化に力を入れている競技の一つでもある。その思い入れが、この超巨大な射撃場に表れている、というわけだ。

北京五輪のテスト大会を兼ねて行われる射撃W杯が12日、幕を開けた。(20日閉幕)93か国から選手847人、役員417人が参加する今大会は一連のテスト大会の中でも最大規模。また中国が開催地となる射撃の国際大会としても過去最大となる。

日本からも、ソウル五輪の銀メダリスト、福島實智子らが本番に向けた下見を兼ねて、出場する。

■2008年04月13日■

射撃の五輪テスト大会、春の陽気の中、客席は満員

五輪テスト大会を兼ねた射撃のワールドカップは13日、大会2日目を迎え、男子の10mピストルとトラップが行われた。

トラップは空中に投げ出されるクレーを撃ち、その命中数で競う種目。北京西郊外の北京射撃場の敷地内に広大なトラップ場がある。小高い山を正面にして、6か所の競技エリアが設けられていて、選手は自然豊かな山々に向かい合う形で、ライフルを構えることになる。

それにしても、印象深いのは観客の多さだ。会場内に設けられた座席数はそう多くはないが、今日は週末ということもあって、観客に開放された座席はほぼ満席。あらためて中国の人たちの射撃に対する思い入れの深さを実感する。

会場を訪れた日本の射撃関係者が『設備は超一流』と口を揃えるが、観客の皆さんの関心の高さも、日本とは比べ物にならないのではないか。

今日の北京はぐっと気温が上がり、初夏の陽気。会場には半そでシャツ姿で観戦する人たちも多く見られた。すっきりと晴れ渡った空の下、体全体に小気味よく響いてくるライフルの音を感じながら、超一流の選手たちの熱戦を見守るというのは、なかなか心地いい。

中国の射撃ファンはその楽しみ方を十分に知っているような気がする。

なおトラップの試合は、スロベキアのマリオ選手がトータル142点で優勝を果たした。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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