<コラム>香港基本法ににじみ出る中国政府の「言うこととやること」の落差

如月隼人    2017年5月2日(火) 23時10分

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香港は7月1日、英国からの中国返還20周年を迎える。本来ならば祝賀ムードが高まっておかしくないのだが、どうもそうはならないようだ。写真は香港の区旗と中国国旗。

香港は7月1日、英国からの中国返還20周年を迎える。本来ならば祝賀ムードが高まっておかしくないのだが、どうもそうはならないようだ。4月30日付朝日新聞によると、香港当局は最近になり中国に批判的な立法会(議会)の現職・前職議員5人を逮捕した。中国の習近平国家主席が7月1日の記念式典に出席するために初めて香港を訪れる予定で、中国に対する抗議活動を弱める狙いがあるとの見方があるという。

現在の香港のあり方を定めた法律が香港特別行政区基本法(香港基本法)だ。中国当局はこれまで、香港についての見解を表明するさい、しばしば「香港基本法」を引き合いに出してきた。

同法には「香港特別行政区では社会主義制度と政策を実行せず、元からの資本主義制度と生活法方式を保持して、50年間変えない」(第5条)、「香港住民は言論・報道・出版の自由、結社・集会・示威の自由、労働組合の組織と参加・ストライキの年利と自由を享有する」(第27条)などで、それまで香港人が獲得してきた生活や経済活動の方式や各種の自由を保障している。

同法は同時に、「香港特別行政区は自ら、国家反逆・国家分裂・反乱扇動・中央政府転覆および国家機密を盗み取る行為を禁止する立法をする」(第23条)など、香港が中国の国家体制に組み込まれた存在であることを強調した部分もある。

今回、筆者にとって香港基本法が気になったのは、中国政府の在香港機関である中央政府駐港連絡弁公室の王振民法律部部長が4月28日に、香港基本法の地位に関連する発言をしたからだ。王部長は香港基本法について「全国の法律体系の一部分。国家憲法の遺伝子を引き継いだものだ。憲法の代替物ではなく、憲法の上に置くことは、さらにありえないことだ」、「世界で中国の制度を最も悪く言うのは米国でも欧州でもその他の場所でもない。まさにこの香港だ」などと述べ、香港人は中国大陸部の制度に対して「最低限の尊重をせねばならない。畏怖の念を持たねばならない」と論じた。

王部長は香港に対する中国中央政府の姿勢を具体的に述べたわけではないが、政府の関係者として香港に対する管理強化が念頭にある発言と理解してよいだろう。香港では若年層を中心に「脱中国志向」が高まっており、独立を求める声も高まっている。王部長は翌29日には、香港の高度な自治を認めた「一国二制度」について「一国を認めることが基本条件と述べ、香港人が独立運動を行うようでは「二制度」の枠組みは続けられないと主張した。

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