日本はゾンビ企業をどうしたか=産業再生機構の場合―中国メディア

人民網日本語版    2017年4月29日(土) 7時30分

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「バブル経済」が崩壊すると、日本ではゾンビ企業が激増した。

「バブル経済」が崩壊すると、日本ではゾンビ企業が激増した。2003年には「株式会社産業再生機構法」が公布され、株式会社産業再生機構が発足し、まだ力のあるゾンビ企業が財務面の苦境から抜け出し、企業経営の「再生」を達成することをバックアップするようになった。こうしたやり方は中国にも参考になるものだ。新華網が伝えた。(文:張季風・中国社会科学院日本研究所所長補佐および研究員、田正・同研究所補佐研究員)

学術関係者の一般的な見方によると、企業経営が銀行からの貸出金と利息の減免のみによって維持され、短期的に債務を返済できる可能性がない、効率の低い企業がゾンビ企業とされる。

1990年代に日本で「バブル経済」が崩壊すると、不動産価格と株価が急落し、多くの企業が重い債務負担を背負うことになり、主業務にも影響が出て、銀行からの継続的な貸出金によって経営を維持するしかなくなった。こうしてゾンビ企業が大幅に増加し、日本の銀行システムでは不良債権が数量ともに増加を続け、金融システムの安定性にとって深刻な打撃になった。また日本の産業のバージョンアップや転換にもマイナス影響を及ぼし、ゾンビ企業は日本経済が長期的低迷から脱出するのを阻む大きな難題となっていった。

90年代の中期から後期にかけて、ゾンビ企業は増加を続け、長期低迷状態に陥った日本経済にさらに多くのマイナス影響を与えた。

マイナス影響とは具体的には、▽ゾンビ企業が銀行の不良債権の数量を増加させたこと▽ゾンビ企業が企業のバージョンアップに影響し、経済のあらゆる要素の生産効率を引き下げたこと▽ゾンビ企業が資源配置をゆがめて産業のバージョンアップにマイナスになったこと、の3点だ。

▽産業再生機構を設立してゾンビ企業を処理

70年代から80年代にかけて、日本の鉄鋼産業や金属精錬産業は生産能力の過剰、設備の過剰といった深刻な問題を抱えていた。国内の鋼材ニーズが減少し、企業の収益も減少した一方で、生産のコストは急上昇し、日本の鉄鋼企業はゾンビ企業に陥る危機の中にあった。当時、日本政府は産業政策を運用して過剰生産能力を削減すると同時に、海外に生産能力を移転するという方法を採用して、産業のバージョンアップ・モデル転換を促進した。生産能力の国際市場間の移転を通じて、ゾンビ企業の経営の苦境が緩和され、企業は販売市場が拡大し、さらに国と地域との間での地域協力が促進され、生産技術の国際市場における拡散が実現した。新日鐵と宝鋼の協力は生産能力の海外移転とゾンビ企業問題の解決における成功事例だ。

90年代の中後期になると、日本は緩和を基調とした金融政策と通貨政策を打ち出したが、ゾンビ企業とそこから生じる問題はまだそれほど重視されていなかった。この間、日本政府は財政資金を大量に投入し、低金利で緩和を基調とした金融環境を提供したが、これがかえってゾンビ企業発生の土壌を生み出し、ゾンビ企業の発生と蔓延を後押しすることになった。

日本政府は01年になってやっとゾンビ企業問題の解決に着手した。問題解決のカギは銀行がゾンビ企業に引き続き貸出を行うのを阻止することにある。銀行と企業が自らこうした問題を解決するのは非常に困難であり、第三者機関の設立が急務とされた。銀行部門の不良債権問題を解決し、ゾンビ企業の数を減らし、日本の産業の活力を回復させるため、日本は03年に「株式会社産業再生機構法」を公布し、産業再生機構を設立し、まだ力のあるゾンビ企業が財務面の苦境から抜け出し、企業経営の「再生」を達成することをバックアップするようになった。

産業再生機構は政府が主導して設立したもので、主要株主は預金保険機構や農林水産業の共同組合など国の政策金融機関で多く構成されている。また産業再生機構が企業を支援する際には所管大臣の審査認可が必要であり、政府主導の色合いが濃いといえる。銀行の不良債権処理と企業の経営活動の再建が産業再生機構の主要任務だ。産業再生機構による債権購入を保証するため、政府は総額10兆円の保証金を提供した。

07年に産業再生機構は支援するすべての企業の債権の処理を終え、予定より1年前倒しで整理・清算をスタートした。産業再生機構は存在した4年間に、企業41社への支援措置を実施した。支援を受けた企業の産業分布は非常に広く、電子設備製造業、自動車製造業などの製造業もあれば、卸売小売、ホテル、観光などのサービス産業もあり、建築業や鉱業などもあった。全体としてみると、支援した企業は非製造業が中心で、企業規模では中小企業が圧倒的多数を占めた。

産業再生機構は市場における優位性と政府の後押しという優位性を存分に利用して、資源面での相互補完を実現し、日本の不良債権問題とゾンビ企業問題の解決を推進した。これは一種の体制の刷新だといえる。機構の存続期間は限定されたもので、処理した企業の数は多くないが、企業の経営状況改善の役割を果たすとともに、産業の中で模範的効果を上げ、産業の発展と刷新をもたらした。また産業再生機構の支援と再編を通じて、非支援企業が新しいビジネスモデルや経営モデルを構築することが促進され、企業の市場における競争力向上が促進され、ひいては当該企業が所属する産業クラスターの発展につながった。05年以降、日本ではゾンビ企業の数が減少傾向にある。

▽重点は経営業務の再建

日本の産業再生機構には2つの重要なポイントがある。1つは設立方式で、官民の共同設立としたことだ。産業再生委員会の委員選出でも、企業債の購入の決定や出資保証などでも、すべて政府の認可が必要だ。しかし運営プロセスでは市場による運営を主体とするという特徴があり、資産の評価、「企業再建計画」の制定といった段階では、すべて民間企業の専門家の関与が必要になる。政府の主導により、不良債権問題の解決が促進されたといえる。

もう1つは産業再生機構は不良債権問題の処理を重視するだけでなく、企業経営の再生をより重視したということだ。企業財務の再建を終え、企業が財務面での苦境を脱すれば、産業再生機構は支援の重点を企業の経営業務の再建に移す。企業の非コア業務を移転売却し、コア業務の強化に力を入れ、経営コストを引き下げ、経営業務の再建達成に向けて努力した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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