<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・どうも盛り上がらないぞ?!=運営担う日本企業は…―中国野球リーグ

Record China    2008年4月11日(金) 5時33分

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7年目を迎える中国野球リーグが11日、開幕する。だが、オリンピックイヤー…しかも、最後の五輪となるかもしれない野球がどうも盛り上がらない。写真は中国代表チーム。

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7年目を迎える中国野球リーグが11日、開幕する。だが、オリンピックイヤー…しかも、最後の五輪となるかもしれない野球がどうも盛り上がらない。

北京、天津上海など6都市をフランチャイズとする各チームがリーグ戦を戦い、『中国一』を決める中国野球リーグ(CBL)。そもそも北京五輪に向けた強化が目的で2002年にスタートしたのだが、日米のプロ野球界と技術、人材交流を重ね、また日本企業がスポンサーに名乗り出るなど、単なる『五輪狙い』だけにとどまらない、独り立ちを目指した野球リーグに発展していった。

そして迎えた2008年。オリンピック競技からも外された中国野球にとって、今年の野球リーグは大切な大会となるはずだった。興行によって自ら資金を稼ぐ“市場化”が生き残りには必須だからだ。

だが、今年の野球リーグについて、漏れ聞こえてくる情報はどれも、そんな2008年をアグレッシブに乗り切ろうという内容のものではない。

五輪スタジアムは使えず…体育学校グラウンドが本拠地

まずは会場である。先月、例年より早く公式HPに掲載された今シーズンの日程表には、北京を本拠地とする北京タイガースのホーム球場が、五輪スタジアムの「ウークーソン球場」となっていた。そして4月11日の開幕戦は、その五輪スタジアムで行われ、華々しく2008年のCBLが幕を開ける予定だった。

だが、3日に正式発表されたリーグ日程には五輪スタジアムの記述はなく、開幕戦も天津での開催に変更されていた。記者会見の席では「北京五輪に向け、会場を保護する必要」があるためとの説明があったが、関係者によると『ここ最近の政治状況もあるのでは?』との憶測もあり、その本当の理由は分からない。

ただ北京のホームグラウンドはこれまでと同様、体育専門学校のグラウンドが使われることになるわけで、いずれにしても、盛り上がりにかけるCBLとなることは間違いない。

野球のルールもまだほとんど普及していない中国では、やはり何と言っても首都のチームと球場がどれだけ頑張れるかが大きなカギを握ると思う。我々からすれば、良かれ悪しかれ巨人を中心に発展してきた日本のプロ野球モデルがどうしても頭に浮かぶのである。「ウークーソン球場を日本の甲子園と同じく、中国野球の聖地にしたい」…開幕まであとひと月というころ、野球関係者がこう意気込んでいただけに、非常に残念だ。

前半戦には代表選手が出場せず 

また今回のリーグはオリンピックを挟んで、4月11日〜5月11日、9月5日〜10月12日の2段階に分けて行われるのだが、前半の1か月、国家代表の選手は五輪に備えるため、リーグには出場しない。ただでさえ『日本の大学リーグレベルかそれ以下』と言われるCBLでトップ選手がいなくなれば、決して見所のある試合が出来るとは思えない。とりあえずは『若手中心』で臨むとしているが、オリンピックまでに野球の気運を盛り上げ、五輪後につなげていくという…そんな青写真が描ける状況でないことは確かだ。国家代表選手は、日本でのキャンプを終え、アメリカで合宿を行う。CBLは試合数が少なく、調整が難しいとはいえ、リーグと共にオリンピックを迎える体制ができなかったことは残念である。

CBLの存続そのものが不透明

さらに、今後の野球リーグそのものの行方が不透明であることも、野球関係者の不安を募らせる。中国野球の運営を担っているのは実は日本企業。その担当者は「少なくとも今年は(CBLは)開催される。だが将来のことまでは…」と言葉を濁す。実際、開催の主体である中国野球協会でさえも、先が分からないというのが実際のところだ。というのも、今回の北京五輪終了後、野球協会では大幅な人事の入れ替えが行われることが予想され、現在の協会トップも『先のことは分からないし、決められない』という状況なのだ。スポンサーを務めるキャノンなど日系企業も「成り行きを見るほかない」というのが現実。五輪を機に、将来に向けたビジョンを思い描く…という状況とは程遠い状況なのである。

今季はリーグ戦、プレーオフなど計78試合が行われる中国プロ野球。様々な不安を抱えながら2008年シーズンが間もなく始まる。

なお今季の中国野球リーグについては、先月、筆者が執筆したスポーツナビコラムも参照して欲しい。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/jpn/beijing/column/200803/at00016785.html

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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