<コラム>また出た!中国の「打ち出の小づち」、バブル崩壊回避の秘策

山口 康一郎    2017年4月22日(土) 11時20分

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今、中国は、バブル、景気、外交でかなりきつい状況になっている事は周知のとおりである。特に北京、上海など大都市の不動産高騰はバブル崩壊の危険性を常にはらみながら 政府がいろいろな規制、指導をしても止まらない。写真は河北省。

今、中国は、バブル、景気、外交でかなりきつい状況になっている事は周知のとおりである。特に北京、上海など大都市の不動産高騰はバブル崩壊の危険性を常にはらみながら 政府がいろいろな規制、指導をしても止まらない。

景気についても、内需の喚起を試みても思ったほどに伸びない。逆に爆買いなど国外製品の需要が伸びてしまったりと、思わぬ方向に進んでしまった感もある。外国企業の中国からの撤退も深刻だ。覇権主義による行き過ぎた拡大戦略も外交的にも詰まってきている。この20年の急激な発展の行き過ぎた反動とも言えるのだろうが、反動も放置していては、国家自体が危うくなる。

さてどうするか?さすがは、中国である。起死回生になるだろう「打ち出の小づち」を打ってきた。新たな国家的新区の設立を発表したのである。

これは、トウ小平が進めた深セン特別経済区と江沢民の上海浦東新区に次ぐ全国的な意義を持つ中国の「千年の計」と位置づけられている。今秋の党大会で2期目に入る習近平総書記(国家主席)の新たな実績作りとなりそうである。

習氏やその腹心の栗戦書・中央弁公庁主任はいずれも河北省で勤務経験があり、習氏の母も河北省出身だ。習氏は18年勤務した福建省と共に河北省への思い入れが深いとされる。今年2月23日には雄安新区の予定地である安新県を視察している。この時期に大規模な都市建設を発表した理由としては、習氏の訪米前に、内需拡大、輸入拡大につながる野心的な政策でトランプ大統領との貿易交渉に役立てる思惑もあると見られている。

その新区は、雄安新区と名付けられ、河北省、雄県・容城・安新という3つの県とその周辺地域から構成され、北京から南西へ100キロ、天津から西へ100キロに位置し、人口38万人の雄県、40万人の安新県、26万人の容城県の一帯を開発する。北京、天津、保定3都市の中央に位置していて、交通の便もよく、優れた地理的優位性と生態環境に恵まれている。初期の開発面積は約100平方キロメートル、中期的開発面積は200平方キロメートル、将来的には2000平方キロメートルが開発される予定らしい。深セン経済特区(広東省)、上海浦東新区(上海市)に続く新区という全国的な意味合いを持つ位置付けである。ちなみに詳しくは後でバブルに関連して説明し直すが、雄安新区設立発表後に現地の不動産価格が数倍に跳ね上がったらしい。

この新区の設立は、中国北方の協同発展を推し進める事を建前としているが 実のところは、冒頭で前述した、行き詰っている中国政府中央が(1)首都北京の過密化による水不足、大気汚染、渋滞問題などの緩和(2)中国北方「北京・天津・河北」地域の経済構造の見直し以外で、「雄安新区開発の戦略的使命」に(3)政治経済が北京への集中からのリスク分散(4)他の大都市バブルの先駆的指導的模範的な改善(5)改革新時代のスタートのきっかけ。の思惑を秘めたとも考えられている。

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