日本ドラマの中国版、中国人の心を捉えるには課題も―中国メディア

人民網日本語版    2017年4月9日(日) 21時0分

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中国では現在、日本ドラマのリメイク版ブームが巻き起こるというおもしろい現象が起きている。

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中国のドラマ市場では、人気日本ドラマの「デート〜恋とはどんなものかしら〜」、「問題のあるレストラン」などのリメイク版がネットドラマとして配信され、「プロポーズ大作戦」や「最高の離婚」のリメイク版も製作中。また、「深夜食堂」が今年の夏に配信される。さらに、「秘密」や「僕のヤバイ妻」などのリメイク版製作権を中国の動画配信サイトが取得したことが最近発表されるなど、日本ドラマのリメイク版ブームが巻き起こるというおもしろい現象が起きている。

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ただ、海外の名作ドラマのリメイク版を製作するというのは、決して容易なことではない。1981年に、日本のドラマ「姿三四郎」が初めて中国で放映されて以降、リメイク版という面では日本ドラマの開発はこれまで進んでこなかった。これほど長く放置されていた山が突然発掘され始めたが、掘り出されるのは「宝」なのだろうか?それとも徒労に終わってしまうのだろうか?(文:李夏至。北京日報掲載)

■リメイク版は日本ドラマファンの心を捉えられない?

日本ドラマのオリジナル版が好きというドラマ評論家の連城さんは、「僕の知っている日本ドラマファンの中で、リメイク版を好んで見る人はほとんどいない。オリジナル版を見て、それが好きであればそれで十分。リメイク版を見る理由がない」とし、「僕の中では、『リメイク版がオリジナル版を勝ることはない』というのが鉄則で、それを破るのはとても難しい。もし、ファンたちが突っ込んだり、批判の声を寄せたりするなら、リメイク版もそれなりに話題になるものの、実際には日本ドラマのファンは『無視』することが多く、話題にもならないというのが現実」との見方を示す。

このようにファンから冷遇され、日本ドラマのリメイク版は出鼻をくじかれた形となっていることについて、製作会社・拉近影業の最高経営責任者(CEO)で、中国版「問題のあるレストラン」のプロデューサーを務めた尚娜氏は、「リメイク版の製作を始めた時から、日本ドラマのファンを一番のターゲットにしていたわけではない。日本ドラマファンはもともととてもクール」と冷静な見方を示した。

■マニアックな日本ドラマの中国版は難度高い

映画・ドラマ関係者の間でも、日本ドラマのリメイク版は難しいというのが共通の認識となっている。韓国ドラマと比べると、日本ドラマと中国の映画・ドラマ業界との連携は非常に遅れている。日本ドラマが初めて中国で放映された81年からこれまで36年の間に、中国版が製作された日本ドラマの数は二桁にとどまっている。一方、93年になって中国市場に足を踏み入れた韓国ドラマは、これまで24年の間に、数えきれないほどの中国版が製作されてきた。2000年以降を見ても、「秋の童話」、「イヴのすべて」、「天国の階段」、「冬のソナタ」、「ランラン18歳」などのリメイク版が次々に中国で登場した。

連城さんによると、日本ドラマと韓国ドラマの影響力も比べものにならない。長年、大きな影響を及ぼした日本ドラマのリメイク版はほとんどない。「深夜食堂」や「世にも奇妙な物語」など、原作の知名度がとても高い作品であっても、そのリメイク版はヒットしなかった。一方、韓国ドラマ「妻の誘惑」の中国版「回家的誘惑(Home temptation)」は、11年に湖南衛視(衛星テレビ)で放送され、最高視聴率は5.2%と、伝説的な記録をたたき出した中国ドラマ「還珠姫 〜プリンセスのつくりかた〜」に次ぐ視聴率を記録。未だに、同ジャンルでその記録は破られていない。

その影響力の違いについては、日本ドラマと韓国ドラマでは、センスや構造、内容の方向性が全く異なるからと説明されてきた。尚娜さんは、「僕も日本ドラマファンの中に長年『潜り込んで』おり、日本ドラマは少数派であることをよく知っている。特にここ数年、『昼顔』や『賢者の愛』など、主流の価値観に挑戦状を投げかけるような作品が登場し、さらに、表現方法も映画のようなスタイルになっており、中国の視聴者の忍耐力や成長はまだその段階に達していない」と指摘する。

■長い目で見れば新たな方向性を与えてくれる日本ドラマ

日本ドラマの原作ファンは、中国では少数派であるという現状を突破するために、人気アイドルを起用してその影響力を拡大させるのも一つの手だ。尚娜さんは、「問題のあるレストラン」を例に、まず初めにファンとなったのが主演を務めた人気女優・焦俊艶のファン。そのようなファンは、このドラマのオリジナル版は何かなどには関心を示さず、自分の好きな女優が新しいタイプの役に挑戦していることに関心を示す。「プロポーズ大作戦」の中国版も同じで、主演の人気俳優・張芸興がクランクアップしたことを伝えるメッセージを中国版ツイッター・微博(ウェイボー)に投稿すると、ファンらが次々に転送。転送数とコメント数が十数万件に達した。

しかし、日本ドラマのファンは、「マニアックなスタイルの日本ドラマが、万人受けするスタイルでリメイクされると、そのオリジナリティがなくなってしまう」と懸念する声を挙げている。日本ドラマファンの小羽さんは、「中国の映画・ドラマのレベルでは、細かなところで表現する日本ドラマの製作レベルに全く達しておらず、役者の演技レベルも比べものにならない。日本ドラマは通常、10話ほどしかなく、人物設定や演技、セリフなど、どれも綿密に練られ、周到に準備されている。しかし、中国版になると、20話以上になり、水増しは避けられない」と指摘する。

それについても、尚娜氏は、「追い風に乗ってこの市場に入って来る資本があるのも確か。しかし、リメイク版が製作され、個性的な表現が特徴の日本ドラマは、映画・ドラマ業界に新たな方向性を提供してくれている。我々製作者は喜んでチャレンジしており、市場からもポジティブな反響を得ている。つまり、日本ドラマを見て新たなセンスが培われた視聴者がいるということ」と、楽観的な姿勢を示している。現在、「問題のあるレストラン」の中国版は14話まで配信され、ネット上での再生回数は1億回に近付いているほか、再生画像に流れるコメントの数も1話当たり10万件に達している。尚娜氏は、「日本ドラマのリメイク版は主流ジャンルにはならないかもしれないが、小さくてもクオリティが高いというのも貴重な存在」とそれらは一つのシグナルであるとの見方を示している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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