<羅針盤>音楽に国境なし、皆でシンフォニー21C「世界の平和」を奏でよう!―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2017年5月14日(日) 11時10分

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音楽に国境がないとはまさにこのことであろう。かつて、ワシントンでの国際会議のあと、時間をつくってナショナル交響楽団を楽しんだ。コンサートホールは、あの桜で有名なポトマック川沿いにある軍艦のように大きなJ・F・ケネディセンターの中にあった。

音楽に国境がないとはまさにこのことであろう。かつて、ワシントンでの国際会議のあと、時間をつくってナショナル交響楽団を楽しんだ。コンサートホールは、あの桜で有名なポトマック川沿いにある軍艦のように大きなJ・F・ケネディセンターの中にあった。ちなみにこのケネディセンターの名誉会長にはブッシュ、レーガン、カーター、フォード、ニクソン、ジョンソンといった歴代の大統領夫人が名を連ね、多くの財団、企業、個人からの資金で運営されている。その層の厚さにさすがに米国という感を持った。日本の多くの工業会も支援しているようで、日米親善に一役かっている。

さてコンサートはチヤイコフスキーの壮大な「戴冠式」で始まり、同じく「ピアノ協奏曲第一番作品23」「ロココによる主題の変奏曲」ラベルの「ラプソディー」と続いた。

指揮者はロストロポピッヂであった。ソルジェニーツィンを擁護したことで旧ソ連から追放され米国に亡命、今でも人権主義者としても有名である。ときに繊細にタクトを振り、ときにはのけぞらんばかりに両手を振り回すジェスチャーに何か祖国への何か祖国への熱き想いを訴えているように感じた。

曲が終わると、たび重なるカーテンコールごとにその曲での主役を演じた団員の人たちに自ら握手を求める心配りや感性の豊かさ、その指揮者への畏敬と敬慕の入り混じった団員のまなざし等、その醸し出す雰囲気に私自身熱いものを禁じ得なかった。

 

またピアノはキューバ生まれのアメリカ人、チェリストはブラジル人、バイオリニストはアルゼンチン人、団員の申に日本、中国、韓国の人たちの名前もある。これこそ国境超えて創り出すハーモニーなのだ。

世界で地域紛争が多発し、その犠牲者の悲しいニュースが絶えない昨今、国連加盟193カ国の音楽家が、シンフォニー21C(センチュリー)「世界の平和」を奏でる日が一日も早く来てほしいものである。

立石信雄(たていし・のぶお) 1936年大阪府生まれ。1959年同志社大学卒業後、立石電機販売に入社。1962年米国コロンビア大学大学院に留学。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員会委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長、財務省・財政制度等審議会委員等歴任。

北京大学日本研究センター顧問、南開大学(天津)顧問教授、中山大学(広州)華南大学日本研究所顧問、上海交通大学顧問教授、復旦大学顧問教授。中国の20以上の国家重点大学で講演している。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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