「着物の魅力を中国の人々に」、中国で奮闘する日本女性―中国メディア

人民網日本語版    2017年3月21日(火) 1時20分

拡大

外国人が体験してみたい日本伝統文化といえば、なんといっても「着物の着付け体験」。これは欧米圏に限らず、中国人にとっても同じ。

(1 / 3 枚)

外国人が体験してみたい日本伝統文化といえば、なんといっても「着物の着付け体験」。これは欧米圏に限らず、中国人にとっても同じ。今回は、「きものコンサルタント」として中国で文化交流活動や映画作品の衣装指導などを通して、日本伝統の衣文化で『着るアート』である着物の魅力を発信している五十嵐あや子さんをご紹介する。(北京滞在歴7年)

その他の写真

■北京へ来たきっかけは中国人男性との結婚

中国人男性と日本で結婚した五十嵐さんは、2009年に夫の転勤で北京に移り、新生活をスタート。中国人と結婚した日本人妻の集まりである「和華の会」に入会し、そこでの誘いをきっかけに、北京で着物の着付け教えるようになった。

日本では子どもの頃からの夢だったピアノの先生をしながら、着付けの仕事をする母親を手伝い、着付けや着付けレッスン、テレビの衣装指導などの仕事をしていたという。そんな五十嵐さんは北京でもピアノ講師を続けながら、着物の着付けレッスンや日本文化に関する様々なイベントを開催している。着物の着付けに関しては、母親の仕事の関係で、幼い時から着物に囲まれた環境で育ち、物心ついた時には、着物を着ることができるようになっていたのだという。

■季節感あふれる文化交流イベント

文化交流イベントは現在年に3〜4回開催しており、生花の講師とともに季節に合わせたテーマで講演をしている。主な参加者は日本文化好きな中国人。APECの際には、内閣総理大臣安倍晋三夫人の安倍昭恵氏がイベントを見学するなど、その注目度も高い。

前回のイベントでは、日本の正月をテーマに、正月の風習や浴衣の着付け体験、風呂敷の包み方の講演をした。参加者は五十嵐さんが作成したパワーポイントの資料で日本の正月のしきたりに関して学んだ後、実際に着物の着付け体験を行った。浴衣は通常夏に着る着物だが、比較的簡単に着付けができるため、着付けイベントの際は浴衣を使用しているという。ただ浴衣では季節感が足りないので、振袖や七五三、袴の着付けの説明を取り入れるなど工夫を凝らしている。参加者たちは自分で着付けをした浴衣姿に満足した様子で、互いの写真を撮り合っていたほか、風呂敷の用途や包み方についても多くの質問が挙がっていた。

■「着物の魅力」とは

五十嵐さんにとっての着物の魅力を問うと、「今日の着物は母が数十年前に着ていたもので、帯は着付けの先生である大先輩が、ピアノを教えている自分にプレゼントして下さったもの」とその日、身に着けて来た薄桃色の着物を例に、日本伝統の衣文化である着物の魅力はしっかりと手入れや管理をすることで、何十年も着続けることができるため、次の代へどんどん受け継がれていく点にあると答えてくれた。「ずっと繋がってる感じがいつもしている」というコメントからも五十嵐さんの着物を大切に思う気持ちが伝わってくる。また着物は様々な柄や素材、小物等とのコーディネートで、個性を楽しめるほか、長方形の布をつなぎ合わせて作っている着物は、古くなっても、クッションカバーなどにリメイクできるなど、洋服にはない魅力が数多くあるという。

■着物をもっと身近に

日本人にとっても着物は「自分で着るのが難しい」、「帯が苦しい」、「着る機会や場所がない」など、ハードルの高いイメージがあったが、近年は「着物女子」ブームで、企業側も「着物を着る機会がなくて着物文化が先細りするなら、着物を着る機会を作ってしまえばいい」と力を入れており、「浴衣で懐石料理を食べる会」や「着物でイタリアンを食べる会」、「着物で新歌舞伎座に行こう」など様々な企画を行っている。また訪日旅行でそうした体験を希望する中国人旅行客もまた増えている。

■外国人への着付けレッスン

女人街の着物教室で中国人の生徒に着物の着付けを教えている五十嵐さん。レッスンは1回約90分間で、初心者には五十嵐さんがまず説明しながら生徒に着物を着付け、その後生徒が自分で教わった手順に従い、着付けを行う流れとなっており、初回はレッスン時間内に自分の力だけで着付けを1回できることをゴールとしている。生徒のユウさん(仮名)は、日本語を学んだことのある中国人で、日本文化に興味があり、浴衣の着付け経験があるという。しかし着物の着付けの複雑さ、帯の結び方には苦戦している様子だった。ユウさんは「浴衣との一番の差は帯の結び方。一見すると簡単そうだが、帯や帯締めなどを折り重ねることで初めて帯の形になるため、非常に大変。でもとても貴重な経験なので、興味がある人には是非体験してみて欲しい」とその感想を述べた。

また五十嵐さんによると、着物はTPOに応じた格の着物を選ぶことが最も重要なので、しっかりと理解することが大切だということだ。打掛や黒留袖、本振袖、喪服などの【礼装着】、色留袖、訪問着、振袖、色無地、江戸小紋の紋付などの【略礼装着】、付け下げ、付け下げ小紋、紬の訪問着などの【外出着】、紬、絣、黄八丈、ウール、木綿などの【街着・普段着・浴衣】の4種類があり、礼装着が最も格が高く、街着・普段着・浴衣が最も格が低いものとして位置づけられている。

五十嵐さんは「中国の人はどちらかというと、着物の着付けを体験することで満足してしまっているが、中国の人にも着物の文化や魅力を知ってもらった上で綺麗に着付けるということを目指して欲しい」とその思いを語った。(提供/人民網日本語版・洪東実)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携