<トランプ大統領とどう付き合うか>極右ポピュリズムの台頭に警鐘―独仏蘭3カ国駐日大使が記者会見

八牧浩行    2017年3月22日(水) 5時20分

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17日、独仏オランダの駐日大使が揃って記者会見、極右ポピュリズムの背景には、「失業など経済状況への不満がある」との点で一致。「EU加盟国が最善の努力をし、共に多様性を重視し理想を追求すべきだ」と訴えた。写真は左からオランダ、ドイツ、フランス各大使。

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2017年3月17日、ティエリー・ダナ駐日フランス大使、ハンス・ヴェアテルン駐日ドイツ大使、アルト・ヤコビ駐日オランダ大使が、日本記者クラブで共同会見した。米トランプ政権が保護主義・反グローバル化や移民・難民の排斥を掲げる一方、欧州各国でも極右政党のポピュリズムが台頭、欧州連合(EU)の協調主義が揺らいでいる。欧州の価値観と合わないトランプ大統領とどう付き合っていくか、EUの中核である3カ国の大使に尋ねた。

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各大使は、世界で高まる極右ポピュリズムの背景には、「失業など経済状況への不満がくすぶっており、経済を成長軌道に再び乗せなければならない」との点で一致。「EU加盟国が最善の努力をし、共に多様性を重視し理想を追求すべきだ」と訴えた。

<ヴェアテルン・ドイツ大使>

安全保障、テロ対策、組織犯罪、気候変動など世界が直面する問題は、一国単独では対処できない。ドイツの対米貿易は米国内でベストな雇用創出につながっている。EUは単独では2国間の交渉をしてはならないのが建前である。

世界の紛争勃発を避けることが必要で、ロシアとも対抗せず協力していくべきである。移民や難民を受け入れる多様性の堅持が必要だ。移民、観光客、ビジネス客などの入国について、テロが多い国であることを理由に、イスラム諸国など特定の国からの流入を排除する立場を、われわれはとらない。米国の立場と大きく違うが、大統領令を覆す司法が米国に存在し、民主的な議論が行われていることに期待したい。

EUはもっと効率を上げなければならず、加盟国の国民にとって恩恵がもっと見えるようにしなければならない。加盟国が最善の努力をして話し合い、一緒になって理想を追求すべきだ。

<ダナ・フランス大使>

2人の大使に全面的に同感である。米政権がいかなる状況になっても、EUが深刻な打撃を受けることは想定できない。トランプ大統領は国内の聴衆に向けて発言している。欧州統合は欧州の問題である。

北大西洋条約機構(NATO)は安全保障のかなめであり続けるとのペンス米副大統領のミュンヘン安全保障会議での発言を評価したい。われわれは同盟国であり、中東やアフリカでのテロとの戦いで協力している。北朝鮮の核開発に対し、安保理の常任理事国として懸念している。

近く実施される仏大統領選挙で、極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が台頭しているが、私は「その外交政策は歴史的な伝統に反するもので、外交官として受け入れることはできない」とルモンド紙に投稿した。(有権者は)この考え方を共有し、正確な情報を得た上で判断してほしい。ただすべての候補者は日本との関係が重要であることを認識している。

世界で高まるポピュリズムの背景には、失業など経済状況への不満がくすぶっており、経済を成長軌道に再び乗せなければならない。国民が(政府から)直接得るものがあると思うようにならなければならない。

安全保障については、外部だけでなく内部の安定も重要だ。フランスはこの2年間、攻撃にさらされ酷い目に遭った。国に十分守られているという感情を(国民に)抱かせる必要がある。アイデンティティの問題は、文化的な課題であり、(解決には)時間がかかる。

<ヤコビ・オランダ大使>

多国間でのグローバル化を推進しなければならないが、米政策は安心できない。2国間主義は懸念すべき事態で、そうなれば、世界経済はさらに貧困になる。対話を続けるべきで、米の方針を確認したい。日欧間の経済連携協定(EPA)交渉を推進し、早期に妥結するようにしたい。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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