中国人記者が福島第一原発を取材、日本旅行は安全なのか―中国メディア

人民網日本語版    2017年3月1日(水) 7時50分

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東京電力が最近、福島原発2号機の原子炉格納容器内部で極めて高い放射線量が検出されたことを明らかにしたことで、中国のネット上では、議論が巻き起こっている。この疑問に答えようと、筆者は測定器を持って事故現場を取材した。

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福島第一原子力発電所事故が起きて、3月11日で丸6年になる。日本には非常にたくさんの中国人観光客が訪れているが、東京電力が最近、同発電所2号機の原子炉格納容器内部で極めて高い放射線量が検出されたことを明らかにしたことで、中国のネット上では、「日本政府が言っていることは信用できるのか?」などの議論が巻き起こっている。この疑問に答えようと、筆者は測定器を持って事故現場を取材した。新華社が伝えた。

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▼原子炉付近では手がしびれるほど測定器が振動

福島第一原子力発電所に入ると、東京電力の職員から携帯の電源を切るほか、手袋や帽子、綿の靴下2足、チョッキ、放射能測定器、ヘッドホンを渡されて、それらを装着するよう指示された。そしてさらに、ヘルメットと長靴のような安全靴も履き、バスに乗って原子炉の近くまで行って取材を行った。

原子炉近くに行くと、放射能測定器の警報音のスイッチを切ったものの、ものすごい勢いの振動は止まらなかった。原子炉から数十メートル離れた、海抜約30メートルの高さの所から見下ろしてみると、2号機だけきれいな姿で残っており、そのほかの原子炉はガス爆発で破損していた。1〜3号機とも原子炉中の燃料集合体が核燃料の過熱により融解する炉心溶融(メルトダウン)が起きた。その際に発生した残骸をどのようにして取り出すかが問題となっており、東京電力はまだその方法を見つけることができていない。

国際原子力機関(IAEA)が定める原子力事故または事象の深刻度である国際原子力事象評価尺度(INES)について、原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所事故を暫定的ながらレベル7(深刻な事故)と評価しており、同レベルは、1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故の同等だ。

30年以上前に置き得たチェルノブイリ原子力発電所事故では、60万人以上が被災し、今でも半径30キロ内の地域での居住が禁止されている。専門家は、人が居住できるほどにまで回復するには1万年以上必要との見方を示している。

▼信用できない日本政府

「メルトダウン」について、東京電力は事故発生当初、ずっと「炉心損傷」と主張し、2カ月後になってやっと「メルトダウン」だったことを認めた。2016年6月に、東京電力が設置した第三者委員会が公表した調査結果によると、当時の清水正考社長が「メルトダウン」という言葉を使わないよう社内に指示していたという。また、それは官邸からの指示だった可能性も示唆している。

事故発生後、日本政府は自衛隊ヘリを派遣して原子炉に海水を投下するなどしたものの、その対応には批判が集まった。日本政府や東京電力は伝える情報をできるだけ減らし、メディアの追求がなければ、多くの真相は今でも公開されることはなかったと見られている。例えば、13年8月、日本政府は、放射能汚染水を入れたタンクから高濃度の汚染水が漏れ出しており、漏出量は1日約300トンで、それが海洋に流れ出していることを発表した。この問題は事故発生後常に存在していた問題だ。

日本旅行は安全?

今では、福島県内の第一原子力発電所に近い一部の区域を除けば、日本国内の大気中の放射線量は大幅に減少している。そして、東京を含むほとんどの地域が東日本大震災発生前の水準にまで戻っている。

しかし、環境と食べ物にはまだリスクが存在している。福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授は、複数のモニタリングデータを総合的に見ると、事故で漏れた放射性セシウム137の総量は東京電力が発表している数値の1.5倍に当たり、食物連鎖が進むに従って、魚介類の体内に蓄積されていく可能性があると指摘している。

以上の点を総合的に考えると、日本に旅行に行く場合、以下の3点を慎重に考慮する必要がある。

一、事故がもたらしたリスクの拡大。筆者の測定では、事故の危険レベルは依然として非常に高い。日本は地震多発国で、津波が発生する恐れもある。さらに、今でも汚染物質漏出は完全に抑制することができておらず、これらのリスクを軽視することはできない。

二、隠ぺい体質で外国人を被災地に誘導しようとする日本政府。上記のリスク以上に、日本政府や東京電力の事故対応能力に現地の市民だけでなく、国際社会も懸念を示している。「メルトダウン」を2カ月も隠したり、汚染水の漏出を2年以上公表しなかったりしたことを考えると、大気の放射能測定の数値では分からない問題が後どれほどあるのかについて、結論を下すことは難しい。そして、日本政府は依然として、外国人観光客が事故が発生した福島県を含む東北地方へ誘導している。

三、食品などの汚染。危険区域にいなくても、土壌や野菜・果物、水産品などの汚染が依然として心配の種となっている。日本で刺身などの食品を食べる時は十分な注意が必要だ。

▼福島に行って取材した理由は?

あるネットユーザーから、「東京や大阪の放射能の状況が知りたいのに、とても危険な福島の事故現場に取材に行って、何の意味があるのか?」との声が寄せられている。取材に行った筆者・華義は、福島第一原子力発電所は災害の根源で、そこに行かなければ、事故やさまざまな面に与える影響を直観することはできないと考えている。そのため、日本にいる駐在記者として、迷わずに事故現場に取材に行った。

放射能物質漏出の被害が深刻な立ち入り禁止区域や原子炉内の核燃料の残骸などの巨大なリスクに加えて、放射能汚染水や子供の甲状腺がん多発などの真相追究という問題も残っている。また、筆者は発電所から20キロ、50キロ、約200キロの場所に住む人々の生活の状況を伝えることで、事故の全体像を客観的に知ってもらうことができると考えている。

今回、福島第一原子力発電所に行き、非常に収穫の多い取材となった。立ち入り禁止区域の惨状や、原子炉付近の非常に高い放射線値、非常に厳しい作業環境などには、忘れがたいほどの強いインパクトを受けた。それにより、筆者は今後客観的に真相を把握し、より的確な関連ニュースを中国に伝えることができる。

事故関連の隠れたリスクや、日本政府や東京電力の体質、事故の個人、現地、国際社会に対する影響などの報道は、現場を取材し、観察しなければ説得力がなく、それが注目され、重視されることもないだろう。(提供/人民網日本語版・編集KN)

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