<コラム>本当にエコか?中国の激化するシェアバイク競争に思うこと

小坂 剛    2017年2月27日(月) 8時30分

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私は現在、地下鉄で通勤しているが、勤務地の最寄駅に着くと駅前に止めてあるシェアバイクに乗って出勤するというスタイルが定着している。写真は筆者が愛用している摩拝(mobike)。筆者撮影。

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私は現在、地下鉄で通勤しているが、勤務地の最寄駅に着くと駅前に止めてあるシェアバイクに乗って出勤するというスタイルが定着している。シェアバイクは、スマートフォンにアプリをダウンロードして、約300元(約5000円)のデポジットを支払い、自転車に備えられているQRコードをスキャンすると30分5角(約8円)や1元(約16円)で使用できる。

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利用者にとっては非常に便利なものである。もちろん、大気汚染の激しい中国という国のなかで、炭素の排出減少を大きな名目としてこのようなシェアバイクが導入されたのだが、しかし、最近は様子がおかしい。駐輪場が、それぞれの企業の出したシェアバイクで溢れかえっているのだ。

杭州(浙江省)などの地域では、おそらく地方自治体が導入したであろうシェアバイクが見られたが、企業として先手をきったのは北京大学の構内で移動を楽にすることを目的に2014年に始まった「OFO」であるといわれる。それについで2016年に「摩拝(mobike)」が上海において大々的にオレンジ色の自転車を投入すると、2016年末にはすでに24社のシェアバイク企業が林立している。地下鉄駅から外に出ると、さまざまな色の自転車が所狭しと並んでいる。

鳳凰網財経の2月23日の報道によると、特に先行する2社はその自転車の色から「黄橙戦争」を展開しており、名だたる企業から融資を得て事業を拡大している。その一方で、早くも脱落せざるをえない企業も出ているようだ。

私もユーザーであるから、厳しいことは決して言えないのだが、自転車を1台製造するのにどれほどの環境負荷があるのだろうか。上記の記事によると、自転車のチェーンを入手するのに各社が競い合っているともいう。チェーンや車体の原料となる鉱物資源を加工する際には有毒物質も発生するだろう。

ここ最近の上海では、湿度の高さもあってか、空気が霞んでいる。一度暖かくなったものの、まだまだ寒さが身にしみる。今日は時間に余裕があったので、歩いて出勤してみたが、環境保全と利便性の共存という問題について考えるよい時間になった。

■筆者プロフィール:小坂剛

1978年生まれ。東京大学大学院博士課程満期修了。専門は中国民間信仰と社会変動。子どものころから中国の歴史に興味を持ち、大学院まで専攻は中国地域文化研究。大学院修了後は高校社会科教師として勤務。上海に新設校が開校された際、上海に移り、現在はインターナショナルスクールにて様々な国の子どもたちに接し海外の教育を学びながら、文化交流活動などをプロデュースしている。趣味は陳氏太極拳。

■筆者プロフィール:小坂 剛

1978年生まれ。東京大学大学院博士課程満期修了。専門は中国民間信仰と社会変動。子どものころから中国の歴史に興味を持ち、大学院まで専攻は中国地域文化研究。大学院修了後は高校社会科教師として勤務。上海に新設校が開校された際、上海に移り、現在はインターナショナルスクールにて様々な国の子どもたちに接し海外の教育を学びながら、文化交流活動などをプロデュースしている。趣味は陳氏太極拳。

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