<コラム>日本人の「できる」と中国人の「できる」は違う!

田中 周    2017年2月18日(土) 19時10分

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日本人に「英語ができますか?」と質問した場合、海外旅行先でなんとか買い物ができるぐらいのレベルであれば、「できる」と答えることはないでしょう。資料写真。

日本人に「英語ができますか?」と質問した場合、海外旅行先でなんとか買い物ができるぐらいのレベルであれば、「できる」と答えることはないでしょう。全く問題なく英語ネイティブと会話が進められるレベルでないと「できる」うちには入らないという認識があると思います。

中国の地方都市のお店で、ダメ元で「日本語ができますか?」のつもりで「[イ尓]会説日語[口馬]?」と質問してみたことがありました。すると店員のひとりが手を挙げたので、その女性に質問をしようとしたころ、彼女は私の顔をみるなり「サヨナラ」と一言。「日本語ができますか?」の中国語訳として「[イ尓]会説日語[口馬]?」は決して間違いではないのですが、この中国語だと「あなたは日本語を言えますか?」という風にも解される可能性があります。恐らく彼女は「サヨナラ」という日本語の単語を知っていて、それを言えたので手を挙げたのでしょう。もちろん会話にならないだけでなく、「サヨナラ」以外の日本語が彼女の口から発せられることはありませんでした。別の機会に「英語ができる人」と言ってみたこともありますが、英単語らしきことを話してはきましたが、中学生英語レベルでの会話も通じませんでした。

日本語の「できる」「できた」には、それなりのレベルをクリアしている、というニュアンスも込められていますが、「できる」「できた」に相当する中国語では、とりあえず手段を知っているだけだったり、単にその動作が完了しているだけだったりということも含まれるので、「よくできるのか」「よくできたのか」ということまで質問し、能力や完了のレベルを確認する必要があります。料理で例えると、まずくて食えないようなものでも、とりあえず完成していれば、中国語的には「料理ができた」ことになるので、「おいしく料理ができたのか」という質問で確認をする必要があるということです。また、より重要なことを依頼するのであれば、資格とか実務経験の有無、また試しで実際にさせてみて確認をするということが必要になってきます。上記の場合であれば、「日本語でうまく会話ができる人」という風に、具体的に求めている動作や能力の内容を言った方がいいでしょう。

もちろん、どう見てもできないのに自信満々に「できる」と主張してくる人もいますが、恐らく「できる・できない」のトラブルの多くは上記のような認識の違いによるもので、確認や少し言い方を変えるだけで回避できるのではないかと思います。

中国に限らず、多くの外国企業では新しい技術に関して50%程度の完成度でも、自信満々に「できる」と言ってくることは珍しくありません。注文をもらってから納品するまでの間、もしくは納品をしてからのアフターサービスで、残りの50%を埋めていくという感じです。その反対に日本企業は完成度100%に近づくまでは絶対に「できる」とは言いません。そのため、すでに完成度が80%を超えていてもアピールすることなく、その間に完成度50%の外国企業に出し抜かれてしまうということが多いように思います。ある程度できるのであれば「できる」とアピールをして自身のハードルを上げ、それをクリアするように努力をする方が、黙って100%に近づける努力をしているよりも、特に外国相手では有効ではないでしょうか。

■筆者プロフィール:田中 周 (たなか しゅう)

1963年大阪府生まれ。メーカーの宣伝関係部署に勤務し、20年近く中華圏に対する広告、イベント、展示会等の施策を担当。出張した都市は30都市以上。対中国のビジネスを順調に進めるための、ちょっとした気遣い、工夫の仕方、中国人との付き合い方をご紹介。

■筆者プロフィール:田中 周

1963年大阪府生まれ。メーカーの宣伝関係部署に勤務し、20年近く中華圏に対する広告、イベント、展示会等の施策を担当。出張した都市は30都市以上。専門分野は、この経験を踏まえた、対中国のビジネスを順調に進めるための、ちょっとした気遣い、工夫の仕方、中国人との付き合い方をご紹介。

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