住宅の価値が20年でゼロに、日本の「異常な状況」―中国紙

人民網日本語版    2017年2月9日(木) 6時20分

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日本の国土交通省がこのほど行った調査で、1969年以降の住宅方面への累計投資額と住宅の資産価値との差額を調べたところ、約500兆円という巨額の資産が羽もないのにどこかに飛んでいってしまったことがわかった。写真は東京。

日本の国土交通省がこのほど行った調査で、1969年以降の住宅方面への累計投資額と住宅の資産価値との差額を調べたところ、約500兆円という巨額の資産が羽もないのにどこかに飛んでいってしまったことがわかった。これは日本の国内総生産(GDP)に相当する金額だ。日本国民はこうした事実をよくわかっていない。所有者の多くは住宅を売りに出そうとする時に初めて、自分の最も大切な資産が一銭の価値もないということに気がつく。上海証券報が伝えた。

日本の不動産市場における中古物件の割合は13%にとどまる。中古に人気がない原因はさまざまで、最も重要なのは住宅の価値が購入後に下降の一途をたどるということにある。

日本では約60%を占める木造住宅が価格低下ペースが最も速い。しっかりした木造住宅でも、20年も経てば同じ道をたどり、資産価値はゼロになる。所有者がどんなに手を入れて、メンテナンスを怠らなかったとしても、不動産仲介業者は一顧だにしない。価値を維持できない商品は、当然のことながら「財産」とはみなされない。こうして日本の不動産市場では「財産」が絶えず普通の「商品」に変質させられてしまう。

不動産の価値が20年でゼロになる、その根拠は何だろうか。財務省は木造住宅の耐用年数を22年と規定するが、実際には市場での価格と税制度との間には何の関係もない。こうした規定がなぜ不動産業界で通行しているのだろうか。これは政府、不動産業界、建築業界、銀行業界が手を取り合って生み出した「異常な状況」だといえる。

政府からみれば、新築住宅は消費財であり、固定資産であるとの位置づけで、消費税と固定資産税を同時に徴収できる。一方、中古住宅は市場に流通しても、基本的に消費税は徴収できず、付随した土地の売買でも消費税を徴収することはできない。また、政府の政策的観点からみると、住宅着工率は経済成長を左右する重要な要因で、中古取引が活発になれば、新規着工率が打撃を受け、経済成長を促す政策の効果もこれに応じて減退することになる。

所有者から消費税と固定資産を同時に徴収するのは、二重課税であり、道理が通らないことは明らかだ。米国英国では住宅に対して消費税は徴収されない。日本の関連部門が質の高い住宅に対する消費税を免除するようたびたび働きかけているが、毎回徒労に終わっている。不動産開発業者にしてみれば、政府の方針は願ったりかなったりだ。

日本の住宅投資額はGDPの3%を占めるに過ぎないが、住宅は鉄鋼、セメント、ガラス、家電、内装など多くの産業に関わり、波及効果が大きい。だが住宅の価値がゼロになるまでの周期が短く、これは所有者にとってはなかなか受け入れられることではない。そこで税制改革の話題が出るたびに、住宅が攻撃の的になるのだ。

新築住宅を販売して得られる利益は中古取引よりはるかに大きい。そこで不動産企業は中古の取り扱いに熱を入れなくなる。日本では最近、各方面から中古市場活性化のかけ声が上がるが、2015年9月に全日本不動産協会が発表した税制改革を呼びかける意見書では、「新築住宅の固定資産税の減免期間を延長すること」を求める主張がはっきりと打ち出された。不動産業界の長年にわたる努力がついに実を結んだのであり、ここから新築住宅の販売に対する日本経済の依存ぶりがうかがえる。

銀行にとって、中古物件の取り扱いは基本的にメリットよりもデメリットの方が大きい。中古を扱うなら、その質を鑑定する担当者を常に配置していなければならず、鑑定作業は大変な割に歓迎されないので、銀行は中古を扱おうとしなくなる。中古住宅の価値を認めたとしても、銀行は不良債権のリスクが増大することを恐れる。

こうして政府は新築住宅の着工を後押しして経済成長を遂げ、税収を増やそうとし、不動産開発業者はその中からより多くの利益を得ようとする。このような動きにより所有者の負担は倍増するが、銀行は見て見ぬ振りをする。利益のチェーンを通じた「神聖同盟」が結ばれ、日本の住宅は20年で価値がゼロになるという異常な状況に陥る。

国土交通省は96年以降、住宅への累計投資額と住宅の資産価値との差額を調査し、驚くべき結論にたどり着いた。年間GDPに相当する約500兆円という巨額の資産がどこかに消えてしまったのだ。日本国民はこうした事実をよくわかっておらず、所有者の多くは住宅を売ろうとする時になって自分の最も大切な資産が無価値であることに気づき、冷水を浴びせられたような思いを味わうことになる。

かつての高度成長期にも住宅の価値は急激に低下していたが、当時は地価が上昇していたため、矛盾は覆い隠されていた。今の日本は人口が減少し、かつてのような地価上昇はもはや見込めず、異常な状況があらわになった。

バブル経済が崩壊してからすでに20年以上が経った。当時家を買った人は還暦を迎え、人生の新たなステージを楽しいものにしようと考え始めた矢先に、現実の深刻な打撃に見舞われる。このねじれには好転の兆しがみられない。新しい家を買って住環境を改善させる力のない人は、古い家に住み続けるしかない。こうして多くの所有者が一生を終えると、老朽化した家屋はたちまち空き家となり、誰にも手入れされないまま急速に傷んでいく。各地では空き家が急増し、東京の中心エリアですら空き家率は10%を超える。ゴーストタウンと化した地域もある。

現在の日本ではまだ、異常な状況が改善される兆しはみられない。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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