<分析>なぜ「ライバル?カナダのデブ」はこれほど読まれたか?―中国

Record China    2008年3月4日(火) 12時13分

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3月3日、2月末配信した「中国の飛び込み女王の暴言」の記事は3日夜まで、某大手ポータルニュースのランキングで、繰り返し「総合」ランク入りするなどしてきた。なぜこれほど長く注目され続けてきたのか。写真は郭晶晶選手。

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レコードチャイナが2月26日深夜配信した「『ライバル?カナダのデブ』、飛び込み界の女王の暴言に批判集まる―北京市」記事は1週間近く経とうとしている3月3日夜現在、なお某大手ポータルニュースのランキング(6時間以内のアクセス数で集計)で「海外ニュース」トップに陣取ったほか、この6日間繰り返し「総合ニュース」ランキング入りしてきた。主として重大ニュース、最新ニュースが多く読まれた結果とみられる同ランキングに、日本人にはなじみの薄い中国の女性アスリートの発言がなぜこれほど長く注目され続けているのか。サイト上で閲覧可能なデータ等をもとに分析を試みた。

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■某大手ポータル上のコメントは479件、41ブログが紹介!

2008年3月3日午後8時現在、某大手ポータルニュース上の「『ライバル?カナダのデブ』、飛び込み界の女王の暴言に批判集まる―北京市」に対する「コメント数」は479件、「ソーシャルブックマークへの投稿」は21件、「この話題に関するブログ数」は41件となっている。

「コメント数」の統計は過去3日間の集計で比較しており、この日は「カナダのデブ」記事はランク20位外に姿を消していたが、同時刻現在で比較すると、この日のトップ「<平城遷都1300年祭>マスコットキャラに市民から批判」が977件で、この時のランキングで5〜6位に相当する。(ちなみに20位は86件)

「ソーシャルブックマーク」はブックマークランクの14位(1位は3月1日配信の「「プール後洗眼は悪影響」 塩素が角膜損傷 国内研究チーム発表」の92件だが総合ランクには姿がない)、「ブログ数」は19位だったが、この25位の中で総合ランクをキープしていたのは28日配信の「『シミだらけで…』若槻千夏にネット上で厳しい評価」くらい。(トップは「やっぱり無茶だった? AKB48『ポスター44枚コンプリート』企画中止」)

どうやらブックマーク数、ブログ数が多いものが直ちに長期に渡ってニュースのランク上位というほど単純ではなさそうだ。

それでは何がここまで長く読まれた理由なのか。

■関連記事、やはり第一報が最注目!ブログの影響は?

他社も追随したが「カナダのデブ」記事はレコードチャイナが先鞭をつけ、その後もフォローしたので、当社の記事でその後の展開を振り返ってみる。

ニュースの関連記事として紹介されているのは以下の3本。(配信時間の順番)

1)<続報><飛び込み女王暴言>“初犯”じゃないから慣れたもの?批判の嵐にも「わたしは平気」―中国 2月27日21時14分

2)<続報><女王暴言>「事実伝えない報道に不満」飛び込みの女王が反発―中国 2月28日12時36分

3)<続報><飛び込み女王暴言>「なぜこうなったのかわからない」!批判のショックなし―中国 3月 1日14時48分

少し数字が続くが、ブックマーク数、コメント数、ブログ数は順番に、「0、18、1」「0、7、0」「0、13、0」。コメント数に多少動きがあるけれど、第一報の「カナダのデブ」記事に比べるとほとんど問題にならない数値。

やはり注目されたのは「第一報」が圧倒的だったようにみえる。レコードチャイナの配信記事で同じ時期に注目された香港の著名スター、エディソン・チャンをめぐる「わいせつ写真流出事件」は第一報ももちろんだが、その後の続報も繰り返しニュース総合ランキングにひんぱんに登場しており、この面でも「カナダのデブ」記事の特別さが浮かび上がる。

コメントの分析はこの後の内容に関する分析の中で触れるとして、ブログとの関係を見ると、3月3日になってのブログ掲載もあるが、2月27日に掲載されたものが計39件と圧倒的。28日以降も問題の記事のランク入りは繰り返されるが、新しくブログに掲載されたことがその後の日々のニュースランクにおける推進力になったとは考えなくて良さそうだ。

しかし、これだけ多くのブログから注目され紹介されたことから、それぞれの読者がやってきて記事を見ることになるのはうなづける。

■「中国」「美女」「女王の暴言」だから注目か、重なるエリカ様の「別に」発言

内容を考えるに際して、某大手ポータル内の記事へのコメントなどをベースにして、最近のニュースの流れをみてみると、著名人・芸能人の暴言、中国関連、美女関連という3つの角度から考えることが可能だ。

まず著名人・芸能人の暴言としてみると、誰もが記憶に新しいのは不機嫌発言を連発してひんしゅくをかった沢尻エリカ。「女王様」キャラも今回「中国の美人アスリート、『女王』」と伝えられた郭晶晶(グオ・チンチン)とかぶってくる。

言葉遣いも、置かれた立場も異なるのだが、記者会見でふてくされたように受取られた郭の態度はエリカ様の「別に」発言のシーンと奇妙に重なる。記事へのコメントで、「チャイニーズ沢尻エリカ??」とか「沢尻エリカ姫を連想します」という反応がみられたのも自然なこと。ふたつのコメントとも多くの「私もそう思う」という共感ポイントを集めている。

 

次に冷凍ギョーザ事件など一連の中国関連ニュースの延長上で考えるとどうだろう。

地域的には、記事にカナダの選手は出てくるが、日本との関わりは直接にみられない。また、純粋にスポーツニュースとして考えても、幸か不幸か、日本の高飛び込みはサッカー野球などのメジャー競技に比べそれほど注目度が高くない。

記事へのコメントは上位5件のうち2件は「中国人だから…」「中国自体が総スカン」と中国、中国人と言う国家・民族に結び付けており、中国製冷凍ギョーザ中毒事件など中国の不祥事というコンテクストで見る人がかなりの数に上ることをうかがわせる。なかなかトゲのあるコメントとしては、「中国だけに言葉にも毒がでるんでしょう」というキツーーイのもみられた。

最後に、美女を取り上げたニュースが注目されるのは、洋の東西を問わず何も某大手ポータルに限られた話ではないが、今回はどうだろう。

沢尻エリカも「美女」だったし、この点は重なるが、やはり配信記事でも「アテネ五輪金メダリストであり、なおかつ並はずれた美貌を持つ」と伝えられただけに、シンプルに美女を見たいという視点から記事に注目した人も多かったのではなかろうか。

記事へのコメントでは、最大の支持を集めたのが「並はずれた美貌を持つ どこが?」と、その美貌には否定的なカキコ。実に2600ポイントもの支持を集め2位の1400ポイント台(「中国人だから…」)を大きく引き離しダントツのトップ。この記事へのコメントというシステムはサイトがトップページを刷新して「ニュース重視」を打ち出したのとほぼ同時に始まったが、既存の新聞、雑誌には想像もできないユニークなもの。ネットメディアらしい双方向性が徹底している。

美女というだけで見に来たのは郭を知らなかった読者が多かっただろうが、実際、郭の日本での知名度はまだそれほどでもない。ネットのフリー百科事典「ウィキペディア」でも、2000年のシドニー五輪で銀メダル2個、04年のアテネ五輪で金メダル2個をそれぞれ獲得した戦績とともにさらっと紹介しているだけだ。

フィギアスケートやゴルフのような若いスターが次々と登場している競技とは違って、日本では飛び込み競技がさほど注目されていない。中国のトップアスリートの名前を言える日本人がどれだけいるか、考えてみただけで知名度の低さは理解できる。

郭の名誉のために付け加えると、彼女は本国ではモデルも務め正真正銘の美女として評価されており、コメントの中にもそれを素直に評価するものもある。日本のあるサイトでは、彼女のモデルの際のものらしい写真を掲載し、「天は二物を与えたと思う美しいアスリートです」と形容していた。

美醜の基準は相対的だし国や民族による傾向の違いもあるが、今回紹介された写真があまり機嫌の良くない時の、しかも記者会見場での上半身のみのものが多かったので、全身のプロポーションや雰囲気を含めた「美女らしさ」を十分に伝えきれなかったのも厳しいコメントの一因ではなかろうか。

今回はサイト上で公開されている情報のみで分析を試みたが、サイト内の統計データが入手できればさらに正確・緻密な分析も可能かもしれない。(レコードチャイナ編集部)

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