国際刑事裁判所は「東京裁判」が原点、集団殺戮・戦争犯罪など10事案を目下捜査中―日本人初の次長が会見

配信日時:2017年1月19日(木) 7時0分
国際刑事裁判は「東京裁判」が原点、集団殺戮等10事案を目下捜査中
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日本人として初めて国際刑事裁判所(ICC)次長に選出された尾崎久仁子氏が記者会見。ICCは「ニュルンベルク裁判」「東京裁判」を原点とし、現在ウガンダ、コンゴなどアフリカ諸国を中心に10事案を捜査中と明かした。
2017年1月11日、国際刑事裁判所(ICC)は国際法に基づき個人の刑事責任追及が任務で、ジェノサイド(民族を滅ぼすほどの集団殺戮)、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪などを裁く。15年3月に日本人として初めてICC次長に選出された尾崎久仁子氏が、日本記者クラブでICCの現状と課題について会見。ICCは「ニュルンベルク裁判」「東京裁判」を原点とし、現在ウガンダ、コンゴなどアフリカ諸国を中心に10事案を捜査中と指摘。「米国、中国、ロシアなどの大国や、紛争が多発するアジア諸国の多くが未加盟なのは残念」と問題提起した。

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尾崎氏は1979年外務省入省後、国連代表部などで国際法分野の業務に従事。在ウィーン代表部公使、国連薬物犯罪事務所条約局長などを歴任した。発言要旨は次の通り。

ICCは、124カ国が加盟し、1997年に採択された(発効は2002年)。国際法に基づき個人の刑事責任を追及するのが任務である。ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪などが対象となる。安保理の決定で多くの事案を扱ってきた。国際社会全体の関心事である重大な犯罪の個人の責任を問うという、大きな責務の「DNA」(原点)となっているのは、ニュルンベルク裁判(1945〜1946年)と東京裁判(1946〜1948年)で、ユーゴ紛争(1991〜2000年)とルワンダ虐殺(1994年)を経てICC創設につながった。

当事国の法が裁かない個人の犯罪であっても、想像を絶するような残虐な行為があれば国際社会はそれを見過ごすことができない。われわれが関わっている現場の大半はアフリカである。被疑者の権利をいかに守り、被害者の声にどのように耳を傾けるべきか。裁判をする能力や、意欲にさえ欠ける人たちも多く、これらの人たちに、人道的に許されないことについて、裁判の国際基準を作って、「良質な裁判」の例を示していくことが大きな役割となっている。

国際刑事裁判所が審議の中で最も配慮しなければならないのは被害者や証人の保護。性犯罪の被害者や村八分にされる証人を守るために、裁判の「公開原則」から逸脱することがあっても手厚い保護に務めなければならない。ICCが思うような司法を当事国に根付かせることはできるのか。われわれの理想は、われわれが存在する必要がなくなることだ。

国際刑事裁判所への参加国は現在124カ国。米国、中国、ロシアなどの大国は参加しておらず、アジアや中東など紛争多発地域の加盟国は少ない。これまでに23件の裁判が行われ、有罪9人、無罪1人が確定している。現在、ウガンダ、コンゴ、中央アフリカ(2事案)、スーダン・ダルフール、ケニア、リビア、コートジボジアール、マリ、ジョージアなど10の事案を捜査中だ。

日本がICCに加盟したのは2007年。現在最大の分担金拠出国(16.5%)なのに、全体の職員約900人のうち日本人はわずか10人で、もっと増えることを望んでいる。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役、編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。現在Record China相談役・主筆。著著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」など。 ジャーナリストとして、取材・執筆・講演等も行っている。
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