中国大使館が「ありがとうSMAP」と異例のツイートをした理由は?―中国紙

人民網日本語版    2016年12月30日(金) 20時30分

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年内で解散する人気グループ・SMAPの番組「SMAP×SMAP」が26日夜に最終回を迎え、放送終了後すぐに、在日本中国大使館が公式ツイッターで、2011年に公演のため北京を訪れた際の写真を添えて「ありがとう、SMAP」と日本語で投稿した。資料写真。

年内で解散する人気グループ・SMAPの番組「SMAP×SMAP」が26日夜に最終回を迎え、放送終了後すぐに、在日本中国大使館が公式ツイッターで、2011年に公演のため北京を訪れた際の写真を添えて「ありがとう、SMAP」と日本語で投稿した。環球時報が伝えた。

このツイートは大量の「いいね」を集め、トレンド2位に浮上。多くの日本ネットユーザーから「SMAPを通して日本の報道と違った中国を知った」「中国がより近い国に感じた」などの声のほか、「謝謝(ありがとう)」と中国語で感謝するコメントも寄せられた。

日本では、中国大使館のSMAPへの感謝ツイートが大きな話題となっている。中国大使館の張梅(ジャン・メイ)広報部参事官は27日の定例記者会見で、日本メディアの質問に、「SMAPは中国国内で大人気で、日中の友好や民間交流の促進に貢献したと言ってもいい。中国のファンも『SMAP×SMAP』最終回に非常に注目していたので、そうしたタイミングを選んで、感謝の気持ちを表した」と、ツイートした経緯を説明した。その他、フジテレビの小倉智昭キャスターは、番組の中で「中国大使館がSMAPありがとうというメッセージ、驚きました。日本と中国の架け橋、それだけ(SMAPは)頑張ってくれたということですね」と感激の面持ちでコメントした。

日本を代表する映画俳優の故・高倉健さんや元歌手・女優の山口百恵さんなどが1970〜80年代に中国でも大人気となった代表的な日本のスターと言うのなら、SMAPは日本のポップカルチャーを中国で浸透させた先駆者と言えるだろう。90年代以降、SMAPのメンバー・木村拓哉が出演した「ロングバケーション」や「あすなろ白書」などのドラマは、視聴率の面で数々の奇跡を起こし、アジアで一躍有名になった。木村拓哉のロングヘアーや個性的な服装、さらに演じてきたピアニスト、検察官、パイロットなどの役は、全て黄金期の日本ドラマの象徴と言うことができ、アジアの「80後」(80年代生まれ)の間でカリスマ的存在となってきた。日本ドラマが急速に発展したことで、SMAPが中心となるバラエティー番組が中国の若者の間でも少しずつ人気を博するようになった。SMAPの冠番組だった「SMAP×SMAP」も中国や香港、台湾などでいち早く「コピー」されたバラエティー番組だった。

SMAPと中国の「縁」はそれだけではない。長年、「韓流」と比べると、日本は「ポップカルチャーの孤島」のようで、ポップカルチャーの分野において、日本の芸能界が積極的に海外に進出させてきたコンテンツや交流は決して多くない。しかし、SMAPだけは例外的存在で、結成後28年にわたって日本の芸能界の先頭を走り続け、その一生懸命仕事をする姿勢や謙虚な態度、キラキラしたポジティブなイメージなどで、多くの中国の若者が抱く日本に対するイメージを大きく変えてきた。SMAPは日中文化交流にも常に積極的な姿勢を保ち、数少ない日中の民間の架け橋の一つとなってきた。中国大使館の感謝ツイートで触れられた11年のSMAP北京公演は今でも日中文化交流史において、非常に重要な1ページとなっている。

11年、SMAPにとって初の海外公演となった北京公演は、「がんばれ日本!ありがとう 中国!アジアは一つ!」がテーマだった。翌年の日中国交正常化40周年という節目前にした開催で、日中が一衣帯水の隣国であるという好意的なムードを作り出した。同年5月21日、日中韓首脳会談で訪日中だった中国の温家宝総理(当時)が、東京都内のホテルでSMAPのメンバーと面会した。中国の指導者と単独で面会した日本の芸能人はSMAPが初めてだった。北京公演で、SMAPは中国語で代表曲「世界に一つだけの花」を披露し、リーダーの中居正広は「東日本大地震が発生した後、中国がすぐに行動し、日本に無私の気持ちで援助と支援をしてくれた。僕らにできることはとても小さく、ちっぽけかもしれないけれど、今できることが北京公演。一生懸命『世界に一つだけの花』の中国語の歌詞を覚えた」と話した。会場のファンたちは、SMAPのプロフェッショナルで、一生懸命仕事をし、心から中国に感謝する姿勢を見て、感動を覚えた。SMAPの中国公演は日本でも注目を集めた。NHKは北京公演を密着取材し、3時間のドキュメンタリーを放送。国営テレビであるNHKがアイドルグループを密着取材するというのも前例のないことだった。

SMAPの各メンバーは、出演したバラエティー番組やドラマなどで、中国に対する友好的な態度を何度も示してきた。例えば、08年、中居正広はオリンピックキャスターとして北京を訪問した際、出稼ぎ労働者の子供たちの小学校を訪れ、寄付金や物資を送った。また、メンバーの香取慎吾と草なぎ剛は、SMAP×SMAPの罰ゲームで、万里の長城を二人三脚で歩いた。SMAPのメンバーたちは、さまざまな番組で中国公演について、「初めは言葉の壁が心配だったけど、中国に行くと、ファンがドラマやバラエティー番組などを見てくれていて、交流できることが分かった。僕たちの名前も呼んでくれて、とても親しみがあった。日本と中国の娯楽・文化交流は素晴らしい」と何度も語っていた。

日本の芸能界の歴史に大きな名を残したSMAPは今、その活動の歴史にゆっくりと幕を下ろそうとしており、「SMAP×SMAP」の最終回で、売り上げ300万枚を突破したグループ最大のヒット曲「世界に一つだけの花」を5人がそろって熱唱して、その活動にピリオドを打った。

SMAPの解散は日本のポップカルチャーが中国を含むアジアに対する影響力を少しずつ失うことを意味している。高倉健さんが亡くなった際、日本のメディアは「日中間の課題は山積みで、その関係を改善するためには外交以外に、産業界や学術界、若者などの交流を推進しなければならない。中でも、『ソフトパワー』の役割を忘れてはならない」とコメントした。SMAPは昨年に20年の東京パラリンピックの「応援サポーター」の就任が決まっていた。その代わりとなる適任者はいまだに見つけられていない。もしかすると、今後しばらくは、本当の意味での日中文化交流の使者が登場することはないのかもしれない。ただ、SMAPが「世界に一つだけの花」を満開にしてくれたことには、本当に感謝したい。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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