<直言!日本と世界の未来>日本企業が中国で成功するためには、人材育成をすべき!―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2017年1月2日(月) 5時0分

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多くの外資企業が集結する中国は、グローバル競争の縮図である。日本企業が中国で成功を収めるためには、現地に根ざした経営基盤の確立が喫緊の課題となっている。写真は筆者。

多くの外資企業が集結する中国は、グローバル競争の縮図である。日本企業が中国で成功を収めるためには、現地に根ざした経営基盤の確立が喫緊の課題となっている。従来のような製造や販売などの現場だけでなく、研究開発、マーケティング、経営企画、財務、人事などの職務でも、現地経営環境に精通した中国人の人材に活躍してもらう必要がある。

そのために、高度な知識とスキルを持った優秀な人材を確保し、彼らの士気を高め、大きな成果を発揮させることのできる人材戦略を策定・実行していくことが競争力強化の鍵となる。

日本企業の商品は非常に評価が高いが、発展性や社会的イメージ、就職先としては欧米企業と比べて評価が低い。また、現地日本企業では活躍してほしい優秀な人材は、より高い報酬と成長の機会を求め、欧米企業へ転職してしまうという話をよく耳にする。

そのため、日本企業はさまざまな工夫をする必要がある。例えば、日本に留学経験のある中国人の人材を活用することも一つの方策であろう。ただし、上海や北京を除く地方では日本語ができる人材が不足している。従って、日本語の人材だけにこだわらず、英語の人材を活用することで対象もぐんと広がる。しかし、問題は日本の本社側の国際化が遅れていることだ。現地側がいくら国際化を図っても、日本側に英語を使いこなせる人材がいなければ、現地との連携は難しい。

日本企業のもう一つの課題は、基幹的なポストが日本人で占められていることである。それ故に、優秀な中国人社員に「ガラスの天井」を感じさせている。つまり彼らは、努力すればかなえられる上位ポストが見えることが重要だと考えている。日本企業は、段階的でもいいので、どのポストをいつまでに現地化するというのを現地社員にはっきり公表するべきである。併せて、そのポストに就くにはどのような要件が求められ、そのためにこれだけの人材育成投資を行うということも明らかにするべきだろう。そうすれば、キャリア志向の強い中国人は、3年先、5年先の日標を見据えて存分に活躍してくれるはずである。転職されることを恐れて人材育成を惜しむべきではない。

一方で、現地化は確かに中国で成功するための必要条件であるが、それを急ぐあまり、形だけに走る誘惑を断ち切ることも重要だ。現地化する場合は、実権の伴った権限委譲が行われなければならない。また、現地の日本人を単に減らすことが現地化ではなく、日本人に適しているポジションは日本人が担い、適材適所に中国人幹部を登用していくことが大事である。

日本企業の中国における人材戦略は道半ばである。いかに思い切った現地化を推進していけるか否かが、ビジネスの成否を左右する。

立石信雄(たていし・のぶお)

1936年大阪府生まれ。1959年同志社大学卒業後、立石電機販売に入社。1962年米国コロンビア大学大学院に留学。1965年立石電機(現オムロン)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。日本経団連・国際労働委員会委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)「The Taylor Key Award」受賞。同志社大学名誉文化博士。中国・南開大学、中山大学、復旦大学、上海交通大学各顧問教授、北京大学日本研究センター、華南大学日本研究所各顧問。中国の20以上の国家重点大学で講演している。

■筆者プロフィール:立石信雄 1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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