韓国でも進む「反既成政治」のうねり、与党非主流派と野党が大統領選向け合従連衡へ―静岡県立大教授

八牧浩行    2017年1月11日(水) 5時10分

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奥薗秀樹・静岡県立大学准教授が日本記者クラブでこのほど講演し、朴槿恵大統領への弾劾訴追など「大揺れの韓国政治」について講演した。世界各国に蔓延する「反既成政治」の風潮に韓国も巻き込まれていく可能性が大きい、と予測した。

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2017年1月10日、韓国政治に詳しい奥薗秀樹・静岡県立大学准教授が日本記者クラブでこのほど講演し、朴槿恵大統領への弾劾訴追など「大揺れの韓国政治」について講演した。信頼していた朴槿恵氏に「裏切られた」という国民の深い失望が大混乱の背景となったと指摘。世界各国に蔓延する「反既成政治」の風潮が韓国でも進行する可能性が大きい、と予測した。発言要旨は次の通り。

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朴槿恵大統領に対する退陣要求は拡大の一途をたどり、韓国は1987年の民主化以降、最大の混乱に陥った。その背景にあるのは朴槿恵氏に「だまされた」「裏切られた」という国民の深い失望である。

まず第一に、自分たちの選んだ大統領が崔順実という「得体の知れない人物」にマインドコントロールされ、2つの財団私物化疑惑と機密文書漏えい疑惑によって国政を壟断(ろうだん)されたという衝撃である。第二に「信頼」「原則」を強調していた「特別な存在」の名門女性政治家・朴槿恵の「背信」という衝撃。第三に、父の朴正熙元大統領の絶対的支持層(支持率5%程度)からは「この国に泥を塗り、許さない」という怒りが爆発した。そして第四に「民主化から30年経ってもこの程度の政治で恥ずかしい」という思いが異常なほどの退陣要求につながった。

韓国の司法は、独裁政権下で権力の道具となってきた反省から、国民の側に立たねばならないという意識が強い。特にその傾向が強い憲法裁は、国民世論に押される形で弾劾可決後180日間以内とされている審査期間よりも早く審理を終えて、結論を出す可能性がある。

弾劾訴追案には与党セヌリ党の半数が賛成したとみられ、今回の事態が政界再編につながる可能性がある。与党の非主流派と野党などが大統領選に向けて合従連衡する公算が大きい。

朴大統領は名誉回復と保守政権の再創出をめざしている。今後の政局を占う上で鍵となるのは、今回、国民の行動によって示された「反既成政治」という意識の高まりである。米欧などで拡大する「反既成政治」という世界的風潮に韓国も巻き込まれていく可能性が大きい。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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