中国で最高賞を受賞した日本の国民的詩人、あなたはご存知ですか?―中国メディア

人民網日本語版    2016年12月4日(日) 20時30分

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中国で谷川俊太郎さんというと、宮崎駿監督の大ヒットアニメーション映画「ハウルの動く城」や手塚治虫のアニメ「鉄腕アトム」の主題歌の作詞を担当したことで知られている。

中国で谷川俊太郎さんというと、宮崎駿監督の大ヒットアニメーション映画「ハウルの動く城」や手塚治虫のアニメ「鉄腕アトム」の主題歌の作詞を担当したことで知られている。実際には、谷川さんは1999年に中国に進出して以降も、詩集や絵本を次々に刊行しており、ノーベル賞受賞者を含む詩人の中で、印刷数、販売数はトップクラスだ。世界の詩壇における成果や中国語の世界での大きな影響力が評価され、2011年に、谷川さんは中国の詩歌の民間最高賞「中坤国際詩歌賞」を受賞。「中国の現代詩歌に一定の啓発を与え、詩人らの創作意欲を高めた」と評価された。(文:王紹葉 蘭州日報掲載)

谷川さんの作品のテーマは「命」、「生活」、「人間性」。そして、生きて、歌うことを静かに追い求め続けており、「生きる」というテーマは何度も表現され、一種の「信仰」にさえなっている。

谷川さんの1952年の詩集「二十億光年の孤独」ですでにその才能が発揮されており、「万有引力とは、ひき合う孤独の力である。宇宙はひずんでいる。それ故みんなはもとめ合う」という詩は、人と人、物と物は「各自独立しており、疎遠な状態」であることを表現している。谷川さんにとって、詩を書く時の最高の状態というのは、何も考えずに、別の次元に行ったような状態だ。そうなると、いろいろな言葉が次々に頭の中に浮かび上がって来るという。そのため、谷川さんは、「詩人にとって一番大切なのは、詩の心を持っていること」とする。

そのような「詩の心」とは、実際に世界や人類に対して、悲しみや同情を感じる多感な心のことだ。谷川さん自身が語るように、詩人とは宇宙で、または時間という長い川で、さまよう子供なのだ。彼の詩を通して、はるか遠い未来を見たり、遠い昔のことを眺望したりすることができる。そして、そこでは、歴史上の偉大な詩人たちの声がかすかに聞こえてくるものの、谷川さんの声だけがはっきり聞こえてくる。「ハウルの動く城」の主題歌「世界の約束」は、彼と世界の心との約束を象徴している。「涙の奥にゆらぐほほえみは、時の始めからの世界の約束。いまは一人でも二人の昨日から、今日は生まれきらめく。初めて会った日のように。思い出のうちにあなたはいない。そよかぜとなって頬に触れてくる。木漏れ日の午後の別れのあとも、決して終わらない世界の約束」。

谷川さんの詩を読んでいると、私は時々フランスの詩人ジャック・プレヴェールを思い出す。二人の作風には、共通点がたくさんある。例えば、詩が会話的で、あまりにわざとらしい表現や複雑なイメージはなく、言葉が素敵で力がある。そして、言葉は簡潔だが意は尽くされており、無駄な言葉はない。「拒絶」、「正午」、「部屋」などでは、点と線で生活の様子が描き出され、それを読むと、長時間余韻に浸ることができる。言葉は変化に富み幻想的で、人生の束縛から解放され、時空を超えたような感覚にさせられる。「からだの中に、深いさけびがあり、口はそれ故につぐまれる。からだの中に、明けることのない夜があり、眼はそれ故にみはられる」(からだの中に)。「ヒトに自分がいなくなった日、ヒトはたがいにとても似ていた。ヒトに自分がいなくなった日、ヒトは未来を信じつづけた」(空に小鳥がいなくなった日)。これらの詩は、一見とてもシンプルに見えるが、とても深い意味があり、味わい深く、それを言葉でうまく言い表すことはできない。「春の臨終」で、谷川さんは、命の本質を見つけることに固執するのではなく、人生を達観しており、詩の中に命の意識が詰まっている。そして、それを小鳥と対話するという方法で表現している。誰かが、「悲しむ」、「腹を立てる」、「笑う」、「生きる」、ひいては「顔を洗う」ことを好きになり、過分な要求や欲望を捨てた。その人物は、「季節の移り変わりを止めることは誰にもできず、生活がどうであれ、このまま続いていく。そのことをよく分かっていると、一度の春が終わったにすぎないと思うようになる」と悟っている。

谷川さんの詩には、自然に対する配慮と深い信仰心という鮮明な特徴がある。詩には、山や林、海、空、川の流れ、鳥、木などの描写対象がよく登場する。もしかすると、それは、彼が若い時に詩人・宮沢賢治の影響を受けたことと関係があるのかもしれない。二人の自然に対する意識は、一致している部分もあれば、異なっている部分もある。しかし、詩を通して表現されている仏教的な雰囲気はとてもよく似ている。ゆっくり味わって読むと、谷川さんの詩は、理性的な光を放っており、生と死が淡々と表現され、この世を超越したものとなっている。そして、静かに悟ることに重点を置き、一瞬で印象に残るようなリズミカルな表現で、命に対する意識を昇華させ、人の心の世界にある共通の困惑や悲しみの気持ちを表現している。(提供/人民網日本語版・編集KN)

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