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<コラム>中国人の若者は日本のアニメをここまで知っている

配信日時:2016年12月1日(木) 0時20分
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映画「君の名は。」の興行収入が、「もののけ姫」を抜いて邦画歴代3位になったという。私も11月上旬に見に行った。本音を言えば面倒だなあと思いつつ息子に付き合ったのだが、すぐに引き込まれ、鑑賞後は中国のSNSに「今、日本に住んでいるなら絶対に見るべき」と投稿した。

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しばらくしてSNSをチェックすると、日本に留学している中国人の教え子たちから「初日に観ました」「2回観ました」とコメントがついていた。そして中国にいる中国人まで、「私も見ました。中国で上映されたら必ず行きたいです」とコメントしていた。

そうだった…。日本にいなくても、観る手段があったのだった。

日本アニメは中国でも大人気だ。宮崎駿、ちびまる子ちゃん、ワンピース、コナン、ナルト、進撃の巨人くらいまではだいたいの若者が知っている。

そして「アニメ好き」を自称する若者に好きな作品を尋ねようものなら、40代の私は耳にしたことすらないタイトルが次々に出てくる。「中二病でも恋がしたい!」「東京喰種トーキョーグール」「亜人」、皆さんはいくつ知っているだろうか。そして日本でも一部の層しか知らないアニメが、なぜ中国で人気になっているのか、考えたことがあるだろうか。

中国版YouTubeとも言える現地の動画サイトには日本のドラマ、アニメ、映画が大量にアップされている。朝ドラも含め、最近のドラマはもちろんのこと、名作ラブストーリーの「あすなろ白書」「101回目のプロポーズ」、私が十代のころ好きだった「予備校ブギ」、全て中国語の字幕付きで無料で見ることができる。ドラマだけではない。ジャニーズなど人気タレントが出る人気バラエティや歌番組は翌日にはアップされていることが多い。

当然ながら、これらのアップロードは違法である。グローバルで稼ぎたいコンテンツ制作会社にとっては歯ぎしりものだろうし、ボランティアで字幕を付けるグループがいるため、翻訳者の仕事も奪われる。

しかし、ネット上にあふれる日本のコンテンツが、若者の日本への理解を深めているのも事実である。アニメの主題歌を歌いたいと五十音を独学で学び、日本語学科に入って来る学生もいれば、大学で日本語学科に入って補助教材的に日本のアニメを見始め、そこに登場した景色に魅了されて留学を志す学生もいる。

人気アニメの主人公が着ている制服は、アリババのECサイトタオバオで売っていることが多く、学生たちは一括購入して卒業式でおそろいで着用する。

日本のアニメやドラマを中国語に翻訳して字幕をつけるグループは「字幕組」と呼ばれ、日本語学習者の一つの憧れでもある。報酬を受け取ることなく短期間でクオリティの高い字幕を作り上げてしまうその情熱には、敬意すら覚える。

中国の偽物、コピー商品、海賊行為は世界の経済を悩ませている。しかし日本のコンテンツの違法コピーについては、長期的に見れば悪いことばかりでなく、コスプレ大会やアニメのグッズなど、周辺コンテンツの市場拡大にもなるだろう。

中国の動画サイトで早々にアップされた「君の名は。」は、12月から中国でも映画館での上映が始まる。動画サイトには「もっといい画質で見たい」というコメントがたくさんついていた。

たとえ動画サイトでストーリーを把握していても、彼らの多くは映画館に足を運んで、お金を払って作品を観るだろう。空気のように偽物があふれる国だからこそ、彼らは本物を求めている。

■筆者プロフィール:浦上 早苗
大卒後、地方新聞社に12年半勤務。国費留学生として中国・大連に留学し、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のメディア・ニュース翻訳に従事。日本人役としての映画出演やマナー講師の経験も持つ。
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